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一般質問を行います。
今回のテーマは、「家具類(廃棄されたもの)のリサイクルショップを障がいをもつ人の小規模授産所として取り組めないか」というものであります。なお、この場合、「障がいをもつ人」というの主として知的障がいをもつ人のことを指すことを最初に申し上げたいと思います。この質問が、やや唐突に聞こえるかも知れませんので、最初にこの質問に至ったその背景などについて述べてみたいと思います。
 現在、小規模授産所は県の補助事業として取り組まれ、三島市による上乗せ補助も含め補助金によって運営されています。これは、一般の就労(働くこと)が困難な人の「福祉的就労の場」として地域の中で重要な役割を果たしています。市内には現在2つの小規模授産所が運営されていますが、まだまだ不足している。だから新たに整備拡充をしていかねばならない、ということについてはあらためて説明の必要もないと思います。この議場でも過去において何回か質問も行われてきましたし、その認識については三島市も同様に示してきたところであります。
 ところで、話は少し飛びますが、8月の衆議院の予期せぬ解散によって廃案になった「自立支援法」ですが、この選挙の後、ここで改めて再提案されることは必至であるとみられます。「自立支援法」は、現在行われている支援費制度を中心とした福祉サービスを大きく再編成しようということをはじめ利用者の負担のあり方についても「応能負担」から「応益負担」への移行など、大きな転換であり、善し悪しは別として、これ自体が大きなテーマ性を伴っています。今回、この質問の「小規模授産施設」ですが、自立支援法に基づくものとして改めて位置づけされようとしています。現在の県補助事業としてのしくみが、直ちに無くなる訳ではないので、そこには3つのタイプの小規模授産所が想定されます。一つは、「就労(働くこと)への移行」を重視した施設、二つとして「デイサービス的」な生活の場としての機能を重視した施設、これらが自立支援法のもとでの施設ですが、加えて、現状のタイプの施設。と、自立支援法のもとでは、この3つのタイプが想定されます。こうした新たな状況、それに対し三島市としてどのように対応していくのか注目されます。
 いずれにしても、この想定せざるを得ない新たな状況に対し、小規模授産施設の絶対数の不足と、そして多様なあり方が求められている。さらに言うのであれば、こうした地域における施設の整備に関して「民間参入」ということも視野に入れるべきではないか。この場合自ずから公正で透明なあり方が求められますが、これまで、障がい者福祉の分野での施設整備は「公設」、あるいは社会福祉法人による整備ということに重点が置かれていましたが、今後は、さまざまなNPO法人や「小規模社会福祉法人」などの新たな形成も含め、「民間」の創意工夫を活かしたさまざまな取り組みも期待されるのではないかと考えます。もちろん、福祉サービスの提供体制の確保ということについての行政責任というものは、社会福祉法第6条により行政機関(国・県・市)にあることを念頭に置きながらではありますが、民間事業者との協力・共同が重要であると考えます。
 とりわけ重要なのが、小規模授産所の多様性という点であります。どういうことかと言いますと、たとえば授産所と就労(働くこと)との連携、これは就労への移行のステップとして位置づけることだけではなく、障がいをもつ人の「短時間労働」(週あたり20時間〜30時間)との連携、ということが考えられます。たとえば一週間のうち、3日間は職場で働き、2日間は授産所で働くという、このような連携もできるようにしていくべきであろうと考えます。
 同様に、たとえば一週間のうち授産所に3日間通い、残る2日間はデイサービスなど他の福祉サービスを利用する。という授産所と福祉サービスとの連携も考えられます。いずれにしても、職場や授産所、そして福祉サービスとが有機的な連携が重要であり、そのことによって、これまで就労が困難だった人の就労への新たな可能性、また、作業所へ通うことが困難であった人が作業所へ通うことができる新たな可能性、これらは大きく広がっていくことと思われます。こうした点については後に自席から伺います。
 
 さて一方、いま、日本語の「もったいない」という言葉が国際語になっています。物を大切にしようという、ごく当たり前の日本語であります。思い返せば、いまから10年ほど前だったように記憶していますが、それは敬老の日、文化会館大ホールで行われた敬老大会の席上での話であります。小池市長は、会場を埋め尽くした高齢者のみなさんに対するメッセージとして次のようなことを述べられました。「戦中戦後を生き抜いたみなさんのそのご労苦、何も無い時代に、ものを大切にしつくしてきたその精神。いわば『もったいない精神』にいま私たちは学ばねばなりません。高齢者のみなさんが、時代の主人公となり、どうかその『もったいない精神』というものを世代間に伝授していただきたい」と、正確ではありませんがそのように述べられたことを記憶しております。今日のように、「国際語」となる以前から小池市長は「もったいない」運動を提唱されて来られたと思いますが、それだからなおいっそう、この廃棄された家具類のリサイクル、このことに正面きって取り組んでいただきたいと思うのであります。
 実は、この問題、「廃棄された家具類のリサイクルを」ということでありますが、鈴木正男議員が2002年(平成14年)の6月議会で一般質問された経過がございます。鈴木正男議員は・・
 大量生産・大量消費・大量廃棄の現状から循環型社会への転換が求められる中で、粗大ゴミとして市の清掃センターに搬入され廃棄される家具類は相当あり、机やイスなどを含め中には新品同様のものもある」とし、リユース(再び使う)するため空き店舗などを活用して市民に提供してはどうか。要約でありますが。
・・と提唱し、市にその対応について質しています。私もまったく同感であります。となりの沼津市では、家具類の修理・販売が、シルバー人材センターによって取り組まれてきました。「彩生舘」というリサイクルショップであります。ところが残念なことに、市民から好評を得ながらも、ここで閉館に向かっております。店内にはタンスや学習机、イス、サイドボードなどなど、家具類が所狭しと並んでおりました。それがかなりの廉価ですので、ニーズに合致すれば、売れるだろうことは想像できます。閉館は、経営的な困難ということからではなく、移転場所が見つからず閉館せざるを得ない状況にせまられてのことと伺っております。
 私は、こうした家具類の再生・販売というリサイクルショップを、障がいをもつ人の授産施設としての形態をもちながら運営できないか、と思うのでありますが、とは言え、このことはそう容易いことではないことも承知を致します。安定的な運営の見通しが確保されねばならないなど自ずから困難はあると思います。必ずしもただちに実現が可能とは思っておりません。が、決して不可能ではない。まずは、このことについての市長の受け止め方をお聞きしたいと思います。そしてさらには鈴木正男議員の質問の後、市はどのような検討とそして実践を進めてきたのかをお伺いいたします。
 また、小規模授産施設の整備と拡充についてはどのような検討がなされているのか、今後の見通しはどうなのかを伺い、第1回目の質問とし、答弁を受けて自席からお伺いいたします。