PAGE9 進歩

恥ずかしい話しですが、『五輪停戦』を知りませんでした(汗)。
最初、アテネ五輪が始まる頃にヤフーニュースかなんかで「ブレア首相自ら署名」みたいな記事が載っていて、それで『五輪停戦』の存在を知りました。
その後ある情報番組(というよりニュース番組かな?)で少し詳しい事を紹介しているのを見てちょっと驚きました。

最初のヤフーニュースで、
『五輪停戦』とは平和の祭典であるオリンピックの開催期間中はいかなる戦争・殺戮行為は停止する事を誓うもの」
というような説明を付け足していました。
なので僕は、最近になってIOCか国連が呼び掛けたポーズ的なものと思っていたんです。
しかしそれは間違いでした。

前述の情報番組での紹介と、その後ネットで(簡単に)調べた事を合わせて書きます。
『五輪停戦』は古代オリンピックの頃から始められていました。
元々は他国の選手や民衆が戦争の被害に会わないように、というか安全に大会に参加できるようにする為に開催期間中は休戦するという協定です。
そして、参加国全部がこの協定を結び、休戦期間は最大で3ヵ月も続いた事もあったそうです。
戦争・内戦だけでなく法廷闘争や死刑執行も禁止になったとか。
実際にスパルタが軍事演習を行って処罰されたそうです。
この『五輪停戦』は古代オリンピックの全大会で執行され、その間守れられたそうです。
古代オリンピックの全大会というと、紀元前776年から西暦393年行われていました。
つまり1169年もの間この約束事は守られていたという事になります。

ちなみに『五輪停戦』と書きましたが、古代オリンピックでのサイトを見ると『オリンピック休戦』とか『エケケイリア』という名称での紹介が多いです。
なので『五輪停戦』という言い方は近代オリンピックでの言い方かも。

近代オリンピックではどうなのかというと・・・。
1994年リレハンメルオリンピックでこの『五輪停戦』が復活したそうです。
(ある”方便的”な復活と書いているサイトもあり、政治的な思惑が多分にありそう。)
法的な拘束力な何も無く署名しない国もあります。

今回のアテネでは、参加した202の国と地域の内191の国と地域が署名したそうです。
逆に言えば11ヶ国が署名していないことになります。
アメリカは「テロのせいで署名出来ない」と言い、日本も理由を明らかにせず署名してません。

2500年以上前の人達が1000年以上も続けてきた”約束事”が現代ではカケラも出来ない。
実際このオリンピック開催期間中に、イラクでは何人犠牲になったでしょう?
イラクだけではなく他でも・・・。
”約束”できないから署名できなかったのだろうし、署名してないから違反にはなりません。
だからといってそれで良いとは到底思えません。
そもそもオリンピック自体が、『五輪停戦』復活前とは言え、戦争の為に中止になっている。

人間って”進歩”しているのでしょうか? むしろ・・・。

2004/08/30