カルメン・マキ


DISCOGRAPHY Part 2 (1980 - 2000)



13

LAFF
Carmen Maki & Laff

1980

★★★

 このアルバムも,発売当時「買おうかな?」って思って結局買わなかったのです,何ででしょう? で,今聴いてみると,それは正解だったかも...って気にさせられるアルバムです,正直なところ....  OZ に続く自らのバンド LAFF を従えての意欲作なんですが,結局のところ OZ の大成功は,マキさん自身のシンガーとしてのスケールももちろん大きな要素ではありましたが,それ以上に春日博文氏をはじめとするメンバーやスタッフの功績大だったと思うのです.残念ながら,このアルバムがそれを証明してしまっているような気がするのです.ここでのマキさんは,もはや OZ での偉大なロックンロール・クィーンではありませんでした.それと関連して,このアルバムに収録されている曲の中では,マキさん自身のヴォーカルも日本語によるものよりも英語によるものの方が,出来が良いよ〜な気がしますが,そこに今さらながら OZ の作詞を担当していた加治木剛氏の力量を感じさせられるのです.

14

GATHERING
Carmen Maki & OZ

1982

★★★

 「初収録『私は風』のロング・ヴァージョンを含む初のベストアルバム」との事ですが,はっきり言ってアナログ盤1枚のベスト・アルバム無理やりに作り上げたって感じです(笑).

15

HUMAN TARGET
5X

1982

★★★★

 メンバーはマキさんの他に,ジョージ吾妻(G)・盛山キンタ(B)・原田ジュン(Ds)の諸氏.前2作がリリースされた時は,それでも少しは気になっていたんですが,この 5X 時代に至っては,リリースされたアルバム名さえ記憶していないという状態で,このアルバムもつい最近(2000年6月),譲ってくださった方がいて,初めて耳にしました.ところが,以前に再発 CD で聴いた前2作『Night Stalker』(12)・『LAFF』(13)に比べて,抵抗なく聴けましたんですね〜. これは,やはりマキさんのヴォーカルがヘヴィ・メタ向きだったのかって事になるんだと思います.前2作に感じられた,「悪くはないんだけど,何かイライラさせられる中途半端な感じ」が,感じさせられませんでしたもん(ややこし).だからこのユニット比較的長続きしたんじゃないかと(想像ですが)思います.

16

LIVE X
5X

1982

★★★★

 本当にこの 5X 時代,まったくマキさんを見失っておりまして,このライヴ,ラスト・アルバムだと思ってたんですが,2作目だったんですね? ヘヴィ・メタ・スタイルのマキさん,カッコイイです.

17

Carmen Maki's 5X
5X

1983

★★★★

 前作『Human Target』(15)同様かなりマキさんのヴォーカルがよく活かされた作品だと思います.メンバーに変動はありませんが,ゲストとして,ミッキー吉野(Kbd)・高崎晃(G)が参加してますです.個人的には "Sunny" (これってオリジナルだれだったっけ?)のカヴァー(だと思う)が嬉しかったですぅ.

18

Moon Songs

1993

★★★

 10年ぶりにリリースされた復帰第1作.気がついたときには廃盤になっていて,長い間探しておりましたが,2001年になって,やっと入手することができました.さて内容ですが,自身の『時には母のない子のように』をはじめ,ジャックスの『時計を止めて』・ビリーバンバンの『白いブランコ』から『月の砂漠』・『七つの子』・『赤とんぼ』(?)に至るカヴァーを中心としたアルバムなのですが,はっきり言ってこの手のアルバムって何を基準に評価したら良いモノなのかさっぱりわからんのです.困ります.




19

VOICE OF MOSES
Carmen Maki & Moses

1995

★★★

 このアルバムを最初に聴いたときの印象は「この人こんなに歌下手だったっけ」でした.下手というほどのことではないのですが, OZ 時代から比べるとやはりテンション落ちていることは確かだったと思います.思わず『産後の肥立ち』などという言葉が頭をかすめたりして.... 関係ないか.... でも,何度も繰り返し聴いているうちに,わりと気にいってきたりして,どうも聴いてる方の態度がはっきりしなくて困ったものなのですが,すんません.このアルバム,マキさんの歌に関しては,いいところと悪いところの両方が極端に出ているような感じがして,すご〜く評価しづらいのです.でも,まさか『時には母のない子のように』またやるとは思いませんでした. OZ 時代は確かこの曲に対して否定的な発言していたと思ったのですが....

20

Unizon

1996

★★

 プロデュースに OZ 時代の盟友・春日博文氏を迎えた意欲作で,本人も「これほど内面を素直に表現することに成功したアルバムはこれが初めてであり,その意味で私がもっとも "私らしい" "カルメン・マキらしい" アルバムであると確信しています」などと書いてますが,どうでしょうか? 実のところ,この人の魅力って,アングラ時代にしろ, OZ をはじめとするロック・クィーン時代にしろ,かなり作られた自分を演じきっている部分がその中心だったわけで,それを自ら否定するようなこの路線ははたして正解だったかどうかと言えば,かなり???なのです.アルバム全体に流れる,ほわ〜っとした雰囲気もこの人にはあまり合っていないと思えますし....

21

The Best of CARMEN MAKI & OZ

1996

★★★

 解散後20年の月日を経てリリースされた CD 2枚組.何と言っても『午前1時のスケッチ』・『きのう酒場で見た女』・『空へ』のシングル・ヴァージョンとアルバム未収録の『嘆きのチャールストン』が収録されていたのが嬉しかったです(誤解のないように書いておきますが,私,『空へ』に関してはシングル・ヴァージョンの方が好きですが,『午前1時のスケッチ』と『きのう酒場で見た女』に関してはアルバム収録作の方が好きではあります).

22

ワイルドフラワー

1998

★★★

 アルバム "Split"(23) に先行して発売されたマキシ・シングル.『ワイルドフラワー』 ・『百億の孤独』とアルバムには収録されなかった『田舎に住みたい』,そして『ワイルドフラワー』の Backing Track の4曲収録.タイトル曲,カッコいいです・

23

Split

1998

★★★★

 私個人として聴いた限りでは, OZ 解散後のマキさんのアルバムはどれも今ひとつ面白みに欠けるというか, OZ 時代の作品が衝撃的過ぎたためか,そこはかとなく不満を感じさせられていたわけですが,このアルバムは久々にそんな不満を解消してくれました.プロデュースに,春日博文・後藤次利・笹路正徳・朝本浩文・小暮武彦の5名を起用したのが成功の要因だと思います.バックをそれぞれの Project(Crimson みたいだね)が担当していますが,その中では春日氏の Project による2曲が前作 "Unison" の流れを汲む感じで,少々退屈なのが残念でした.個人的には,後藤次利 Project によるトップの『AWAKENING』がベスト・テイクです.また "Special Thanks" として,浅川マキ・亀渕友香・忌野清志郎の各氏の名前が見られます.

24

CARMEN MAKI BEST & CULT

1998

★★★

 『真夜中詩集』(1)以外は,長い間聴くことのできなかった初期音源からの歴史的価値大のコンピレーション.中には後のロック・ヴォーカリスト・カルメン・マキの資質を髣髴とさせる曲もあって,こうなると長い間廃盤だった他のアルバムもぜひ聴いてみたくなってしまうのでした.『時には母のない子のように』未発表イタリア語バージョンも収録されています.でも,デビュー当時のこの人,「決して笑わないように」との指示を受けていたらしいとの記事を読んだときには,ホントに大変だったろ〜なって同情してしまいました....