King Crimson


DISCOGRAPHY Part 01 (1968 - 1975 第1〜3期)

第1期 (1968 - 1970)

1

IN THE COURT OF THE CRIMOSON KING

1969

★★★★★

 「あの Beatles の "Abbey Road" をど〜たらこ〜たら」でモノすごい名盤扱いされていましたが,実際そんな売りは必要ないほどの名盤.記録よりも内容そのものが比較の対象にならんと思うのですが... それに,どっかにも書いたと思うけど,私, "Abbey Road" ってそれほどの名盤だとは思ってないもんで... それはともかくとして, Progressive Rock はもちろん Rock 全体においても,かなりの名盤であることは確かです.この第1期においてはまだ Fripp 先生の構成力といったものは発揮されていなかったらしくて,このアルバムの構成にしてもほとんど Ian McDonald 先生の力によるところが大きかったらしいです(ちなみに, Fripp 先生が完全にイニシアティヴをとるようになったのは,第2期 "Lark's Tongue in Aspic" 以降かららしいです).しかしながら,ここで私見を述べさせてもらうならば,確かに McDonald 先生の構成力はすごいと思いますが,この作品において何と言っても凄いと思うのは, Michael Giles 先生のドラミングと Greg Lake 先生のベースとヴォーカルだと思うのです.特にドラムスに関しては,全ての Rock のアルバムの中でダントツだと思うのですが...

2

IN THE WAKE OF POSEIDON

1970

★★★

 『二番煎じ』の代表格みたいに言われているアルバムで,前作でイニシアティヴを取っていた Ian McDonald 先生が脱退,また, Michael Giles 先生 と Greg Lake 先生もそれぞれ McDonald & Giles ・ EL&P への参加が決まっていたという状況の中, Fripp 先生が McDonald 先生の残した遺産をまとめあげてでっち上げた感の強いセカンド・アルバム. Lake 先生はヴォーカルのみで,ベースは Peter Giles 先生が一時的に復帰して担当しております.ホント,アナログA面の2〜4曲目なんか前作の完全な焼き直しみたいな曲が並んでるし... でも,ありえないことですが,もしこのアルバムが先にリリースされていたら,どう評価されていたんでしょう?

3

LIZARD

1970

★★★★

 King Crimson の全作品の中で最も話題に上ることが少ないアルバムである反面,隠れたファンが多い作品だということであります.個人的には,わりと良く出来たアルバムだと思いますが, Crimson の作品としてど〜なのかというと????? むしろ,この作品のクレジットは Jon Anderson & King Crimson もしくは King Crimson featuring Jon Anderson とされるべきだったというところですか...? 前作でもヴォーカルで参加していた Gordon Haskell 先生が今回はベースとヴォーカルで参加しておりますが,この人の存在って,Greg Lake ・ Jon Anderson という Progressive Rock を代表する2大ヴォーカリストの前ではやはり影が薄く,はっきり言ってほとんど印象に残らないという,とてもかわいそうな存在なのです(ちなみに, Fripp 先生の評価はやはり絶望的なくらいに低かったらしいです).




第2期 (1971 - 1972)

4

ISLANDS

1971

★★★★★

 セカンド・アルバムから参加している Mel Collins (Fl ・ Sax ・Vo) に加えて, Boz (B・Vo) ・ Ian Wallace (Key) の加入によって下品になった Crimson ? 「違う...」と嘆く Fripp 先生の姿が見えてきそうな作品ですが,個人的にはこれがわりと好きなアルバムだったりするのでした.特に,アナログA面の "Formentere Lady" ・ "Sailor's Tale" ・ "The Letters" は最高に好きです.しかしながら,当然のことながら,この作品を最後に Pete Sinfield 先生は脱退, Fripp 先生はバンドを解散してしまうのでした.

5

Earthbound

1972

★★★

 "ISLANDS"(4) のメンバーによる Crimson 最初のライヴ音源ですが,カセット録音の音源使用のため非常に音が悪く,オリジナルは UK ・ USA で廉価盤でプレスされ, Atlantic の発売拒否により日本ではリリースされませんでした.未発表ライヴ音源が続々とリリースされている近年においては,特にわざわざ聴くほどのもんじゃないです.

【2007年5月20日追記】
…などと書いておりましたが,2007年5月18日,カヴァナント様より以下の反論・御指摘を受けましたので,原文のまま転載させていただきました.カヴァナント様,ありがとうございました.

「EARTHBOUND」ですが、聴かずに済ませていいアルバムだとはどうしても思えないのです。

再び瓦解、その寸前のギリギリの緊張感が名盤を生み出しました。「ISLANDS」の美しさ故の反動が暴力にまで発展、スタジオで抑圧され続けたメンバーの腹黒い「やっちまえ」的アティテュ−ド、それにガチでこたえる「やったらァ、オォ!?」的広島弁のフリップがクリムゾンを必殺技は暴力のインテリヤクザにまで仕立て上げたわけです。元はブートのカセットってゆう音の悪さも影響し、あたかもそこは西と東の抗争現場の如しです。この後「メタル・クリムゾン」の原型、構想はここでフリップに植えつけられたのではないでしょうか。
しかし後の計算された暴力性でなく、「EARTHBOUND」にあるのは本能のそれなのでおっかないことこの上なしです。「オジキ」クリムゾンにくらべりゃZEPもグランドファンクも三下野朗です。(言いすぎ?)

冒頭のスラッジ・クリムゾンによる「スキッゾイド・マン」の凄まじさはその歴史において随一。で、実は一番狂ってたのはシンフィールドだったって言う「GROON」。後半のドラムソロにいきなりぶち込まれるVCS3エフェクトのノイズ・・・かのMERZBOW、秋田正美氏にも絶大な影響を与えたとのこと。

つまりは無二の「実録!」なわけで、ISLANDSと合わせ見れば今日までにいたる宮殿の秘密の正体が見える気がするのです。てなわけで私的には怖いけど手放せない名盤です。

この御意見に対する Della の返答は以下の通りです.

"Earthbound" について Della(当時はみるみる)が「わざわざ聴くまでもない」と言い切ってしまったのは以下の理由からでした.
まず第一にあの音質の悪さに神経を逆撫でされたのと,第二にリリースに関してアーティスト側(この場合 Robert Fripp 氏)の意図が反映されていたのかという素朴な疑問が生じていたということです.
以前から Bootleg やプライベート盤に関しても同様な理由から,「わざわざ聴くまでもない」という意見を持っておりましたが,最近では「音楽を自らの表現手段として活用し,聴衆の前で演奏をする限りは,どんなものがリリースされても,それは評価の対象として扱われるべきである」という考え方に変わってきております.
さらに今回このアルバムに関するご意見を拝見して内容的には確かに正に King Crimson というバンドの歴史を語る上で無視して通る事のできないアルバムだったとの思いを新たにさせられました.
今回いただいたご意見をサイト本文の方にも転載させていただきたいと思いますが,もし不都合等ございましたら,ご連絡ください.削除いたします.
それにしても, CD の時代になって膨大な数の未発表音源がリリースされておりますがアナログ時代にこうしたアルバムが存在していたっていうのも希有な例だと思います.


第3期 (1973 - 1975)

6

Lark's Tangues in Aspic

1973

★★★★

 1971年末に Sinfield 先生が抜け,翌'72年に Fripp 先生と他の3人のメンバーとの決裂により解散した King Crimson でしたが,早くも同年7月には Fripp 先生の他, John Wetton (B・Vo) ・ David Cross (Vin・Vla・Mtn) ・ Bill Braford (Ds) ・ Jamie Muir (Per) というラインアップで活動を開始.ツアー後の翌'73年にリリースされた,第3期 Crimson の第1作にあたる作品です. Crimson 史上最強のメンバーと言われているだけあって,ハイテンションな演奏を聴かせてくれる作品ではありますが,個人的にはいまひとつといった感じ... アルバムのトップとラストを飾る "Lark's Tangues in Aspic Part I & II" は最高の出来だと思いますが,全体を通して聴いた場合,私としては少々モノたりなさを感じる作品なのです.この時期の映像が BEAT-CLUB Vol.7 (関連映像のページ参照)に収録されておりますが,これは結構見モノ(といっては失礼か?)だと思います.『太陽と戦慄』とかって邦題ついてましたが,まったく作品の内容とは無関係なタイトルだったよ〜な気がしますが...

7

Starless and Bible Black

1974

★★★

 Jamie Muir 先生が脱退(その後修道院入りしたという説もあるがホントかね?)してしまった他は前作と同じラインアップによる,新生 Crimson 第2作.スタジオ作品のようですが,実は収録曲全8曲中6曲がライヴ録音という,かなり実験的な作品ではありますが,収録曲ひとつひとつをとってみても,アルバム全体の出来も,残念ながら前作よりも1歩後退しているような印象を受けます.

8

Red

1974

★★★★★

 Fripp ・ Wetton ・ Bruford のトリオ編成になった第3期 Crimson の最終作. Robert Fripp 先生による King Crimson 解散宣言の行われた '74年9月26日の翌日にリリースされたらしいです.私個人の意見としては,多分この作品が Crimson の最高傑作になると思います.実は,やはり私個人の意見としてですが, Robert Fripp 先生という方,それほど凄いギタリストだと思いませんし,第1〜2期の Crimson の作品にしても, Fripp 先生の構成力によるところよりも,他のメンバーによるところが大きかったと思うのです.先にも書いたように, Fripp 先生がバンドの中心人物としての力を発揮し始めたのはこの第3期においてだと思いますし,そういった意味でも'72年の解散は正解だったと思います(個人的には "Islands" Crimson って好きだったんですけどネ).そして,その Fripp 先生の力量が最大限に発揮されたのが,三部作のラストであるこのアルバムだったと思うのです. "Red" ・ "One More Red Nightmare" ・ "Starless" における Fripp 先生はじめ各メンバー(元メンバーの David Cross ・ Ian McDonald ・ Mel Collins の各氏も参加)のプレイも凄まじいものがありますが,何と言っても最高に素晴らしいのは "Fallen Angel" ,偉大なバンドの終焉にふさわしい名曲だったと思います.

9

USA

1975

★★★

 解散の翌年に発表されたライブ・アルバムで, "Red" 以前の David Cross 在籍時の録音.当然あの悪名高い "Earthbound" よりは録音・演奏ともに良いですが,後のライヴ音源ラッシュを考えると,この時点でこのアルバムがリリースされなければならなかった理由があるとしたら,やっぱり契約の問題だったんでしょうね?




10

THE YOUNG PERSON'S GUIDE
TO KING CRIMSON

1975

-

 Robert Fripp 先生監修による Crimson 初のベスト・アルバムで, "Lizard" ・ "Earthbound" ・ "USA" を除く6枚のアルバムからセレクトされておりますが,何と言っても聴きモノはシングル "Cat Food" のB面でアルバム未収録の "Groon" (ライヴは "Earthbound" に収録)と, Judy Dyble さん在籍時(この頃はまだ King Crimson ではなく Giles, Giles & Fripp だったはず)の "I Talk to the Wind" .特に後者は,他の Crimson のコンピレーションには収録されておらず,このアルバムでしか聴くことができませんが,私個人といたしましては,この曲に関しましては "IN THE COURT OF THE CRIMSON KING"(1) における Greg Lake 先生のヴォーカルによるバージョンよりもこっちの方が好きです.