「告白」


いつものように 汽車を待つ駅で
君は静かに口を開いた
彼のこと 一生懸命 話してくれたね
君が心を開いてくれたこと うれしかったよ
 君はずっと 悩んでいたんだね
      苦しんでいたんだね
3本目の電車を 見送ったとき
君の頬を そっと 流れた涙
それが 彼のためだと思うと くやしくて
ただ ただ 僕は話を聞くしかできなかった
君の涙が晴れるまで となりにすわってた
きっと それが 僕の役目だったから

 
けど
心の中の バランスが くずれた

ひきょうなのは わかってる
こんな時に 言ってはいけないとわかってる
でも 言いたかった
今まで コンクリートのように固まってた言葉が
息を吐くように 自然に 言える気がした
貨物列車が通り過ぎる中
ぽつりと 一言つぶやいた
「好きだよ」
僕の想いは 風の中に消えていった
とどかなくても いいと思った
ただ言葉にしたかった
 
だけど轟音が去ったあと
彼女は ゆっくりと うなずいてくれた