村上征生さんの絵画展
(2001.11.22)

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 小学校で原画展を。

 村上さんの絵本『きつね』の版画を、くもん教室や図書館、はたまたケーキ屋さんなどで展示する…というお話を村上さんの奥さまから伺い、もしそれが小学校で実現できたらすてきなことだなぁと、漠然と思っていた。
 2学期にはいり、もしやるとすればいろんな行事が一段落した11月かなぁと思い、9月の終わりの読み聞かせのあと、図書担当の先生にお話してみると…「あ、いいですよ。」と快くも簡単なお返事。――あまりに簡単に返事をされたので、きっとダメだろうなと思っていた私は――えっ、ほんとにいいの?としばらく半信半疑の気持ちだった。

 ところが、ほんとにいいらしい。とにかく日程もすぐに決まった。
 ボランティアの仲間たちも、その前にぜひ村上さんのギャラリーを訪れて、実際に絵を見てみたいという希望だったので、静岡へむかったのが絵画展の1週間前。奥さまからいろいろお話を聞いて、急に現実味が出てきた。具体的にどんなふうに、どんなイメージに、どうやって…。いろいろアドバイスをいただいて帰ってきた。

 準備は絵画展の前日。その日に絵をお借りしてきて、小学校の図書室の片付け、絵を展示する準備、その他の飾りつけ。
 ほんとはまる一日くらいかけてゆっくりとぬかりなくやりたかったのだが、なんせ図書室には子どもたちが出入りするし、ボランティアという立場上、それ以上のことをするわけにもいかない。最低限の迷惑でおさえなければ。(たとえば絵画展の時だけは貸し出し禁止、とか)

図書室入り口 村上さんのプロフィール、ジクレーの説明など

 当日は朝、低学年のクラスで読み聞かせがあった。
 そのときに「図書室にこの絵本の絵を飾るから、来てね。」と言ってあったので、読み聞かせが終わってすぐに絵の展示を始めたのだが、それが終わらないうちから子どもたちがおおぜいやってきた。その中に、「きたよー!」と私に言ってきた男の子がいた。1年生のクラスで、いちばん前で聞いてくれていた男の子だった。
 
「まっしろなふゆ」イーゼルにかけました。 あ、あの絵だ〜と指差す。

 クラス単位で先生が子どもたちを図書室に連れてきてくださる。わーっと絵を見る子どもたち。ごった返し、一見収拾もつかないような状態に見えるのだが、子どもの感性というのはほんとに素直ですばらしいものだと、あとで私はつくづく思った。
 感想を書いていってくれる子どもたちも多く、それを読むと、「本物はやっぱり違う」とか、「きつねが絵の中から飛び出してきそう」とか、「この絵を見ていると落ち着くよ」なんて、いろいろ書かれていた。
 会場に無造作に置いた松ぼっくりやどんぐり、枯れ葉も、思いのほか好評。

 村上さんのこの版画を見て、子どもたちはひとりひとり「うわー、きれい」「すごい」「これ、ほんとに版画?」…と、素直に受け止めてくれる。大勢でがやがやとした中で見ているのに、子どもたちはひとりひとり、一枚一枚の絵と丁寧に向き合っている。ざわざわした中でも絵と1対1になって、しっかりと見つめているのだ。そしてそれぞれに絵から感じるものを抱きながら、満足した表情で帰っていく。
 
 子どもたちがどんな反応を示すのか、まったく想像もできなかったのだが、思った以上にこの村上さんの絵にいい反応を示してくれて、私たちも驚いた。授業参観に来ていた保護者の人たちも、帰りに図書室に寄って大勢の人が見てくれた。1枚1枚じっくり見て、また絵本もゆっくりと読んで、英文と日本文を比べながら感想を書いてくれた人もいた。「この絵、ほしいね!」と言う人も。

 小学校でこういうことができるんだということにもきっと驚いたと思うし、なによりも、身近に住んでいる村上さんの絵をたくさんの子どもたち、保護者の人たちが知ってくれて、いい思いを胸に抱いてくれたことがうれしかった。
 授業が終わり、ランドセルを背負った子どもたちがまたたくさんやってきた。
 「さっき来たときは大勢で、ゆっくり見られなかったから。」と、また絵を見、絵本をめくる女の子。お母さんと一緒に来て、一緒に眺める子たち。
 「やってよかったね。」…つくづくそう思った。
 

 翌日、絵を返しにまた村上さんのホームギャラリーへ。
 東京での個展を終え、昨日帰ってこられたという村上さんご本人にもお会いできた。
 子どもたちや保護者の方たちの感想をまとめたもの、そして絵画展の写真などをお見せしたら、「こんなにたくさんの子どもたちに絵をみてもらったことはないよ。」とおっしゃって、とても喜んでくださった。感想も、あとで読むのが楽しみだとおっしゃった。
 なんだか、私たちもほんわかした気分でギャラリーをあとにしたのだった。

 訪れてくださった方々、図書室でこういう絵画展をやることをこころよく許可してくださった小学校、そして大切な絵を貸してくださった村上さんご夫妻にも、あらためて感謝したいと思います。ありがとうございました。

 
 当日の様子は、11月29日(木)の静岡新聞・朝刊の地方版(ふるさと中部)で取り上げてくれました。
 会場で読み聞かせをしている写真が掲載されました。


 

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