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五貫嶋邑観音堂

庚申さんと身代わり猿

五貫島の庚申さんは「幸神」さん。

村人の安住と幸福を願った観世音菩薩様とともに、北方を守る庚申を「幸神」と結び付けて祀ったと想像される。

昔話

「庚申」とは 「かのえ・さる」で、干支(えと)の十干(じっかん)と十二支(子丑寅…)の組合せによるもので、その組み合わせは60通りあり、60日に一度めぐってきます。

最近の庚申の年は昭和55年(1980年)でした。その前は、大正9年(0920年)です。

 庚申(コウシン)は青面金剛(ショウメンコンゴウ)といい夜叉(ヤシャ)神で、その姿は降魔の形相で恐れを感じさせ、一面三眼六臂(1つの顔、3つの目、6本の腕)の姿をしています。頭頂には髑髏(ドクロ)をいただき、六手には三鈷杵(さんこしょ)、弓矢、宝剣、三股叉、法輪、鬼の首などの持物。三猿(見ざる・言わざる・聞かざる)と、2羽(つがい)のニワトリを従えて立つ。

帝釈天(タイシャクテン)の使者で,羅刹(ラセツ)とともに毘沙門天(ビシャモンテン)の眷族(ケンゾク=親族)となって北方を守護するとされる。

猿田彦も庚申も猿(申)どうしで中世から道祖神(猿田彦命さるたひこのみこと)の信仰とも結びついた。「猿田彦命」は「道案内の神様」「旅の安全の神様」です。身の丈7尺、精悍な顔立ちのため、日本書紀には「俳優の神」「ちまたの神」と記されています。

 庚申信仰は、貴族の間で盛んであったが、江戸時代に入ると、農民は豊作、漁民は豊漁を、商人は商売繁盛をここに求めるようになった。

「三尸(さんし)の虫人体に棲み,人の罪過を見張っている)」退治

◎「三尸の虫」は、上尸・中尸・下尸*という三匹で、人間の体内に棲み着き、絶えずその人の罪過を見張って行動を監視していて、庚申(かのえさる)の日の夜に眠っている人の体から抜け出して、その人の罪や過ちの一々を天帝に告げ、天帝が天の邪鬼(じゃき:たたりをする神)に命じてその人に罰を与えるという厄介な虫である。
そこで、
庚申(かのえさる)の夜、天帝に告げられないように徹夜して夜を明かす、ということである。
また、その夜は男女関係を絶ち、婚姻をすることを禁じられた。庚申の夜にできた子は盗人になるという言伝えもあり、生まれた子には"金へん"のついた名をつけた。金を持たせれば、盗人にならない、というわけ。

 *上尸・中尸・下尸は:
  上尸は頭に居て目を悪くして、顔の皺をつくり、髪の毛を白くします。中尸は腸内に居て五臓を悪くし、悪夢を見させ、
   大食いさせます。下尸は下半身に居て命を奪ったり、精力を減退させます。

◎三尸の虫は、こんにゃくが嫌いだったので、人々は庚申の日にこんにゃくを食べて退治した。
もう一つ猿が大嫌いだった。猿が仲間と毛づくろいをしている姿は、まるで「三尸の虫」を取って食べているような格好に見えたので、「三尸の虫」は恐れをなして逃げてしまったという。
そこで
「庚申さん」のお使いである猿を「身代わり猿」にし、家の軒先に吊るして悪病や災難が近寄らないように、おまじないをした。また、背中に願い事を書いてつるすと、願いが叶うといわれ「願い猿」ともいう。

五貫島邑庚申さんの効き目

第一は、無くなり物、盗られた物が戻ること。庚申さんを藁縄で縛り、「取り戻して下されたらひき団子を作ってお供えします。縄もといてあげます。」というて拝む。盗んだ人は頭がハゲるといい伝えで、すぐに戻しよったらしい。

第二の効能はイボ取りじゃ。「松かさを歳の数だけ供えますから」というて拝むと不思議にとれた。

第三の効能は、「うそいったら庚申さんにいうぞ」といわれると、バチをおそれて子どもらは正直になったそうじゃ。

お参りする人が多いほど力が増す。拝む時は庚申さんが誰か判るように身分を明かすべし。