第64号に戻ります

通告に従いまして一般質問を行います。
 最初は「みしまハートプラン改訂に向けて」をお伺い致します。
 1997年3月、「みしまハートプラン」は障害者基本法に基づき、三島市における障害者福祉についての総合的かつ基本的な計画として、多くの市民参加の中で定められました。
 その後、5年目が経過しようとしています。そして現在、三島市の障害者福祉施策をめぐる環境は大きく変化をしております。たとえば、精神障害者に対する福祉サービスがより必要になったこと。2003年からの「支援費制度」への移行。ついては、在宅サービス、施設サービスの中心的なものが行政の「措置」から「利用者とサービス事業者との契約」に移行すること。また、障害者の権利擁護の仕組みや成年後見人制度、福祉施設オンブズパーソン制度など、その後の新しい施策が打ち出され、就労支援の関係でも「トライアル雇用」やジョブコーチ制度など注目すべき新たな政策が登場しいろんな地域で既に実施段階に入っています。
 このような環境の変化の多くは「社会福祉基礎構造改革」の流れを受けたものでありますが、みしまハートプランの策定当時は、まだこれらの流れは始まっていませんでした。したがって、端的にお伺いしますが、こうした障害者福祉施策をとりまく環境の変化に応じて、いま、「みしまハートプラン」を、より発展させるという意味において、改正すべき時を迎えているのではないでしょうか。ハートプランに定められた計画期間は10年間とされていますが、「社会情勢の変化などにより必要性がある場合には本計画の見直しを図ります」とあります。市長のお考えを伺います。また、関係者のみなさんが努力されてきた「ハートプラン」でありますが、その到達点、限界点、問題点、などキチンと総括されるべきであり、その作業無しには新たなプランへの移行は無いということを重ねて申し上げながら、みしまハートプランについての質問といたします。
 
 住民基本台帳ネットワークについての質問に移ります。
プライバシーとはひとことで言えば「その人の尊厳」そのものであります。そしてこれは、「その人の人格権」ということに他なりません。誰しも「他人に知られたくないこと」があるし、また、あって当然であります。住民基本台帳で取り扱う個人情報のうち、住所や氏名、性別、生年月日という情報であっても、時として「知られたくない」場合もあり得るし、これ自体もプライバシーという認識が強まっていると思われます。
 三島市は、既に今年一月から始まった「個人情報保護条例」で、市民のプライバシーを積極的に守ろうとする取り組みを始めております。この「三島市個人情報保護条例」の根本をなしているのが、やや耳慣れない言葉かもしれませんが、「自己情報コントロール権の保障」ということであります。
 今から約2年前、三島市個人情報保護制度市民懇話会はこの条例化・制度化に向けた提言書の中で次のようにその基本的な考え方を示しております。以下、引用しますと・・
 現代社会におけるプライバシーの権利については、従来の「他人に知られたくない権利」、「ひとりにしてもらう権利」という消極的・受動的なものだけではなく、「自己に関する情報の流れをコントロールする権利」という積極的・能動的なものとしてとらえており、個人情報保護制度は、こうした新たなプライバシーに関するとらえ方を法的に制度化しようとするものであります。
 以上が引用ですが、このように唱われております。
 このように「自己情報コントロール権」とは、自分に関すること、言うならば「自己情報」が、いつ、どんな目的のためにどのように利用されたのか、また、自分に関する情報がどこに存在し、どのように取り扱われているのか、その人自身が知ることができる。また、それらの自分に関する情報は、どのように書かれているのか開示請求ができたり、間違っていれば訂正請求ができたり、場合によれば削除の請求ができる。こうしたことまで含めて「プライバシー権の保障」としていることに大いに注目したいと思います。その、市民のプライバシー権をどのように保障するかは、条例の実施機関である市長も、また、同じく実施機関である議会も共に考えなければならない大きな課題だと思います。
 さて、質問のテーマ、住民基本台帳ネットワークでありますが、住民基本台帳法の改正により、2002年8月より施行されることが予定され、既ににシステムの導入に向けて準備は進められております。さらには一年遅れて「ICカード」の導入が計画されております。
 これは、全国民ひとりひとりに11桁の番号表示がされ、氏名・性別・住所・生年月日とこれに付随する情報を加えた6つの情報、これらは「本人確認情報」といわれていますが、これらを一元的に管理するネットワークシステムであり、国や都道府県、市町村が法律に定められた特定の目的、また条例で定める特定の目的、そして住民基本台帳事務の「本人確認情報」として使っていくという大ざっぱに言うとこういうことになっているかと思われます。
 ここで問題になるのがやはり個人のプライバシー権との関係です。もとより、コンピュータシステムによるネットワークについては、どんなに高いセキュリティーを講じたとしてもそれに絶対は無い・・という前提にやはり立たねばなりません。この点がまず第一であります。さらに、改正されたこの住民基本台帳法を読んでみると、先ほど来申し上げた、三島市が三島市民に対してプライバシー権を保障しようとしているのが、住民基本台帳ネットワークシステムではこれが保障できない。ということになってしまいます。
 もう少し正確に言うと、「自分に関する情報」が、いつどのように利用されたのか、本人が知ることができたり、自分に関する情報の開示請求権、訂正請求権、削除請求権などの「自己情報コントロール権の保障」ということにおいて決定的に難がある・・と言わざるを得ないのです。この点が第二の点であります。さらにいくつか問題点はありますが、今回は以上2つの問題提起に留めたいと思います。
 日本弁護士連合会(略して日弁連)により、この11月、全国3247の各市町村に対し、この住民基本台帳ネットワークシステムについての考え方などをアンケート調査が行われています。その中間集計が去る11月27日、発表されました。
 回収率は全体では49%。市では63%と比較的高い回収率となっております。内容は、今後住民基本台帳ネットワークを進めることについてどう思いますか?など10項目になっていますが、とりわけ注目したいのが、「制度のメリットとデメリットとではどちらが大きいですか」との問いに対して、「メリットのほうが大きい」と答えた自治体は295団体(全体の約2割)に過ぎなく、デメリットのほうが大きい:200団体、どちらともいえない:969団体、わからない:125団体、などメリットが大きいと明確に意思表示しなかった団体が圧倒的です。
 また、デメリットのほうが大きいと答えた団体のそのデメリットの内容ですが、「住民のプライバシー侵害の危険が高まる」というところに特に注目したいと思います。
 法改正当初からも、コストに対し費用対効果も薄いなどの面も含め、プライバシー保護への危惧が指摘されていたこの制度ですが、東京杉並区の例などをはじめ、自治体のサイドでの自衛策が模索されてきたところであります。さて、三島市においても、市民のプライバシー権を保障するためにしかるべき対応策が講じられるべきだと考えますが、この点をお伺い致します。以上、第一回目の質問と致します。