小池 真理子

短編小説2(2004 - )



33  *female 2004 新潮文庫 ★★★
 『小説新潮』2004年5月号に掲載された『玉虫』の他,唯川恵・室井佑月・姫野カオルコ・乃南アサの女性作家5人の作品5篇を収録.やはり,小池さんの作品は群を抜いて光ってると思います.
34  *with you 2004 幻冬舎文庫 ★★★
 小池さんの『倶楽部フェニックス』の他,岩井志麻子・桜井亜美・板東眞砂子・島村洋子・甘糟りり子・桐生典子・真野朋子・黒沢美貴・春口裕子・斎藤綾子・江國香織の女性作家12人の作品12篇を収録.
35 夏の吐息 2005 講談社文庫 ★★★★
 『秘めごと』・『月の光』・『パロール』・『夏の吐息』・『上海にて』・『春爛漫』の6篇収録.解説は掘茂樹氏.
 作者自身が「この6編を超える作品はもう書けないかもしれない」とのたまう珠玉の短編集らしいですが,確かに「人間の本質的なもの,具体的に言えば愛とエロスと死だけを繰り返して書いている」というだけあって,死とエロスの香りが濃厚な作品集です.個人的には『秘めごと』・『夏の吐息』の2編が好みです.
36 玉虫と十一の掌編小説 2006 新潮文庫 ★★★★★
 『食卓』・『千年烈日』・『一炊の夢』・『声』・『いのち滴る』・『死に水』・『妖かし』・『飼育箱』・『一角獣』・『玉虫』・『さびしい』の11篇収録.解説は野崎歓氏.
 短編より短い『掌編小説』集ですが,どの作品も作者ならではの美しさとセンスに溢れた珠玉の作品集.個人的に好きなのは,甘い話ですが『死に水』と『さびしい』,そしてこの作者ならではの怖さに満ちあふれた『妖かし』と『玉虫』.
37 水底の光 2007 文春文庫 ★★★
 『パレ・ロワイヤルの灯』・『水底の光』・『闇に囁く』・『愛人生活』・『冬の観覧車』・『ミーシャ』の6篇収録.解説は藤田香織氏.
 「失ったものの大きさに喘ぎながら,私はやっぱり,失ったものを書いた」とあとがきで書いている通り.『喪失』と『再生』をテーマにした,『オール読物』に2004〜2006年に掲載された作品を集めた作品集.個人的には『冬の観覧車』・『ミーシャ』の2編が好みです.
38 懐かしい家 -
怪奇幻想傑作選1
2008
2011
角川ホラー文庫 ★★★
 2008年4月に出版芸術社より刊行された作品集『くちづけ』の収録作品を二分冊し,それぞれに新作短編を加えて文庫化したもの.
 『ミミ』,『神かくし』,『首』,『蛇口』,『車影』,『康平の背中』,『くちづけ』,『懐かしい家』の8編を収録.解説は飴村行氏.
39 青い夜の底 -
怪奇幻想傑作選2
2008
2011
角川ホラー文庫 ★★★
 同上.
 『鬼灯』,『生きがい』,『しゅるしゅる』,『足』,『ディオリッシュ』,『災厄の犬』,『親友』,『青い夜の底』の8編を収録.解説は新保博久氏.
40 東京アクアリウム 2010 中公文庫 ★★★★★
 『リリー・マルレーン』・『風』・『二匹の子鬼』・『東京アクアリウム』・『小曲』・『モッキンバードの夜』・『猫別れ』・『父の手,父の声』の8篇収録.
 ミステリー時代から『短編の名手』として名高い作者が,8人の『女』を描いた珠玉の短編集.『おかま』(この呼び方は肯定できませんが)のリリーの哀しみを女の眼を通して描いた『リリー・マルレーン』や,自分の過失がもとでアルコール依存症になってしまった夫との愛憎劇『二匹の小鬼』もいいですが,何と言っても凄いなって思ったのは施設に入居する母との最後の夜を描いた『猫別れ』,でらちゃん久しぶりに小説読んで泣いちゃいました.



41 Kiss 2010 新潮文庫 ★★★★
 『翼』・『歳月』・『白い花のような月』・『猫壺』・『夜噺』・『廃虚』・『青いトマト』・『ラプソディ』・『オンブラ・マイ・フ』の9篇収録.
 『Kiss』をモチーフにしたこの短編集,『女の哀しさ』が見事すぎるくらいに描かれていて,実のところすごく後味の悪い読後感感じてしまいました.
42 ソナチネ 2014 文春文庫 ★★★
 『鍵』・『木陰の家』・『終の伴侶』・『ソナチネ』・『千年萬年』・『交感』・『美代や』の7篇収録.
 『死』と『エロス』をモチーフにした短編集.静かな怖さが堪能できます.解説は千早茜氏.
43 千日のマリア 2015 講談社文庫 ★★★★
 『過ぎし者の標』・『つづれ織り』・『落花生を食べる女』・『修羅のあとさき』・『常夜』・『テンと月』・『千日のマリア』・『凪の光』の8篇収録.
 よく誰にも言えない罪深い記憶のことを『地獄まで持っていくつもり』などと言いますが,そんな人間として生まれたことが切なくなるようなエピソードが多数収録された短編集ですが,こういう作品を美しい文章で仕上げる作者のセンスに脱帽です.解説は小川洋子氏.