■ロッド回転装置 (2004年03月初版、07年02月改定)  ■戻る

 ■はじめに
 ロッドビルディングを始めると欲しくなるのが本格的なロッドメーカー。乾燥させるだけなら単純な低回転モーターを使えは済むが、総巻きやサンディングともなると、それなりの物が必要になってくる。幾つか市販品も販売されているが、いかんせん値段が高い。それなら自分で作れば安くできるだろうと思い作ってみました。構想から製作、完成まで約二ヶ月、個人製作にしてはかなりの物が出来たと我ながら驚いております。竿よりこっちを先に作ってしまいました。値段は聞かないでね。

 本機の特徴は

@モーターの回転数がボリューム操作により無段階に変更できます。

A無意味なほどにスイッチを配置し機械であることを主張。

Bのフットスイッチを1個づつ使い、モーター回転のオン・オフ、正・逆転が制御できます。

Cフットスイッチの動作については、好みにより二種類の動作が選択可能です。
 その1、いスイッチで『回転オン・オフ』、で『正・逆転』制御。
 その2、で『正回転オン・オフ』、で『逆回転オン・オフ』。

D乾燥時に便利なタイマー運転が可能です。設定時間になれば自動的に回転が止まり、電源も切れますので省エネに貢献。タイマーは2・4・6・8時間が選択可能です。途中で時間の変更も出来ます。

Eタイマー運転中に自動的に逆転させる事が出来ます。設定時間が来ると自動的に逆転し始め、タイマー終了まで交互に正逆を繰り返します。逆転するまでの時間は10・20・30分が選択でき、この間隔で正逆を繰り返します。タイマーは最初から使わないようにすることや、途中でキャンセルする事も出来ます。※逆転することによるエポキシ乾燥に起こる化学反応効果の程は不明。

Fロッドサポート部は80×10mmのアルミ平角棒を使い高剛性。加工はフライスによる削り出しで精度もこれ以上ないものに仕上がっています。

G安全にも配慮し、モーターの回転方向表示LEDと、非常停止ボタンを装備しています。

H各制御がシーケンサーで行われているため全てがプログラマブル。

I全ての部品が工業製品で出来ているため高耐久性。

Jもちろん家庭用電源100Vで動作します。
 ■装置全体
個人製作にしては、かなりの物が出来たと自負しております。電気知識や機械加工技術などフル動員。  3つの部品で装置を構成しています。
 アルミのレールはSUS社製。この手のアルミ部品は各社より出ています。
 制御ボックスは電子パーツ屋で電装品が入るサイズを選びました。
 操作ボックス上の取っ手は後からつけたもの。

右:サポート本体
左:制御ボックス
中:フットスイッチ
 ■制御ボックス
このスイッチ群がたまらない。『操作してる』感を演出します。  モーターと回転制御装置はセットになっていて、パナソニック製を使用しています。他にオリエンタルモーターからも、同性能機が出ています。コマンドスイッチは富士電機製です。
 裏側に主電源スイッチと、タイマー動作チェック用の時間短縮スイッチがあります。
 時間表示LEDは奇数時間になると点滅します。また『非常停止』を押すと全灯します。
 『スタート/ストップ』と『逆転有り』スイッチは押すと照明が点いて動作中である事を知らせます。
 ■制御ボックス内部
MITSUBISHI MELSEC FX0N-24MR たかがロッドメーカーにシーケンサーが必要だったのか。  内部は配線等で隙間がありません。シーケンサーは三菱製、他にモーター制御用にリレー2個を使っています。
 ロッドメーカーにシーケンサー初搭載。オレぐらいなもんだな、ロッドメーカーにシーケンサー使おうなんて考えたの。
 リレーやタイマーのみでも回路を組めるが、望む機能を実現するためには結構な数になり配線も面倒なので手っ取り早くシーケンサーを導入したしだい。電装のコンパクト化にも貢献。
 ■ロッドサポート部
こだわりのロッドサポートです。表面はホーニングしてあります。  80×10mmのアルミ平角棒からフライス加工で作ったサポート部。ローラーはトック製のベアリング内蔵タイプでOリングをはめるミゾ付きです。
 ローラーは4点式ですが、取り付け位置を換える事により3点式にもなります。
 
 ■モーターチャック部
モーターのシャフト径は10mmです。  チャックは竿の径に合わせて交換する仕組み。この方が強い固定が得られます。
 モーターの回転数は、90〜1700rpmですが、各種減速ギアヘッドと組み合わせて使う仕様ですので、本機の回転数はこんなに早くはありません。ギア比の組み合わせは、中間ギアヘッドと合わせると何十通りもあります。カタログを見て必要な回転数になるギアヘッドを選びます。実際の回転数は、ギアの噛み合わせ抵抗が発生するので、カタログ値より15パーセントほど落ちます。
 最低回転数を計測した所、毎分7回転ほどでした。
 ■チャック各種
 チャックはサイズに合わせて各種用意する必要があります。
 チャックに使った部品はオーム電機の『キャプコン』です。本来は電線等を制御パネルから引き出すために使う部品です。
 金属の部品はアルミや鉄の丸棒を旋盤で加工して作りました。
 ブランクは0〜30mmの径までつかむ事ができます。UB1〜2やDPS22のフェルールも問題なくチャッキングできます。
 ■フットスイッチ
フットスイッチ、メチャ便利。  フットスイッチはオジデン製。
 制御ボックス側にもフットスイッチと同じ動作をするコマンドスイッチが装備されています。
 実際使ってみるとメチャ便利です。総巻き時などスレッドが重なったりした時に即座に停止、逆転ができるので、トラブルにストレス無く対応できます。
 ■エポキシコート剤
お店によっては大きいボトルから小分けして安く売ってるところもあります。  定番のデュラグロス。マダイ竿には最適です。乾燥後の硬さが硬すぎずマダイ竿特有のペナペナ感を助長します。
 販売されてる容器の容量が幾つか有ります。
 冬場、主液が硬くなって注射器で吸い取りにくくなるので、お湯をコップに入れ容器ごとしばらく暖めておくと柔らかくなる。混合させる時も暖めておいた方が楽です。
 薄めるなと書いてあるのでそのまま使うのがセオリーだが、塗り難いので僕はハンドレットコートで薄めて使っています。薄めると弾いたりすることもあるので注意して下さい。混合時は付属の注射器で吸い取って正確に計量すること。硬化不良の原因は計量間違いがほとんどです。この手のコート剤の中では一番扱いやすい。泡抜けも早い。
 パッケージ品を買うと高くつきますが、専門店によってはガロンボトルから小分け売りしてくれる店もあり、しかもお買い得価格。
 
 ■エポキシコート剤、その2
臭いがきついです。乾燥後が硬くマダイ竿にはちょっと・・・。  こちらはクリスタルシーンというエポキシコート剤。うすめ液もセットになっていて値段も安い。
 乾燥後の硬化が硬く、僕はバット部に使っています。竿を硬めに作りたい人にも良い。専用うすめ液がセットになっているので、薄めて使うこともできる。
 正直、デュラグロスより扱いにくい。気泡が出やすく、硬化後カブリがかかったりする。
 
 ■クリーナーと薄め液
FREXCOATがお薦め。  筆や容器を洗うクリーナーはFLEXCOAT製(写真左)が断然良い。他メーカー(写真中)の物やアセトンを筆洗いに使うと固まってしまい後で使いにくい。
 デュラグロスを薄めるには写真右の『エポキシハンドレットコートうすめ液』が良いようだ。
 ■エポキシ接着剤
30分タイプと90分タイプ、他に5分型がある。  トップガイド、EAVグリップ、バット製作、フェルールとブランク等、各種の取り付けに使うエポキシ接着剤です。
 二液性で主液と硬化剤を等量混ぜて使う。硬化時間の違いにより5分型、30分型、90分型がある。トップガイドは5分型、グリップ等は30分〜などと使い分ける、
 5分型は硬化が早すぎてグリップ接着に使うと、位置が決まる前に固まって調整できなくなる恐れがある。
 ■ウッドエポキシ(パテ)
木工パテと比べ耐水性があります。  コルクグリップの目止めに使うパテです。写真のウッドエポキシは耐水性があます。これも主液と硬化剤を等量混ぜて使います。色がラワンとタモ白と二種類有りコルクにはラワンが合ってるようだ。

 コルクをロッドメーカー等で整形するとどうしても割れや欠け等ができてしまうのでこのパテで目埋めをし、乾燥したら機械で回転させながらペーパーヤスリ等で整形する。

 耐水性、耐久性がある分、硬化するとかなり硬くなるのでペーパーヤスリで整形する際、コルクばかり削れてしまうので、修正が難しいですが根気よくやってください。
 ■エポキシパテ・コルクパテ
 コルク専用のパテもあります。水溶性で混ぜ合わせる必要が無いため扱いが楽ですが、その分耐久性が落ちる。
 写真右・ARIES製
 補修用コルクパテ¥1,000円

 木工ボンドにコルクの削り粉を混ぜた物でも代用できる。

 タミヤ製エポキシパテは色んな用途に使用できます。粘土状なので扱いやすい。スレッドを巻きやすくするためにグリップとブランクの段差をなくしたり、ワインディングチェックとブランクの径調整の隙間埋めなどに。
 写真左・タミヤ製
 エポキシパテ¥400円
 ■塗料
蛍光色や明るいスレッドを総巻きに使う場合は白を塗った方が良い。  総巻き時のスレッドの発色を良くするために、ブランクの下地として白い塗料を塗っています。ビン入りタイプは刷毛を使ったり、しごき塗りします。僕はお手軽簡単のスプレー缶を使っています。メーカーは東邦化研工業製で、エンジンカラーと言う商品です。ラジコン模型用ですが、用途にFRPと謳われています。
 ■しごき塗り用品
3ミリ以下の穴は上手く開けれません。素直に市販の開け済みを買ったほうが良い。  しごき塗りに使う容器とゴム栓です。
エポキシ塗りにも使えます。上手く塗るには熟練が必要で、簡単だと思ってやってみると結構難しく、ゴムにあける穴の大きさや、引き抜くスピードなど、まだまだ経験が必要です。
 ブランク総糸巻き後のエポキシコーティング仕上塗りに使う場合、水砥ぎペーパーで研磨後、刷毛でエポキシを塗り、しごきゴムを容器にセットしたものを一発通せばいい感じに仕上がる。
 ゴムの穴は最初から開いてる物を購入しましょう。小さい穴は上手く開けられません。3ミリまでなら市販のポンチがあります。

僕なりに経験して得たコツをあげてみると
@すばやく引く抜いた方が厚い塗膜が得られる。。
Aエポキシは薄めず塗ること。薄めると塗膜も薄くなる。
 ■スレッド、糸
スレットはエポキシ塗ると発色が変わるので、そこら辺の見極めが大切です。  総糸巻きやガイド固定、飾り巻きなど各種に使えるスレッドです。太さや素材の違いがあります。スレッドについては専門店に尋ねてみてください。

 サオヒロのスーパースレッドは製品ナンバーが新しくなりました。

 ブランクを総巻きする時は、絶対白く塗った方がいいです。発色が断然よくなります。透けないと謳っていても、絶対透けますから。

真鯛竿なら、ガイド巻はGUDEROD製のDスレッド、サオヒロなら中巻を使う。

 DBガイドの5.0サイズ、LDBガイド全サイズはAスレッドを使う。

ブランクの総巻きはノーマルグラスならサオヒロ下巻、Bグラスなら中巻を使う。
 ■関連リンク
静岡でロッドビルディング始めるならとりあえずこのお店を尋ねてみてください。

フカサワ釣具店=三保や御前崎向けのブランクが豊富。サオヒロ製を含め各種スレッドも豊富です。
沖釣りプロト=3.6mのブランクなどマニアックな物まで対応してくれます。
イシグロ、タックルオフ=初心者が訪れやすいチェーン店。ガイドが充実してます。

桃太郎釣具=フジのガイドセットが取り寄せでも2割引、年末のセールを狙えば在庫品更に2割引。

各店共どんな質問にも丁寧に答えてくれます。技術的なことで判らないことはどんどん聞いてみましょう。