ルーペ身近な理科室2.

** 白いレンゲ **

レンゲ田



1993年4月、静岡市郊外の水田で白い花をつけたレンゲを見つけました。一面のピンクの中に、そこだけぽつぽつと白く、遠くからも目立ちました。

(あまり良い写真でなくてすみません)




これらの白いレンゲの花に近づいてよく見てみました。完全に真っ白なものはなく、一部がごく薄く通常のピンクに色づいていました。その色が濃いもの薄いもの、色づいた部分の面積が大きいもの小さいもの、いろいろありました。そのときから10年以上も前、ある山の道で白いキツネノマゴの花(やはり普通はピンク)を見たのを思い出しました。たしか2,3株だけだったと思います。
白いレンゲの花を見つけた水田には、その後毎年レンゲの咲く頃行っていますが、2度と白い花を見ていません。

花の色素はいくつかの遺伝子のはたらきにより、原料となる物質から何段階かの化学変化を経て生成されます。これらの遺伝子のどれかにに欠陥が生じると色素がつくられず、白い花になります。
私が見つけた白いレンゲやキツネノマゴの花は、何かの原因で遺伝子がそのようになったのでしょう。

このような自然界で生じた白い花は、紫外線や病気、害虫に弱く、また昆虫による受粉も受け難く、一代限りで終わってしまうことが多いそうです。

<参考文献>
・花の色の謎(東海大学出版会) 安田 斎著
・週刊 朝日百科 植物の世界 第55号


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