危険な横断歩道part2

2000.01.01(土)

以前,島田警察署のすぐ近くにある横断歩道が,信号機が設置されていないために大変危険だという話を書いた。(危険な横断歩道)
今日,その横断歩道で,私の娘が危うく車にひかれそうになった。

時刻は17時30分頃,私は,妻,義弟,私の娘,息子,義弟の娘2人の7人で,その横断歩道を南から北へ横断しようとしていた。私たちから見て手前が下り線,向こう側が上り線となる。
私たちは車がとぎれるのを待っていた。私たちの前を10台ほどの車が通り過ぎていった。下り線を通っていった数台は,そのほとんどが横断歩道の前で減速した。横断しようとしている私たちの姿を見てのことだろう。しかし,私たちは,車が完全に止まるのを待っていた。それを見てすぐには渡らないと判断するのだろうか,どの車も横断歩道の数メートル手前から加速して私たちの前を通り過ぎていった。

そのうち,下り線を走ってきた車(図の車A)が停車した。上り線を走ってくる車(図の車B)は,横断歩道までまだ少し距離があった。そこで,私たちは,車Bの様子をうかがいながらゆっくりと横断し始めた。その私たちを見て車Bが停車するであろうことを,これまでの経験から予想していた。
ところが,私の娘は,自分が一番乗りをしようと思ったのか,一人で走り出してしまったのだ。そこへ,車Bが突っ込んできた。おそらく,車Bはゆっくり渡り始めた私たちを見て,私たちの前を走り抜けられると判断したのだろう。そこへ,娘が飛び出した形になった。
不思議と,娘が車にひかれるという気はしなかった。しかし,「だめ!!!」という叫び声が私の口から飛び出していた。その声を聞いたからか,あるいは左から突っ込んでくる車に気づいたからか,娘はとっさに立ち止まり,2,3歩後ずさりした。車Bは急ブレーキをかけ,タイヤの焦げる臭いと「キイィィィィ!」という音とともに娘の目の前を通り抜け,横断歩道を越えた所(図の地点C)で停車した。

頭に来た。もし運転手が窓を開けて「バカヤロー!危ないじゃないか」などと言おうものなら,その場で襟首をつかんで引きずり降ろし,車もろともボコボコにしてやろうと思った。しかし,車は窓を開けることもなく,今度は静かに走り去っていった。

冷静になって考えてみれば,私にもいくつかの落ち度があった。

第1に,車Bが停車する前に渡り始めたこと。上下線とも車が停車して,完全に安全であることを確認するまでは歩き出してはいけなかったのだ。

第2に,娘の手を引いていなかったこと。娘と手をつないでいれば,娘も走り出そうとはしなかっただろうし,仮に走り出しても制止できたはずだ。

この2点については,幼い子を持つ親としては失格だと反省した。子供の安全を最優先に考えていれば,このような軽率な行動はとらなかったはずである。さらに,教職にある自分としては,時には交通安全について生徒に指導する立場にあるわけで,ただただ恥じ入るばかりである。

第3に,「車Bが止まるだろう」という自分勝手な思いこみに従って行動したこと。「他の車はこう動くだろう」という勝手な見込みによる運転が事故につながることは,自動車学校でも厳しく指導されたことだ。それは,歩行者とて同じことなのだ。

しかし,それらを深く反省した上でも,あの車Bには腹が立つのだ。だって,横断歩道に歩行者がいないことを確認できないときは,徐行しなくては行けないことになっているじゃないか。ましてや,今日の場合は明らかに横断する人間がいたのだ。見えなかったとは言わせない。7人もの人間がいたのだし,私は真っ白なダウンジャケットを着ていたのだ。車Bは停車する義務があったのだ。明らかな道路交通法違反だ。

しかし,こんな事態も,この横断歩道に信号がついていれば起こらなかったのにと思う。押しボタン式の点滅信号でいいのだ。

この横断歩道が危険なのは以前「危険な横断歩道」に書いたとおり。静岡県警に電子メールで信号の設置をお願いしたこともある。まだインターネットを始める前だから,もう数年前になると思う。「危険な横断歩道」に書いたことと重複してしまって恐縮なのだが,この道路は今でこそ県道ということになっているが,何年か前までは国道1号線だったのだ。北にバイパスができて,そちらが国道1号線となったために県道として払い下げられたけれど,国道1号線から直接接続している「藤枝バイパス」の料金が東名高速道路並みに高いため,いまだに国道時代と大差ない交通量があるのだ。
そこに,信号機のない横断歩道があるだなんて!
危険な横断歩道」に書いたとおり,ここで起こった2件の追突事故を知っている。実際には,もっと起こっているのだろう。でも信号機はまだ設置されていない。きっと,当分設置されないだろう。
この横断歩道に信号機が設置されるのは,ここで人身事故が起こって人が死んでからなのかもしれない。

この横断歩道は待っている。警察署のすぐ前で待っている。信号機設置のために,誰かの命が犠牲になるのを待っている。

ここは「