ついに静岡でも公開!

教員採用選考審査の筆記試験問題が持ち帰りに

 これまでの「鼓動」でも度々お知らせしてきましたが、「求める会」では県教委に対し、筆記試験問題などの教員採用に関する情報の公開を求めてきました。しかし県教委は「筆記試験問題を公開すれば受審者が試験対策に力を入れるようになり受験競争化が進む。」などという理由でこれを拒み続け、現在は第三者である公文書開示審査会による審議中です。

 ところが7月7日・8日に行われた今年の採用試験で、試験管から「問題用紙は受審者が持ち帰るように。」との連絡がありました。これまで県教委自身があれこれと理由を挙げて公開を拒否してきた筆記試験問題を、突然公開することにしたのです。私たちは開示審査会の場で、筆記試験問題は公開しても何ら支障はなくむしろ公正な採用のためには公開が必要なことだということを、文書や口頭で繰り返し主張してきました。開示審査会の結論が出る前の今回の突然の公開は、私たちの主張の正しさを県教委自身が認めたということになります。

よりよい教員採用のあり方を論議すること

 私たちが筆記試験問題の公開を求めてきたのは、単に試験対策に使いたいからではありません。目的は、どんな人を教師として採用するべきなのか、そのためにはどんな方法で審査したらいいのかを、県民みんなで考える条件をつくることです。

 教員採用のあり方を改善するためには、まず、現在どのような方法で選考審査がが行われているのかを知ることが必要です。そして現場教師の視点、父母の視点、子どもの視点など様々な視点からこれを分析し、意見を出し合うことが必要だと考えます。今回、公開された問題を同封しますので、みなさんの意見をぜひ事務局へ寄せてください。よろしくお願いします。

選考基準の公開が必要

 また、私たちが公開を求めてきたのにまだ公開されていないのが「選考基準」です。つまり、県教委がどんな人を採用したいのか、教師にはどんな資質が必要だと考えているのか、という説明がされていません。憲法第15条に定められたとおり、公務員を選ぶことは国民固有の権利です。県教委はこの仕事を県民から付託されて行っているのですから、本来の権利者である県民に対し、「このような基準に基づいてこのような方法によって採用を決めました。」という報告をする義務があるはずです。

 私たちは主権者として、今後も引き続き、県教委に対し「選考基準」の公開を求めていくつもりです。

私の意見
 今回公開されたうち、小・中学校と養護学校で出された教職・一般教養の問題を静岡市立宮竹小学校教諭の四ノ宮隆司さんに見てもらい、意見を書いてもらいました。
 一般教養問題について、出題に偏りがあると感じました。マラソンの高橋選手がオリンピック後に受賞した賞は何かとか、相撲の決まり手や力士の出身、サラリーマン川柳など、「幅広い教養」を持っているかどうかというよりはテレビをよく見る人かどうかを試しているようですね。教職教養にしても最近の関連事項ばかりで、大学の講義で習うようなことはほとんど出てきませんね。
 また、現場での教育実践力を見ようとする姿勢は感じられますが、教師としてのセンスを見る出題は少なく、多くが対処法を問うものばかりです。これこそまさに知識偏重。結果として、だめな教師像だといわれているマニュアル教師を作り出すのことになるではないでしょうか。こうした問題では模範解答を公開すべきだと思います。そしてその解答が本当にそれでよいのだろうかという意見交換がされるべきで、出題の質を高める上でも是非そうすべきです。
 全体を通してまず思ったことは、採用する側がどういう教師像を求めているのか知りたいということです。勉強して、就職浪人してでもチャレンジしたいと努力する多くの人々に正しい情報を提供すべきです。どのような人物が採用されるのか、具体的に試験の解答などで示されない限り、何をどう努力すべきなのかわからなく、所詮宝くじのような物になってしまうと思います。

公開された試験問題が見たい方はこちら