推薦入試で事前選抜?!

朝日新聞にこんな記事が出ました


1月18日 夕刊
出願前に「事前選抜」
県立高校推薦入試
静岡
静岡県内の一部の県立高校が、推薦入試を受けようとする生徒の成績などを出願前に
中学校から提出させ、「事前選抜」ともいえる志願者の校り込みをしていたことが、
関係者の話で分かった。県教委は「受験機会を奪うことになり、許されない」と指
摘。文部科学省児童生徒課は「聞いたことのない話。事前に個人名を挙げて合否にか
かわる情報をやりとりすること自体、問題だ」としている。
「事前選抜」が確認されたのは、沼津市など静岡県東部にある五校。このうち四校で
は過去二年続けて、推薦人試の受験生が全員合格していた。また、県西部の高校でも
同じことをしていたという関係者の証言があり、事前選抜が広範に行われていた可能
性もある。
県東部の中学校で進路指導をしでいた教師によると、少なくとも1999年度までの
四年間、出願前に志願者の内申点や出席日数、部活動実績などの提出を求められた。
生徒の名前を出して「三人が推薦入試を希望しているが、一人は一般入試にしてほし
い」というような要請が毎年あり、推薦する生徒を絞り込んで全員を合格させたとい
う。
別の中学校長だった現職の教育長も「この成績では入試後がつらいとか、他学科なら
推薦枠に空きがあるなどと言われた。二〇〇〇年度入試でも同様のやりとりがあっ
た」と証言する。
絞り込みの狙いについて、ある校長は「推薦入試で不合格になつた生徒は一般入試で
他校を受けてしまうし、定員割れになれば監査で税金の無駄遣いと指摘される。これ
も企業努力」と説明する。一方、中学校側にも推薦入試で不合格者を出したくないと
いう思惑があるようだ。
ただ、校長らは新年度の推薦入試からはやめる意向をもらしでいる。県教委の遠藤亮
平・高校教育課長も『新年度の推薦入試で志願者数の調整とみられるようなことがあ
れば、厳しく調査したい」と話している。推薦入試は今年度、静岡の県立高校百校の
うち八十二校で実施された。




1月19日 静岡版


推薦入試に「事前選抜」
県教委・遠藤高校教育課長と一問一答
「入試前合否 相談の範囲越す」
県東部の県立高校などが推薦入試の出願前に、中学校側から生徒の内申点や出席日数
などの提出を受け、志願者の絞り込みをしていたことが十八日、関係者の証言で明ら
かになったが、教育関係者の間には以前から「こうしたやり方は事実上の事前選抜で
はないか」との指摘があった。県教委はこれまで「疑惑を招かないように」と各高校
を指導し、中学校側からも「今後はやめよう」との声が出始めていたという。「受験
機会の複数化」と一「評価基準の多様化」を目標に導入された県立高校の推薦、入試
制度は、いかにあるべきか。県教委の遠藤亮平・高校教育課長に聞いた。
推鷹入試の出願前に志願者が絞り込まれている実態をどう思うか
「高校が実際の入試より前に(合否についての)『○×』を言うのは相談の範囲を超
えている。一般入試の受験、再募集と統く一回目の受験機会を奪うことになり、公平
ではない。それに、受験生や保護者は高校と中学の間にこのようなやりとりがあるこ
とを知らない。入試は最も公正であるべきなのに、不信感を招く。中学側は志願資格
の有無を尋ねない、高校側は答えないことだ」
中学側には「推薦入試で落ちると一般入試にも響くので、不合格になるくらい
なら最初から受けさせたくない」との考えがあるようだが
「つらい経験が人を成長させる場合もある。過保護は人間を育てない」

高校からは「不合格者を出すと定員割れにつながり、監査で税金の無駄遺いも
指摘される」との声を間く
「推薦入試で落ちた生徒が一般入試で他校に流れる傾向はあるようだ。だが、定員割
れした高校に県教委がとやかく言ったことは一度もない。高校はいま以上に学校の魅
力を打ち出し、生徒を集める努力をすべきだ。『内申点四・○以上』とか、ある程度
の数字を示して、推薦入試の志願資格を明確にする必要が出てくるかも知れない」
部活動の実績や生徒会活動まで点数化すると、中学校生活が窮屈なものになり
はしないか
「それはあり得る。現状は推薦入試が単なる定員確保の手段になっている面もあり、
もっと議論をしなくてはならない」
ここ二年連続して推薦入試の志願者と合格者数が一致している高校が、県内に
二十校ほどある。実態調査をする考えは
「倍率一.〇は、おかしいと思わないほうがおかしい。過去はほじくり返さないが、
みなに開かれた環境を整えるのは大事なこと。次の推薦入試で調整とみられるような
ことがあれば、厳しく調査したい」