ルーペ身近な理科室3.

木が水に沈む ##

<木は水に浮きますが、実は水より重い物質でできています>


●木を水に沈めることができます

<実験1>
わりばしを3cmほどの長さに切りとります。これを次のまたはのどちらかの方法で処理します。
a.耐熱容器に100mlほど水を水に沈むわりばし入れ、その中にわりばしを入れラップをかける。これを電子レンジで5分間チンする。
b.煮立っている湯に入れ3分間煮沸する。
このわりばしを、はしなどですぐ取り出し、(別の器に入れた)水の中に入れます。数秒後に沈んでいきます(右の写真)。

<実験2>
わりばしを、やすりでこすって粉にします。耳かき一杯くらいで十分です。コップに八分目ほど水を入れておきます。この水の中にわりばしの粉を入れてかきまぜます。かきまぜをやめた後、粉はゆっくりと沈んでいきます。


●なぜ木が水に沈んだのでしょう

同じ体積で比べた場合、水より軽いものは水に浮き、重いものは沈みます。
1cm3の水の重さは1gです(4℃の場合)。その水に木材は浮きます。つまり、1cm3の木材の重さは1gより軽いのです。しかし、これは木材をつくっている細胞は、死んで中身がなくなっていて、そこに空気が含まれているからです。木材を乾燥させて粉にしたものは密度1.6g/cm3(下記 参考文献2)、つまり体積1cm3の重さは1.6gです。ですから実験2で、わりばしを粉にしたものは水に沈みました。
軽石を思い出してください。軽石は水に浮きますが、それは軽石がスポンジのように隙間だらけで、そこに空気が含まれるからです。軽石をつくっている物質自身は、水よりずっと重いのです。木材もそれと似ています。
実験1のようにすると、木材の隙間に水が入り込んでいくので、わりばしは沈みました。

<参考文献>
1)NHKやってみようなんでも実験vol.2(NHK出版)
2)雪氷十話(自費出版-吉田ツタ発行) 吉田順五著
19664年9月〜10月に毎日新聞の連載コラムに掲載されたもの。著者没後の1994年に夫人によって冊子にまとめられた−同書より)


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