ルーペ身近な理科室

花びらおしべ

チューリップ



この絵は1998年秋から、翌年の春にかけて育てたチューリップの花と、
その中に見つけた1枚の少し変わった花びらとをスケッチしたものです。
花びらのふちに、おしべの葯(花粉ぶくろ)がついています。




このような花びらを私は、ほかにユリ、バラ、ツバキ、サザンカで見つけたことがあります。特にサザンカでは、見つけるのはあまり難しくありません。八重咲きの花や、この絵のチューリップように花びらが乱れたようについているものにはよく見つかります。


花を形成している、がく、花びら、おしべ、めしべはすべて長い進化の歴史の間に、葉が変化してできたものと考えられています。上の例のように、これらのものの中間の形のものがときに見つかるということは、そのように考えられる根拠のひとつとされています。

の中間形の例をいくつかあげます。
葉のなごりをのこした緑色の花びらをつけるサクラやバラの品種があります。
つぼみの時期だけ緑色をしている花はよくあります。例えばアジサイやこの絵のチューリップがそうで、開花が近づくにつれて緑色が減ってゆき赤、ピンク、青、黄、白などの色になります。
ポインセチアやブーゲンビレアの、花びらのような鮮やかな色のものは葉です。たしかに葉の形をしています。どちらの場合も花はその美しい葉に囲まれた地味な存在です。

参考文献
・陸上植物の起源と進化(岩波新書) 西田 誠著
・一億年の旅−花の中の秘密−(筑摩書房) 新関滋也著

・週刊 朝日百科 植物の世界 第55号


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