四大元素と箱の鍵 3 〈風のサイン〉


 4大元素 … 鍵に想定される人物
 

・ ワンド(杖)      …火 → 理想  ヴォルフ  
・ ペンタクル(コイン) …地 → 物質  グウェン
・ ソード(剣)      …風 → 思考  コンラッド
・ カップ(聖杯)     …水 → 感情  ユーリ

 四大元素語り第3夜。
本日は風象サイン・コンラッドの存在をタロット的見地からのべていきます。
引用するカードはウェイト版で。

 風象サインの特徴は、“ことば”を主軸としたコミュニケーションをあらわします。
したがって思想を司るものになるのですが、そうですね…。
たとえばマスコミ、宣伝、通信から、ことばによる約束(誓約や条約)、哲学的なことなどなど。
思考→理論という考え方ですね。
 風のシンボルは“剣”であらわされていますが、何故かというと、ことばは物事を
分けるからです。つまり「良い」という判断は、同時に「悪い」があって初めて「良い」
というものが成り立つのです。
「あなたは立派ね」ということばの裏には「立派でない人」が生まれます。
「闇」がなければまた「光」もありません。
 このように、風の象徴として掲げられるのは正義の剣ですが、ひとたび間違って振り下ろせば
たちまち相手を傷つけてしまうのです。
創世記の初めは、「光あれ」という神のことばから始まります。
このことばが無ければ万物は形を作ることができず、 今の私達は存在することが
できなかったということです。
 ですので、物事を具現化するためにはこのことば…振り分ける剣が、絶対に必要なのです。
 そうしたところからコンラッド。
彼は古の血を継ぐ人間・ウェラー卿と、自由恋愛主義者ツェリ様の間に生まれます。
眞魔国の次男であり、この国におけるウェラー家の長男でもあります。
 生まれからして混血。そして大きくなってからは、各地を放浪して人間や魔族と
たくさんの交流を持ちました。
 一部の貴族からは敬遠されていたようですが、それでも彼は自分の同胞である
混血の仲間や、おそらくは迫害から逃れてきた人間の人たちともよく交流をもっていた筈です。
 王子という特殊な立場でありながら、家族や仲間の支えにより、長いことがんばってきました。
彼は保守的な貴族の多い宮廷のなかで、偏見や、ののしりに負けることなく、自分で世界を見て
正しい道を歩もうと努力していた筈です。
 やがてジュリアと出会い、フィリア(友愛)的恋愛を経験しますが、時代はそれを許しません。
心から愛した女性と結ばれるこは無く、戦争〜死別という悲劇がコンラッドを襲います。
しかし運命の輪は、時間を飛び越えた領域で回り続けていて、眞王の意思(この場合神の意思に
等しいですね)に従い地球世界へ。
 ここでも彼は、地球の様々な人や文化に触れ、多くの交流を持ったことでしょう。
そしてユーリの誕生を見守り、再び眞魔国へ。
 その後物語が展開していく中でも、コンラッドはずっといろいろな人たちとの交流の要でした。
ユーリはコンラッドを通して、すべての人に出会ってゆくのです。
これは、コンラッドのもつ、風の象徴の典型的力が発揮された結果ですね。
 本編では今、大シマロンに身を寄せる彼ですが、彼が正義の剣(ことば)を失わない限り
物事はねじれることなく進んでいくでしょう。
 しかしことばを司る、風のサインを背負った彼が超一流の剣豪であり、一方は寒すぎる駄洒落センスの
持ち主であるというのは、なんとも面白いことです。

 こうして彼の存在理由と、役割を思うと眞王のお考え…少しだけ見えてきませんか?
ツェリ様が魔王になる前から、すべてお見通しですよ。
彼女に課せられた役割は、来るべきときに備える…そういうことだったのではないでしょうか。
だからこそ、その役割を終えた彼女は早々に引退したわけですから。
魔族似てねえ三兄弟。一人の、自由恋愛主義の女性から生まれたキーストーン。
ふー、眞王さま。さすがに時間を飛び越えたところにいらっしゃる方は違います。

 そういったところで、まるマ世界一番のコミュニケーターであり、私達と物語をもつないでくれている
コンラッドの、一日も早い帰還を願わずにはいられないルツです。


 さて、最後に「風の終わり」…タロットカード ソード 1 の逆位置の意味するところですが…
独善的な思想、強烈なな自己主張と、強引に物事を推し進める態度。不平等な関係。
沸き起こる不満。残虐な行為。気まぐれ。きびしい他者批判…などなど。
この箱を持っていた、大シマロンのイメージにぴったりです。
なんか…やはりこの4つの箱は、正しい持ち主が管理しないとそれを持つ人々に
大きく影響を及ぼしてるような気がします。こわやこわや…。



 というわけで、次回は待ってました陛下!
水象サイン、ユーリです。 お見逃しなくっ!!





  〈 参考文献 〉
 タロット書は山のようにありますが、特にお勧めなのがこの本。
■ 国書刊行会発行『タロット大辞典』 東條真人氏の著作 ■ です。
普通の本としても楽しめますので4305円…専門書にしてはお安いと思います。
興味のある方は是非一度お手にとってみてください。お値段以上の内容がぎっしりです。





                   四大元素 4