土中堆肥
土中堆肥は、
収穫終了後次の定植まで、果樹の休眠期に、C/N比40からスタートして、土中C/N比を15〜20に整えるように土作りをおこなう。
土中堆肥の目的は、
土壌・作物にとって有効であること。
@土壌の物理性の改善が第一。
A土中の生物性の改善。
B土壌の化学性の改善。
C植物に養分を供給する。
のために土中C/N比を15〜20にして微生物、根毛にとって最適環境を提供し、養分コントロールしやすい性状をつくる。
土中堆肥とは、生のモミガラ・ワラをカルスNC−R(またはアイデンカルス)、PSB(光合成細菌)、チッソと共に土中に漉き込む。土中で堆肥化することによってモミガラ・ワラの養分をそのままそっくりロス無く利用することである。
有機物分解には微生物が介在し、彼らのエネルギー源になるチッソが必要。微生物が、生の有機物という「ごはん」を食べるためには、チッソという「おかず」が必要なのです。必要なチッソは投入有機物の炭素率C/N比を40にさせる量。この時のチッソは酸性のものよりアルカリ性にして使うほうが良い。それは、分解時の微生物が弱アルカリ性を好むからです。(一般例では:硫安より石灰チッソになる)
生有機を分解させる時に有害ガスが生じるが、それすら無害なものにし、かつ二酸化炭素(CO2)として100%作物に利用させる。
土の中の有機物(堆肥)は、微生物・土中生物により分解され、その中間分解物質は、土の団粒化を図り、通気性や排水性(物理性)が改善されます。
また、土の中の微生物が活性化され(生物性の改善)、有機物が分解されたチッソやリン酸、その他の有機物に含まれている多くの元素が有効化され養分(化学性)となります。
さらに、有機物から出る腐植酸や*有機酸などは、植物の育成を促進する働きがあります。
つまり、土中堆肥は土作りの三要素の物理性、生物性、化学性を同時に進行改善できる優れた方法(技術)です。
*有機酸は新陳代謝を活発にし、植物内でも合成され、光合成(クレブス回路(クエン酸サイクル)等)や肥料の吸収を助ける根酸として重要な役割を果たしております。
また葉面へ散布した場合、吸収性に優れている。
有機物の炭素率C/N比を40させるわけ
炭素率C/N比20〜40程度の範囲で整えれば良いのだが、生有機を100%作物に利用するにはC/N40がよりよい。C/N比10以下にするとどういうわけかC/N比20に上げようと窒素をアンモンニアにして放出して悪臭が出やすい。このままにしておくと濃度傷害がおき根に異常をきたす。C/N40以上にしておくと悪臭は出ないがチッソが不足してチッソ飢餓をおこし根毛に異常をきたす。
C/N比10
C/N比10以下は有機物が分解し終わって燃え尽きた状態である。一般堆肥などがこの状態になる。これはこれで菌体の塊、腐植として必要であるが、有機物有効利用からすると有機物のエネルギーは空っぽで粕だと表現され、有機物利用を極めた篤農家からは敬遠されている。
C/N10は地力の元であり、土中生物にとって活躍できる環境であり、植物にとっても活性できる環境である。が、C/N10以下になると状況は逆転する。土中の炭素率は常にC/N比15〜20に保つのが良い。
C/N比10とC/N比10以下は大きな違いがある。
土中堆肥の2大役割
土中堆肥に含まれる養分
分解されてできる安定した腐植
土中堆肥の10効果
1、要素(チッソ・カリ・リン酸)の供給。
2、ケイ酸、微量要素の供給。
3、土中堆肥(以下堆肥という)は、チッソは化学肥料のものと違い、タンパク態として存在して暖効性の肥料である。そして地力チッソとして蓄えられる。
4、堆肥の中の腐植有機物には、根の発生と伸長を助けるホルモンに似た働きをするものがある。
5、堆肥は土中生物の培養土となりどんどん繁殖させる。
6、腐植が増加させ、土が団粒構造になり土の物理性を改善する。
7、腐植の増加はマイナスの電気を持ち、アンモニア・カリ・カルシウムはプラスの電気(陽イオン)を持った養分をくっつけて保持する。その力は粘土の10〜20倍大きい。
8、堆肥の腐植は、根を傷めたりリン酸を不溶化させる活性アルミニウムの力を抑える。作物の生育に有害な銅・鉛・カドミウムなどの重金属の害を直接与えないようにしている。
9、堆肥の腐植は、いろんな緩衝能(phの変動が少ない)を持っている。
phの安定作用の他に、肥料の過剰施用の害、重金属の害、水分不足の害、低温時の被害、など他の条件が悪くてもその衝撃を和らげるクッション作用を持つ。
10、一般腐熟堆肥は急には分解しない。堆肥は分解が続き、炭酸ガス(二酸化炭素CO2)を出して植物に供給して光合成を助ける。呼吸熱も出る。