吉田 拓郎


DISCOGRAPHY Part 1-01 (Original Albums 1970 - 1974)

1
青春の詩
1970
★★★

【Side-A】
青春の詩 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
とっぽい男のバラード - 作詞・作曲:吉田 拓郎
やせっぽちのブルース - 作詞・作曲:吉田 拓郎
のら犬のブルース - 作詞・作曲:吉田 拓郎
男の子女の娘(灰色の世界 II) - 作詞・作曲:吉田 拓郎
兄ちゃんが赤くなった - 作詞・作曲:吉田 拓郎

【Side-B】
雪 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
灰色の世界 I  - 作詞・作曲:吉田 拓郎
俺 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
こうき心 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
今日までそして明日から - 作詞・作曲:吉田 拓郎
イメージの詩 - 作詞・作曲:吉田 拓郎


LP : ELEC-2001



CD : FLCF-29013

 このアルバム以前にフォーク村名義で『古い船をいま動かせるのは古い船じゃないだろう』(コンピレーションの項参照)が出てますが,ソロとしての正規のデビュー・アルバムはこの作品になります.バックを拓郎氏のバンドが4位入賞した'68年度ライト・ミュージック・コンテストで優勝したバンド=マックスと沢田駿吾クィンテットが勤めています.
 『イメージの詩』およびタイトル曲『青春の詩』は.それぞれ『マーク II 』・『とっぽい男のバラード』とのカップリングで,拓郎氏の第1弾・第2弾シングルとして ELEC からリリースされましたが,共に長い曲なので,シングル・バージョンでは歌詞の一部が短縮されております.また『今日までそして明日から』は,後に『ともだち』とのカップリングで CBS SONY からの第1弾シングルとしてリリースされました(以上,シングルのページをご参照ください),また,『青春の詩』は LP ・シングルではバックをマックスが勤めていますが,何故かカセットには引き語りによる別バージョンが収録されており,こちらは後に, CBS SONY からリリースされたコンピレーション CD 『LIKE A ROLLING STONE 1970〜1974』および『ひきがたり』に収録されています.またさらに,このアルバムより少し後に朝日ソノラマから『メモリアルヒット曲集 '70 真夏の青春』というソノシート3枚組 BOX SET がリリースされ,ここに収録されている『青春の詩』はやはり弾き語りによるバージョンですが,歌詞の一部に違いが見られ(『ジュリー,ショーケン,キンチャーン』の後に『ドイサーン』が追加されている),カセットでリリースされたものとはまた別ヴァージョンらしいです(以上,コンピレーションのページをご参照ください),
 個人的には,アナログB面トップ3曲の沢田駿吾氏のアレンジは少々かんべんしてほしいって感じ.それに対してラストの3曲は,後に拓郎氏もセルフ・カヴァーしている事から本人も気にいっている事が伺えますが,初期の拓郎氏が生み出した名曲だと思います,


2
よしだたくろう・オン・ステージ・ともだち
1971
★★★★
【Side-A】
おろかなるひとり言 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
マーク II - 作詞・作曲:吉田 拓郎
もう寝ます - 作詞・作曲:吉田 拓郎
老人の詩 - 作詞:吉田 拓郎・井口 よしのり/作曲:吉田 拓郎
私は狂っている - 作詞・作曲:吉田 拓郎
何もないのです - 作詞・作曲:吉田 拓郎

【Side-B】
やせっぽちのブルース - 作詞・作曲:吉田 拓郎
されど私の人生 - 作詞・作曲:斎藤 哲夫
わっちゃいせい - 作詞・作曲:レイ・チャールズ
夏休み - 作詞・作曲:吉田 拓郎
面影橋 - 作詞・作曲:及川 恒平
イメージの詩 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
ともだち - 作詞・作曲:吉田 拓郎

LP : ELEC-2002


CD : FLCF-29014
 1971年3月に東京厚生年金会館でおこなわれたコンサートの模様を収録したものらしいです(正規のクレジットはなし).CD化(For Life)はされたものの,早々と廃盤(自主規制?)になったと思われ,長らく入手困難でしたが,2005年に Vap から復刻されました.
 この時期にリリースされたライヴ・アルバムとしては抜群の出来で,『ニュー・フォーク・ブーム』の先鞭をつけた作品だと思います.いわゆる『フォーク』っぽさを感じさせるライヴ・アルバムとしては,加川良氏の『やぁ』と双璧をなすアルバムだと思います,個人的には,ミニ・バンドのお2人には悪いのですが,拓郎さんの弾き語りによる前半部分,特にトップの2曲『おろかなるひとりごと』と『マーク I I 』(この曲のシングル・バージョンを聴いたのが,ずっと先の事だった事もあって)が気にいっておりました,また,それに続く『もう寝ます』と『老人の詩』は,拓郎氏のステージの楽しさを伝えてくれる,別の意味での『名曲』であったと思います.

3
人間なんて

1971

★★★

【Side-A】
人間なんて - 作詞・作曲:吉田 拓郎
結婚しようよ - 作詞・作曲:吉田 拓郎
ある雨の日の情景 - 作詞:伊庭 啓子/補作詞・作曲:吉田 拓郎
ワシらのフォーク村 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
自殺の詩 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
花嫁になる君に - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
たくろうチャン - 作詞・作曲:吉田 拓郎

【Side-B】
どうしてこんなに悲しいんだろう - 作詞・作曲:吉田 拓郎
笑えさとりし人よ - 作詞・作曲:吉田 拓郎
やっと気づいて - 作詞・作曲:吉田 拓郎
川の流れの如く - 作詞・作曲:吉田 拓郎
ふるさと - 作詞・作曲:吉田 拓郎

LP : ELEC-2003


CD : FLCF-29015
 「よしだたくろう」の名前を一躍メジャーにした『結婚しようよ』,初期の代表曲『人間なんて』を含むエレック時代の代表作.しかしながら古くからのフォーク・ファンからは芸能人化・歌謡曲化であると非難をあび,コンサートで「帰れ」のシュプレヒコールをあびるはめになりました.その当時の心境が著書『気ままな絵日記』等に書かれています.
 タイトル曲の『人間なんて』は,言うまでもなく初期の拓郎氏の代表作で,『中津川フォーク・ジャンボリー』や『渋谷ジァン・ジァン』における熱演が伝説となっておりますが,ここでは曲の冒頭部分だけをサラッと歌い流している感じで,これもまた結構気にいってたりするのです.『雨の日の情景』とのカップリングで CBS SONY からの第2弾シングルとなりブレイクした『結婚しようよ』,やはりこの曲に関しては加藤和彦氏の功績大でしょう.他に,後に名コンビを組む岡本おさみ氏作詞による『花嫁になる君に』(岡本氏によると,当初のタイトルは『花嫁になるルミに』だったらしい)や,拓郎氏自身が好きな曲のひとつにあげており, FOR LIFE からの第1弾となったアルバム『明日に向って走れ』で早々とセルフ・カヴァーを行っている『どうしてこんなに悲しいんだろう』(この曲は何故か俳優の松山省ニ氏もカヴァーしてました),あと目立たないところで『やっと気づいて』等が,個人的には気にいっているのですが,一部の曲に聴かれるホーン・セクション多用のアレンジはちょっとかんべんしてほしい気もするのです.
 ところで,このサイトを御覧になってくださっているぷらさんからの情報によりますと,このジャケットに使われている写真,当時拓郎さんが暮らしていた『堀之内ハウジング・マンション』で撮影されたものらしいですが,どうもネガを逆にして現像・印刷されたものらしいとの事です(ぷらさんは,現存している同マンションに行って,確認されたとの事).ぷらさん,情報ありがとうございました.―2003. 1. 28. 記

4

元気です

1972
★★★★★

【Side-A】
春だったね - 作詞:田口 淑子/作曲:吉田 拓郎
せんこう花火 - 作詞:古屋 信子/作曲:吉田 拓郎
加川良の手紙 - 作詞:加川 良/作曲:吉田 拓郎
親切 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
夏休み - 作詞・作曲:吉田 拓郎
馬 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
たどり着いたらいつも雨降り - 作詞・作曲:吉田 拓郎

【Side-B】
高円寺 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
こっちを向いてくれ - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
まにあうかもしれない - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
リンゴ - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
また会おう - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
旅の宿 - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
祭りのあと - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
ガラスの言葉 - 作詞:及川 恒平/作曲:吉田 拓郎


LP : SOLJ-30-OD



CD : CSCL-1222

 当時,「結婚しようよ」(50万枚)・「旅の宿」(60万枚)の両シングル・ヒットよりもこのアルバムの売上(13週連続1位)の方が驚異的だったような記憶があります.実際は後に日本初のミリオン・セラーとなった陽水氏の「氷の世界」には遠く及びませんでしたが... でも時代を創った傑作という点でこちらの方が上だと思います.比較してど〜なるというもんでもないですが...
 何といってもトップの『春だったね』,この曲のイントロダクションにおける松任谷正隆氏のハモンド・オルガンは衝撃的でした.どっかに, Bob Dylan 先生の "Like a Rolling Stone" における Al Kooper 氏のオルガンとの共通性を指摘していた文章がありましたが.... シングルが大ヒットした『旅の宿』に関しても,歌謡曲っぽいアレンジのシングル・バージョンよりも,アルバムに収録された弾き語りバージョンの方が,サウンド的に新鮮さを感じました.また,一連の曲における岡本おさみ氏とのコンビネーションが確立したのもこの作品からで,この件に関しては拓郎氏にとってプラス・マイナスの両面があったと思うのですが,少なくともこのアルバムにおいては新鮮な印象を受けました.特に『まにあうかもしれない』・『また会おう』・『祭りのあと』は,この時期の拓郎氏を語るのに欠かせない傑作だと思います.また,加川良・及川恒平といった他のシンガーの詞を取り上げているのも成功していると思います,一方,拓郎氏自身の作詞が減ってしまったのは大変残念な事なのですが,そのような状況の中,拓郎氏が自らの『メッセージ・ソング』を確立した作品が『親切』だったと思います.モップスに提供し,後に子供バンドもカヴァーした『たどり着いたらいつも雨降り』については,よくできた曲だとは思うのですが,個人的には拓郎氏の作品の中ではそれほど傑出した曲ではないような気がします.これは好みの問題かも....


5
たくろう・オン・ステージ・第2集

1972

★★

【Side-A】
準ちゃんが吉田拓郎に与えた偉大なる影響 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
なんとかならないか女の娘 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
プロポーズ - 作詞:岡本 修三/作曲:吉田 拓郎
静 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
わたしが生まれた時 - 作詞:伊庭 啓子/作曲:吉田 拓郎

【Side-B】
トランプ - 作詞・作曲:吉田 拓郎
大きな夜 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
僕一人 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
雨 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
七万五千円の右手 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
来てみた - 作詞・作曲:吉田 拓郎

【Side-C】
腹へった - 作詞・作曲:吉田 拓郎
ゆうべの夢 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
日本人になりたい - 作詞・作曲:吉田 拓郎
ポーの歌 - 
作詞・作曲:浜口 庫之助
恋の歌 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
もうお帰り - 作詞・作曲:吉田 拓郎
かくれましょう - 作詞:岡本 修三/作曲:吉田 拓郎

【Side-D】
人間なんて - 作詞・作曲:吉田 拓郎

 このアルバムに収録されている『ポーの歌』については,『作詞・作曲:吉田 拓郎』とクレジットされていたため,1979年に浜口庫之助氏の曲の盗作と報じられましたが,これは拓郎さん本人は自分の曲であるとは言っていなかったものを,無許可でこのアルバムをリリースしたエレックが誤って作者名をクレジットしてしまったためでした.

2LP : ELW-3001
 すでに CBS SONY に移籍していた拓郎氏の承諾なしにエレック社が発売した問題作.当然のことながら,拓郎氏はエレック社に対してはげしく抗議.その少し前,海の向こうイギリスでは T.REX の Marc Bolan 氏がやはりフライ・レーベルに対し,無断で発売されたアルバム "BOLAN BOOGIE" およびシングル "Jeepster" の件で抗議していたのでした.
 傑作アルバム『元気です』の直後にリリースされたせいか,またライヴという事もあって,古さを感じさせられたのは仕方のないところ.また,個人的には,アーティストの意に反してリリースされた作品に関しては同列に評価すべきではないのですが,初期エレック時代の拓郎氏の音楽を確認できるという点においては,やはり貴重な作品だと思います.特に,『静』(『花酔曲』の原曲)・『ゆうべの夢』(『祭りのあと』と同一曲),『恋の歌』(拓郎氏お気に入りの曲で,後にザ・ラニアルズによってカヴァー.また,拓郎氏が音楽を担当した映画『旅の重さ』においてインストゥルメンタルで使用)等の曲に拓郎氏の曲づくりの原点を感じることができます.D面1面にわたる『人間なんて』はやはり少々冗長.個人的には『1971年中津川フォーク・ジャンボリー』におけるテイクの方が好みです.
 ところで,このアルバムには珍しく拓郎さんの朗読が2編(『プロポーズ』・『わたしが生まれた時』)収録されていますが,何故か,『わたしが生まれた時』の方はジャケット・ディスク共に表記がなく,歌詞カードのみに記載されています.この件につき,いつもこのサイトを御覧いただいている S.M. さまからいただいた情報によりますと,後に CBS Sony によりリリースされた同アルバムの MT では,曲名:私が生まれた時/作詞:伊庭啓子/作曲:吉田拓郎とクレジットされているらしいです(2003.3.16.)

6
伽草子

1973

★★★

【Side-A】
からっ風のブルース - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
伽草子 - 作詞:白石 ありす/作曲:吉田 拓郎
蒼い風 - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
風邪 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
長い雨の後に - 作詞・作曲:吉田 拓郎
春の風が吹いていたら - 作詞・作曲:伊庭 啓子

【Side-B】
暑中見舞い - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
ビートルズが教えてくれた - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
制服 - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
話してはいけない - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
夕立ち - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
新しい朝 - 作詞・作曲:吉田 拓郎

LP : SOLL-34-OD


CD : SRCL-1820
 このアルバム発売直前に『金沢事件』発生.拓郎氏が留置場に入れられてしまったため,メーカーにより発売が自粛されましたが,無実が判明し無事釈放されたため,予定日より2週間遅れて無事発売されたといういわくつきのアルバム.結婚直後の最初の夫人・佳子さん(元六文銭・四角佳子)とのデュエット曲『春の風が吹いていたら』が収録されていて,一部で話題をよびました.
 岡本おさみ氏とのコンビネーションはますます深いものとなり,『からっ風のブルース』・『ビートルズが教えてくれた』・『制服』等は,岡本氏の詞に生命を叩き込んだ曲づくりがなされていて,それなりに評価はできるのですが,一方拓郎氏本人の作詞は『風邪』・『長い雨のあとに』・『新しい朝』の3曲だけと淋しく,しかもいずれの詞も以前にくらべてメッセージ性が欠けてきているような気がしました,曲づくりの面においても,出来不出来の落差が激しく,少々散漫な印象を与えられるアルバムでした.あくまで個人的な意見ですが....

7
Live '73 1973

★★★★

【Side-A】
春だったね '73 - 作詞:田口 淑子/作曲:吉田 拓郎
マーク II '73 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
君去りし後 - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
君が好き - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
都万の秋 - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
むなしさだけがあった - 作詞:田口 淑子/作曲:吉田 拓郎
落陽 - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎

【Side-B】
雨が空から降れば - 作詞:別役 実/作曲:小室 等
こうき心 '73 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
野の仏 - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
晩餐 - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
ひらひら - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
望みを捨てろ - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎

LP : SOLL-59-OD


CD : CSCL-1223
 フォーク色一色だった『ともだち』とは全く違った雰囲気のライブの名盤です.しかも『春だったね '73』・『マークII '73』・『こうき心 '73』及び六文銭の名曲『雨が空から降れば』以外は未発表曲ということで,当時では衝撃的な作品でした.この頃からマスコミによる「フォークのプリンス」のイメージから脱却することができたみたいです.名曲『落陽』最初の収録アルバム.
 やはり、サウンド的に従来のいわゆる『フォーク』の概念を撃ち破ったライヴ・アルバムの傑作だと思います,『春だったね '73』・『マークII '73』・『こうき心 '73』の3曲に関しては,スタジオ・バージョンとの比較において,どちらをとるかは好みの別れるところだと思いますが,これはこれでやはり良い出来だと思うのです.また,岡本おさみさんとのコンビネーションが円熟期を迎え,『都万の秋』・『ひらひら』・『望みを捨てろ』といった曲に,その一応の結実が見られる感じがします.
 ところで,かつてリリースされた同 MT では,ラストの『望みを捨てろ』の1分20秒ほど長いバージョンが収録されている旨,このサイトを御覧になった S. M. さまより情報をいただきました.本当にありがとうございました.―2002. 4. 4. 記

8
今はまだ人生を語らず

1974

★★★★★

【Side-A】
ペニーレインでバーボン - 作詞・作曲:吉田 拓郎
人生を語らず - 作詞・作曲:吉田 拓郎
世捨人唄 - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
おはよう - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
シンシア - 作詞・作曲:吉田 拓郎
三軒目の店ごと - 作詞・作曲:吉田 拓郎

【Side-B】
襟裳岬 - 作詞:岡本 おさみ/作曲:吉田 拓郎
知識 - 作詞・作曲:吉田 拓郎
暮らし - 作詞・作曲:吉田 拓郎
戻ってきた恋人 - 作詞:安井 かずみ/作曲:吉田 拓郎
僕の唄はサヨナラだけ - 作詞・作曲:吉田 拓郎
贈り物 - 作詞・作曲:吉田 拓郎

LP : SOLL-95-OD


CD : CSCL-1224
 「フォークの旗手」扱いされていたエレック時代にくらべて,『元気です』以降 CBS に移籍してからの拓郎さんのサウンド創りには格段の進歩が見られ,一応の結実を見たのがこの作品.Dylan の「フォーク・ロック」の呪縛から,その後の「ニュー・ミュージック」という訳のわからん言葉は生まれたのだろ〜か? またこの頃,佳子夫人との結婚生活が暗礁に乗りあげており,特にラストの2曲の歌詞が痛々しいです.そ〜いえば Dylan 先生もサラ夫人との離婚と前後して『BLOOD ON THE TRACKS』 ・ 『DESIRE』といった名盤を残しましたよね... 「ペニーレーンでバーボン」歌詞自主規制のため,現在CDも廃盤, BOX SET では同曲をカットした形で収録されています.
 また,このアルバムでは,拓郎さん作詞の曲が8曲と半数以上を占め,久々にメッセージ色の強い作品だったと言えると思います.本人が最もメッセージを意識して作った曲が『知識』だという事ですが,メッセージ・シンガーとしての面目躍如といった感がします.かなり後になって自主規制され,そのおかげでこの曲を収録したライヴやコンピレーションが全て入手困難になってしまった『ペニーレーンでバーボン』ですが,拓郎さんならではの字余り調が嬉しい,『春だったね』と並んでアルバムのオープニングを飾るに相応しい名曲だと思います.あとはやはりラストの2曲.個人的には,ラストの『贈り物』って,『僕の唄はサヨナラだけ』に比べて目立たないためか,あまり語られる事のない曲ですが,その歌詞の痛々しさは感動モノだと思うのです.