第99号:2005年4月7日(木)

2005年度予算案への討論
05年2月市議会の定例会
私は以下の討論をして予算案に反対をしました


2005年度(H17年度)施政方針及び一般会計予算案に対しまして、市民ネットワークを代表して反対の討論を行います。

 提案されております、2005年度一般会計予算案。これは、たいへん厳しい財政状況を反映し、299億8千万円と、前年度に比べ26億1500万円、8.0%の減額であります。なお、H16年度予算においては、減税補填債の借り換え分約24億円分を含んでおりましたからこの分予算が膨らんでいたのでそことこを考慮すると前年度より実質的に約3億円のマイナスということになります。いずれにしても300億円下回る形となっております。
 財源の構成をみますと、一般財源総額で約234億3200万円、特定財源で約65億4780万円、一般財源・特定財源、いずれも前年を下回っております。とりわけ一般財源の落ち込みが激しく見込まれ、これは、減税補填債の借り換え分の減少が影響しておりますが、市税のやや増加、所得譲与税の増加などの増加要素が見込まれるものの、地方交付税(普通)+臨時財政対策債の合計額・・これは本来であれば普通地方交付税として交付されるべき金額でありますが、この総額が約27億円。前年が約32億円であったことに対し、前年に引き続きかなりの規模でこれを下回ってしまう見込み、このことが大きく影響をしています。
 これは一般財源について、いよいよマイナス傾向が顕著になってきた、しかもその規模が大きい、ということを含む予算案であり、この傾向は続いていくものと思われます。
 これは外でもない、「三位一体改革」の影響を受けるものであって、そして同時に、累積額約346億円に及ぶ起債残高に対する元利償還というものがあまりにも重くのしかかってきていることが否応なく反映している形となっております。
 もともと、小池市政は前市政・石井市政のときの借金の重さを背負うことを宿命としていました。そしてさらに厳しいこの財政環境、また、この三位一体改革、このような険しいいばらの道を歩んでいくことを余儀なくされています。しかしながら、この逆境に順応し、さらにはここから未来を見いだす・・と言うと、ちょっとカッコ良すぎますが、そういう命題とどのように向き合うのか、このことが問われている予算案だと考えます。
 従って、このような情勢から、私たちは次の3つの要素が、施政方針そして予算案に貫かれていることを期待致したものでありますが、残念ながら、代表質問及び予算審査等を通じた評価からすると期待に沿ったものとなっていない。このことをまず申し上げます。

 「次の3つの要素」とはこういうことであります。
1.行政と市民、市民活動との協働による地域づくりをどのように進めるか。という観点であります。小さくなる財源と、これに反比例するかのように大きくなる公共的な需要。この構造の中で地域づくりを進めるとすれば、市と、自立的な市民、市民活動との連携・協働の関係を樹立していくことが求められます。施政方針や、この予算案の中でその要素がかいま見られるものの、全体を貫く精神には至っておりません。たとえば、補助金の交付の問題であります。予算案では補助金総額約8億円で、前年度の12億円から約4億円あまり、削減されております。これは予算編成方針の市単独補助一律10%カット、従来から引き続いての補助金の見直し等によるものと思われます。が、補助金の改革に取り組む姿勢は伺えるものの、半ば既得権化したものの踏襲が多く、そして単に交付額抑制ということではなく、潜在するまたは健在する公益性に合致していくような改革のあり方が必要であります。また、補助金の交付ということ以外に、あらゆる分野のボランタリーな市民活動と手を組める関係を育み、また市政に影響を与え得るような人的資源としても見ていく必要があると考えます。

2.三位一体改革に対する能動的な対応をどのようにとるのか。ということであります。
税源委譲による財源の目減り、交付税の削減と、三位一体改革は三島市に否応なく負の側面を押し付けます。当年度、ますますその傾向が強まり予算編成に苦慮したことは想像に難くありません。この流れを押しとどめることができないとするのであれば、どのようにしたら市民にマイナスを押し付けず、かつ、補助金であったことのさまざまな拘束から逃れることによる市民サービスの向上に向けた取り組みとなるのか、この点が大きく問われているはずであります。
当年度は、全国ベースで補助金の廃止額は6989億円、このうち約6910億円が税源委譲分とされました。結果として三島市においては所得譲与税、3億8800万円が計上されております。これはH16年度に引き続き、公立保育園の補助金の廃止分に加え、養護老人ホームの国・県補助金、学校における要保護準要保護児童への補助金などの一般財源化ということになります。ここで考えたいのが、この所得譲与税は人口割で交付されるため、保育園については実質的な財源の目減り、養護老人ホームについては逆に多くの財源となる筈であります。そこでどうするか。これを建設基金に積み上げ早期の立て替えを図るなどが必要であります。また、補助金の拘束から解放され「自由」になった。ではこれをどのように保育の向上やサービスの充実に結びつけるか、この点についての意識、政策、工夫が殆どないのが現状であり、残念であります。即ち、三位一体改革の「+」の側面に沿った政策が求められているのに対し、これが意図されていないということであります。

3.足速にやってくる税制改正に対し、市税等の負担のあり方の点検。ということであります。このことを、この予算案に対し求めるのはいささか無理があります。が、今後の重要な課題として敢えて言っておきたいと思います。
補助金を廃止し地方税に替える、その分の国税たる所得税を減らす。これが税源委譲の流れとなっています。ここで見過ごせないのが、この場合個人市民税の税率を一律10%にするという前提、これが「フラット化」と言われるものでありますが、この税制改正がH18年度に予定され翌H19年度に施行されようとしています。結果として予想されるのは低所得者の税負担が大きくなるということであります。暮らしぶりますます厳しさを増している現状に対し、そして、「生産年齢人口」が減少し、担税力(税を担う力)が弱い社会にムチ打つかのように、この「改悪」が予定されているのであります。このような中で、三島市の課税自主権が高まるのでありますから、どのようにこれを行使するのか、税負担の累進構造を保ち、公平性・透明性をつくりあげていく必要があり、その研究が求められております。これは単に個人市民税という範囲の問題ではなく、国民健康保険における資産割と固定資産税との関係など税の二重払いとの批判もあるなか、全体としてどのようにあったらよいのかについて現状を総点検していく必要があります。これは単に国の税制「改正」を丸飲みするのではなく、三島市民を前に、三島市として力量が問われる課題であります。

以上述べてきましたが、この3つの要素は、それぞれ関係各課の課題ではありますが、各課がこうした課題に向き合い取り組んでいくことの、その中枢には本来、企画政策課が存在する筈であります。そこには優秀なスタッフがそろっていながらこういう事がしっかりと意図されない背景として、実は「合併問題」があると思われます。いま、財政状態がますます悪化するこの現状の中では、合併、あるいは合併論議が必要なのではなく、こうした、三島市を三島市としてどのようなまちにつくりあげていくのか、ここに全力が投入されるべきであって、このことこそ重要であることを申し添えておきます。

さらに委員会でも指摘をしてきた点ですが、石川県で起きた高齢者グループホームにおける利用者の死亡事故には考えさせられるものがあります。その運営の実態、これは勤務者が1名であること、資格要件は特に問われないことなど、運営基準に起因することが大きいのでありますが、三島市でもグループホームの整備が進められている中で、同様の状況をきたしていることが懸念されます。県と協力し実態の把握につとめ改善に向けた努力がなされるべきであります。

それから、市庁舎などの公共施設の耐震性について、これを公表することが県より求められ、各自治体ではこのことへの対応が鈍い現状であります。三島市においても公表がなされておりません。速やかに善処すべきであります。

最後になります。小池市長は来年度の方針のひとつとして、市民のプライバシーを守るために住民基本台帳の、商業目的の大量閲覧を禁止する方針を述べられそして要綱化に取り組むことを明らかにしています。これは当然のことだという言い方もできるかもしれませんが、全国的にもこのような対応をしている自治体は極めて希であることなどからして、かなり勇気のいることであります。他の自治体に対しかなりの影響力をもつものと思われます。この英断に対しては、拍手を送りたいと思います。

以上、申し上げ反対の討論といたします。