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KANONE
〜雪の季節へ〜


「第3話 激闘」




「祐一さん達、遅いね……(佐)」

「遅い……(舞)」

先に滑り降りてきた佐祐理と舞は祐一と浩平の二人を待っていた。

数分前から待っているのだがリフトで降りてくる気配もない。

「どうしたんでしょうか? (佐)」

「遅い……(舞)」

「その声……佐祐理ちゃんと舞ちゃん? (み)」

「え? (佐)」

後ろを振り向くとみさきが大きい雪玉を持って立っていた。

「あ、川名さん (佐)」

「みさきで良いよ (み)」

「ん〜……それでは、『みさきちゃん』で良いですか? (佐)」

「うん、それで良いよ (み)」

「みさきちゃんは何をしてたんですか? (佐)」

「大きい雪玉……(舞)」

「あ、これは雪だるまの頭を作ってたんだよ (み)」

「ふぇ〜、結構大きいですねぇ (佐)」

「大きい……(舞)」

「栞ちゃんが10メートルの雪だるまを作りたいって言ったから頑張ってるんだよ。ところで二人は? (み)」

「祐一さんと浩平さんを待ってるんです (佐)」

「え、一緒じゃなかったの? (み)」

「行方不明……(舞)」

「え!? 大変だよ (み)」

「そうなんですよ……(佐)」

 ・
 ・
その頃の二人は


(浩平視点)

「「ぎゃあぁぁぁぁ〜!!」」

傾斜を滑走(?)中だった。

やばい、このままではやばいぞ〜!!

「相沢〜、何とか止めねば!! (浩)」

「そうだっ!板でブレーキを掛ければ!! (祐)」

「そうか、良しっ!! (浩)」

ガガガガガ

バキッ

あまりの衝撃で板が耐えられず折れ飛んだ。

「………(浩)」

「………(祐)」

「どうするんだぁ〜!! (浩)」

「落ち付け折原、こういう時はじっくり考えるんだ! (祐)」

「そうか、よしっ! ……って、そんな場合か!! (浩)」

その時、斜面に突き出ている木の枝が見えた。

「あれだ! (祐)」

先に滑降した相沢が枝に飛び付く。

ガシッ

「つかまれ折原!! (祐)」

「おぅ!! (浩)」

ガシッ

一瞬のタイミングを逃さずに何とか相沢の腕に掴まった。

「うぐぐっ、腕が千切れる……(祐)」

「放すなよ!! 放したら二人とも御陀仏だぞ! (浩)」

「そ、そんな事わかって……(祐)」

バキッ

この嫌な音は……

もちろん枝が折れた音だった。

「「わああぁぁぁぁ〜!!」」

 ・
 ・
再び下の人達
 ・
 ・

下では他のグループも集まってきていた。

「それで祐一さん達が戻ってきてないんですね?(栞)」

「そうなんです……(佐)」

「相沢君らしいわね (香)」

「祐一はいつでもいい加減だからね (名)」

「浩平も同じだよ〜 (瑞)」

「きっと何処かで遭難でもしてるのよ (七)」

『不吉な事言わないでなの』

澪が必死に七瀬の言葉を否定する。

「でも、もしかしてって事も……(雪)」

「雪ちゃんも不吉な事言わないでよ〜 (み)」

と、その時!



(浩平視点)


「「どわああぁぁぁ〜!!」」

「相沢君!? (香)」

「浩平!? (瑞)」

このまま行くと……

正面には……って!

「やばい、みさき先輩どいてくれ!!」

「え、浩平君!?」

「「あああぁぁぁぁ〜!!」」

ドッカ〜ン!!

まるで爆弾のような爆音を放ちながらみさき先輩に激突した。







「うう〜ん……(浩)」

未だ頭がぐらぐらする……

「浩平、大丈夫!? (瑞)」

「あ、ああ……」

「みゅ〜! (繭)」

グワシッ!

「痛ててて! こら、掴まるな!! (浩)」

「みゅ〜……(繭)」

「まったく……って、みさき先輩!! (浩)」

雪に埋もれていたみさき先輩を掘り出す。

「みさき先輩!! (浩)」

みさき先輩は目を渦巻き状態にして気絶していた。

「………(きゅぅ〜)」

マンガではお約束だな……

「み、みさき! 大丈夫!? (雪)」

「あははは、大丈夫さ……お〜い、みさき先輩 (浩)」

「………(きゅぅ〜)」

「う〜む、起きない……(浩)」

「ちょっとどうするの!? (雪)」

「こういう時は『あれ』しかないな……(浩)」

「『あれ』? (雪)」

「目覚めのキスを……(浩)」

「こらぁ〜!! (七)」

ゴスッ!

「痛あぁぁっ! (浩)」

七瀬の飛び膝蹴りが後頭部へとヒットした。

「何だよ (浩)」

「気絶したからってそれは無いでしょ (七)」

「なに!? どうしてだ (浩)」

「そんな寝込みを襲うような事は犯罪よ (七)」

「何を言う、これが俺の治療法だ! (浩)」

「浩平、無茶苦茶だよ〜 (瑞)」

「う、う〜ん……(み)」

と、そんな事をしている内にみさき先輩が目を覚ましてしまった。

ちっ、チャンスを逃したか……

「あれ、私一体……? (み)」

「良かった。みさき、気が付いたのね (雪)」

「うん……でも、何が起きたの? (み)」

「ごめん、みさき先輩。俺が激突したんだ (浩)」

「え、浩平君が? (み)」

「かくなる上はこの腹をかっぱ裂いて!! (浩)」

「怒ってないからそんな事しないでよ〜 (み)」

みさき先輩が慌てて引き止めてきた。

「本当? (浩)」

「うん (み)」

「ほっ、良かった……(浩)」

そう言えば相沢は……

「ひええぇぇぇ〜! (祐)」

なんだか知らんが大変な事になってる……

「だからあれは不可抗力で! (祐)」

「……許さない (舞)」

「う〜、祐一さん覚悟です (栞)」

一体何が……



怪我は無かったのだが。

「まぁ、そんなわけで俺達はスキー板が折れてしまったわけだ (祐)」

「レンタルは? (名)」

「う〜ん、やはりそうなるか……(祐)」

「でもあれを体験した後で滑る気にはならないな……(浩)」

これでスキーがトラウマにならなければ良いが。

「じゃあ、雪合戦しましょう! (栞)」

「雪合戦? (祐)」

「はい、雪合戦です (栞)」

「良いわね、チームに分かれて対戦なんて出来るし (香)」

「雪合戦なんて久しぶりだよ (名)」

「ふぇ〜、楽しそうですねぇ (佐)」

「……楽しそう (舞)」

「私、雪合戦ってあんまりやった事が無かったんだよ (瑞)」

「腕が鳴るわ (七)」

「みゅ〜♪ (繭)」

『楽しみなの♪』

「んじゃ、雪合戦にするか? (浩)」

「そうするか (祐)」

「私もやらなくてはいけないんでしょうか……? (茜)」

「もちろん♪ (柚)」

「うぐぅ、怖いよぉ〜……(あ)」

「わ〜い、雪合戦〜♪ (み)」

「みさきは出来ないでしょ (雪)」

「え、何で? (み)」

「目が見えないのにどうやって雪合戦するのよ (雪)」

「大丈夫、心眼でやるよ (み)」

「馬鹿な事言わないでよ……(雪)」

「安心しろ深山さん、みさき先輩は俺が守る! (浩)」

「ありがとう、浩平君! (み)」

「はいはい、お馬鹿二人組みは仲良くやってなさい……(雪)」

と、その時!

「「ふっふっふ、どうやら俺達の出番のようだな」」

どこからともなく声が聞こえる。

「誰だ!? (祐)」

「「俺達だぁぁ〜!!」」

スタッ

うおっ、空から人が!……って……

「なんだ、脇役の二人組みか (祐)」

「北川だっ! (北)」

「住井だっ! (住)」

「だって読者だって今の今まで忘れてたぞ (祐)」

実際、殆どの人が忘れてただろうな。

「ぐあっ、言うてはならん事を! (住)」

「それで何が出番だって? (浩)」

「ふははは、俺達の雪合戦のレベルを甘く見ちゃいけないな (北)」

「お前達では俺達には勝てん! (住)」

「ほほう? (浩)」

「じゃあ、試してみるか? (祐)」

「はっはっは、良かろう (北)」



かくして



「第一回、チキチキ雪合戦大波乱の巻、最初に負けた二人は『お・し・お・き・よ(はぁと)』大会〜 (秋)」

「秋子さん、そのネーミングは……(祐)」

「不満ですか? (秋)」

「いや、不満と言うかなんと言うか……(祐)」

「良いじゃないか、素晴らしいネーミングだぞ (浩)」

「はい、チームは祐一さんチームと浩平さんチームに分かれてやります。ちなみに私は審判を…… (秋)」

(つまりはKanonチームとONEチーム)

「一度当った人はアウトですから外に出てくださいね。かする程度だったら大丈夫です (秋)」

チームに分かれるとそれぞれ陣地に防御壁を作り始める。

「自分の陣地から出てはいけませんよ、陣地と陣地の間は2メートルです。わかりましたか? (秋)」

「「「は〜い」」」

「それでは、スタート! (秋)」

「はっはっは〜、相沢くたばれ〜! (住)」

「はっ、そんな雪玉が当るか! (祐)」

ヒュンッ

雪玉の豪速球が相沢の顔の横をかすめた。

「危ねぇ!! (祐)」

「ちっ! はずしたか…… (住)」

住井はもう一度雪玉を作り始める。

「祐一さんを狙う人は私が許しません (栞)」

「栞ちゃん、やめておきなさい。君では俺に勝てないよ (住)」

「えいっ! (栞)」

「あっはっは、かわいい投げ方だな (住)」

住井が軽く避けたその時。

ピシッ

住井の顔を雪玉がかすった。

そして住井の頬からは血が……

「栞ちゃん……もしかして石入れた? (住)」

「はい (栞)」

「入れるなぁ〜!! (住)」

「うむ、最初の一撃はフェイントだったのか。なかなかナイスな攻撃だ (浩)」

「いや、それ以前に石を…… (住)」

「駄目ですか? (栞)」

「当たり前! (住)」

「どんどんいきますよ (栞)」

「こらぁ、俺の話を聞いてくれ〜! (住)」

ヒュンヒュンヒュン

「わぁ〜!! (住)」

「隙あり! (祐)」

べシャッ

「はぅっ! (住)」

「住井君アウト (秋)」

「残念だったな、住井 (浩)」

「味方なら助けろよ…… (住)」

「いや、お前は活躍するよりやられ役のほうが面白いからな (浩)」

「この野郎! (住)」

住井はしぶしぶと陣地から出ていった。

「ふん、まだまだ青いぞ住井 (北)」

北川が数個の雪玉を持って現れる。

「これが本当の投げ方だぁ〜!! (北)」

ヒュンヒュンヒュン

「どわぁ!! (浩)」

なんだあのマシンガンのような投げは!?

「う〜む、やるな北川……(住)」

「脇役のくせにやるな北川 (祐)」

「あのなぁ……(北)」

「ふぅ、どうやってあの攻撃を避けるか……(浩)」

「無駄、無駄。俺の攻撃は72%完璧だ! (北)」

「随分中途半端な完璧ね (七)」

「ここは私にまかせて (み)」

「ちょっとみさき先輩!? (浩)」

「みさき!? (雪)」

みさき先輩がふらふらと北川の前に立つ。

「みさきさん、正気ですか? (北)」

「正気だよ (み)」

何を考えてるんだみさき先輩は!?

「仕方ない、軽く……(北)」

ヒュッ

するとみさき先輩は軽くそれを避けた。

「え? (北)」

「当らないよ (み)」

「そんな、目が見えないのに…… (北)」

ヒュンヒュンヒュン

サッサッサ

「どうしたの? (み)」

「なんで当らないんだ! (北)」

ヒュンヒュンヒュンヒュン

ササササ

これが心眼の力か……

「もう設定がめちゃくちゃなんだけど (香)」

「気にするな。気にしたら終わりだぞ (祐)」

「くそ〜!! (北)」

ササササササ

「終わりだよ (み)」

べシャッ

「ぐおっ! (北)」

みさき先輩の投げた雪玉がいとも簡単に北川にヒットした。

「北川君、アウト (秋)」

「人間じゃない……(北)」

がっくりと肩を落とし北川が住井の隣へと座る。

「ふっふっふ (住)」

「笑うな! (北)」

「さてと本格的に始めるか (祐)」

「そうだな (浩)」

「ちょっと待て〜、俺達がやられるまで待ってたのか! (北)」

「あ、バレた? (浩)」

「俺達はやはり脇役なのか……(住)」

「泣くな、泣くんじゃない住井! (北)」

ガシッ

手を取り合って泣く二人。

「気色悪いわね、あの二人 (香)」

「しっ、見るんじゃありません! (祐)」

「と言ってる間に隙あり (浩)」

ヒュン

「おわっ! (祐)」

ちっ、避けられたか。

「やりやがったな (祐)」

「私もいくよ (名)」

「うぐぅ……えっと、とりあえず……(あ)」

「あはは〜、いきますよ〜 (佐)」

「……覚悟 (舞)」

「あぅ〜、真琴を忘れないでよ〜 (真)」

「やっぱり雪合戦は楽しいです♪ (栞)」

「栞、あんまり無理しないでよ (香)」

「こっちもいくぞ! (浩)」

「やっと本格的な雪合戦だよ (瑞)」

「ふっふっふ、私の腕を見せてやるわ (七)」

「やはり私もですか? (茜)」

「当たり前 (柚)」

『雪玉作るの♪』

「みゅ〜♪ (繭)」

「これからが本番だね (み)」

「みさき……あなた何者……(雪)」

そしてやっと本番の雪合戦が始まる。

「おい、今までは何だったんだ!? (住)」

「俺達の戦いは……(北)」

「お遊びに決まっておろう! (浩)」

「「そんな〜!!」」



べシャッ

「はぅっ! (七)」

「きゃっ! (瑞)」

『きゃぁ〜、なの』

「冷たいです……(茜)」

「あ〜あ、やられちゃった (柚)」

「留美ちゃん、瑞佳ちゃん、澪ちゃん、茜ちゃん、詩子ちゃんアウト (秋)」

「あはは、当っちゃいました (佐)」

「……さすが佐祐理 (舞)」

やはりあの二人、人間じゃない……

動きが見えんかった。

「私もいきますよ (栞)」

「えい! (あ)」

「それ! (真)」

サササ

「反撃だよ! (み)」

べシャ、べシャ

「うぐぅ、冷たいよ〜……(あ)」

「あぅ〜……(真)」

「危ない、栞! (香)」

べシャ

「お姉ちゃん! (栞)」

「あゆちゃん、真琴、香里ちゃんアウト (秋)」

「お姉ちゃん、ありがとう (栞)」

「これくらいどうって事無いわよ (香)」

「うりゃ (浩)」

べシャ

「きゃっ! (栞)」

「栞ちゃん、アウト (秋)」

「私の犠牲の意味は……(香)」

「あはは、お姉ちゃんごめん……(栞)」

「こうなったら俺が! (祐)」

「えい (み)」

べシャッ

「あうっ! (祐)」

「祐一さん、アウト (秋)」

「祐一、カッコ悪い……(名)」

「言うな……(祐)」

「今のうちに総攻撃だ (浩)」

「それ! (雪)」

「みゅ〜! (繭)」

べシャ

「名雪アウト (秋)」

「う〜、当っちゃったよ……(名)」

「よしっ、あとは二人だけだ (浩)」

ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン

「あはは〜♪ (佐)」

「遅い (舞)」

ササササ

いとも簡単に避ける倉田さんと舞。

「舞、いくよ (佐)」

「……わかった (舞)」

絶妙なコンビネーションで攻撃を仕掛けてきた。

「それそれそれ (佐)」

ヒュン ヒュン ヒュン

「おわっ! (浩)」

「きゃっ! (雪)」

「みゅ〜! (繭)」

なかなかのスピードだがそんなものでは俺は捕らえられん!

「……もらった (舞)」

しまった!

べシャ べシャ べシャ

「くそ〜……(浩)」

倉田さんはフェイントか……

「冷たい……(雪)」

「みゅ〜……(繭)」

「浩平さん、雪見ちゃん、繭ちゃんアウト (秋)」

「う〜、みんなやられちゃったの? (み)」

「すまん、みさき先輩。後は頼んだ! (浩)」

「ちょっと、私じゃ勝てないよぉ〜 (み)」

「もらいました (佐)」

ヒュン ヒュン ヒュン

サササ

「十分じゃないか……(浩)」

心眼の力があれば勝てるかもしれん。

「舞、一気にいくよ (佐)」

「(コク)」

倉田さん、舞の連激コンボ。

「わっ、危ないよ! (み)」

と言いながら避けてるし。

「舞、もっといくよ (佐)」

「(コク)」

それにしても凄いコンビネーションだ。

倉田さんが投げてる間は舞が雪玉を補充し、

舞が投げてる間は倉田さんが雪玉を補充してる。

しかも時折二人での華麗なる攻撃を見せるし……

ふっ、この人達は……

「まだまだ当らないよ! (み)」

そして避けるあなたもすごいよ、みさき先輩……

実は盲目って嘘?

人間の動きじゃないって。

「やるな、あの三人 (北)」

「まぁ、俺達には到底及ばないがな (住)」

「「くっくっくっく」」

黙ってろ、この脇役コンビ。

まだまだエキサイトするな、この闘い……



まだまだ続くね by みさき


written by 砕


後書き?

(砕)「あはは、若い者は元気だなぁ」

後ろから、アウトした者達に近づく

(砕)「死にさらせぇ!!」

首を掴む

(北)「ぐえぇぇぇ!!」

(住)「こら、いきなり首を締めるな!」

(砕)「いや〜、後ろから近づくと、ついやっちゃいたくなってね♪」

(北)「危ない癖を作るな!」

(砕)「それにしてもかなり早くアウトになったね、脇役ブラザーズ」

「「脇役ブラザーズ言うな〜!!」」


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