近所づきあい

 ここは田舎だが、やはり団地である。名前にもしっかりと「・・団地」と「団地」名がついている。土地造成をしたときに、87戸に分譲し、かつ16組に区分けされ、その一つ一つに組長、副組長がいる。そして、春と秋に団地じゅうの「草取り清掃」がある。
朝、8時30分開始といっても、その時間に出かけていくとすでに清掃作業は始まっていることが多い。亭主の独断で買うことになったのに、いつも当日は亭主の都合が悪く、たいてい私が「草取り清掃」に参加する羽目になる。
最初は「何でこの私が行くの!」と文句たらたら参加していたのだが、出かけてみると顔見知りもできて、これはこれで結構楽しい。清掃のあと公園に集まって、ビールやジュースでご苦労様会を行う。これで仲間入りをした気分にもなる。いつかは老後のご近所さんだもの、「ごますり外交」というところだろうか。

 そのお陰ではないが、ある時寒波で水道管が破裂して、2階の風呂場の外側に出ていたボイラーから滝のように水が流れていると電話が入った。またある時は、どうも2階の窓が開いているようだと電話をいただいたりする。ずいぶんご近所から助けられています。
 田舎だけど、家の周りに住んでいるのは勤め人が多い。というよりほとんど勤め人で、うち2,3割が別荘という環境だ。 そして、半径100m以内に小さな食料品のマーケットと、クリーニング屋兼洋品店とお寿司屋さんがある。

 畑のご近所はもちろん農家が多い。畑の南側は茶畑で、北側は車1台が通れる道があり、道の向こうには小道が続き農家の庭先に入る。畑の東側も小道と整地しただけの空き地があり、西側は一段高くなって、農家の裏庭となっている。鶏のコケコッコと犬(おとなしい)と物置がデンと建っている。斜め筋向かいは、まいごのキイちゃんを捜してくれたおばあちゃんが住んでいる。
ここは花好きさんが多く、大きな花木が季節ごとにかぐわしい花をつける。

 たった一つ難点を言うとすれば、猫の天下で猫だらけだ。誰がこんなに猫を飼っているんだろう。夏、手足をむき出しで草ぼうぼうを歩くと、猫のノミがおそって来ることがたまにある。毎年とは言わないけれど、皮膚科に行って薬をもらうことになる。
これは、猫の嫌いな木酢液をまいたり、草取りをまめに行うしか防ぐ方法はなさそうだ。