| 2006年度予算案への反対討論 |
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@「塩漬け土地」などの不良債権の処理を早い段階で見通しをつけること。 A学校などの公共施設の耐震性をより早期に確実なものとするために、その情報を公開し、財源の確保を含めた具体的な見通しを市民に示すこと。 B介護保険の改正や障がい者自立支援法によって、とりわけ低所得者に対する急激な負担の増加を緩和するために、独自の施策を講じること。 |
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市民ネットワークを代表いたしまして、2006年度三島市一般会計予算案について反対の立場で討論を行います。 たいへんに厳しい日程の中で、そしてまた、様々な分野での制度改正に伴う、国からの情報提供の遅れのという中で、この予算編成作業に取り組まれたことについては、小池市長はじめ、財政当局及び各部及び各課の懸命な努力については、反対討論とは言えども、まず、あらためて敬意を表したいと思います。 この間押し進められてきた三位一体改革はこの2006年度が「一応の区切り」とは言うものの、決して「これで終わった」というものではなく、その後も尚、国による自治体財政への締め付けとそれから市民の税負担の増加を余儀なくさせるような、そのような兆候がジワジワと押し寄せてきています。 自治体財政の締め付けとは、たとえば、地方交付税。この確保の見通しはますます厳しいものなっていくことは明らかであります。国の会計においては、税源委譲で、所得税から住民税への移行によって、交付税の原資が極端に減っていく訳でありますが、これを充分には補填しないことが、今年に入ってすでに国の方針として自治体に示されています。最終的には交付される団体の数を半減させる旨、以前から言われておりましたが、この場合、三島市は一体どうなるのか、不安は大きいと言わねばなりません。 そして市民の税負担の増加。本予算案で示されている、個人市民税の増加分、約5億円は税制改正によるものとしてすでに示されていますが、これは定率減税の縮減をはじめ、「老年者控除・公的年金の控除の見直し」「65歳以上の人の人的非課税の廃止」「一定の所得のある妻の均等割非課税の廃止」によるものであります。つまり、増税によるものであります。 そのような状況の中であればこそ、この2006年度予算案はより堅実な予算案でなければならないし、そして、市民生活を下から支えるような、不安が渦巻く市民生活において、安心を実感できるような、そういう予算案として成立することが求められていると考えます。 私たちは、この予算案に対し、「堅実」また「安心」ということを基本として踏まえ、特に3つの事柄について着目し、審査に当たってきました。 @「塩漬け土地」などの不良債権の処理を早い段階で見通しをつけること。 A学校などの公共施設の耐震性をより早期に確実なものとするために、その情報を公開し、財源の確保を含めた具体的な見通しを市民に示すこと。 B介護保険の改正や障がい者自立支援法によって、とりわけ低所得者に対する急激な負担の増加を緩和するために、独自の施策を講じること。 ということであります。結果的に、「不良債権の処理」については前進する姿勢が示されているものの、残る2つの事柄については残念ながらそのような観点からの評価はできないのが現状です。尚、これらは引き続く課題であります。 新年度予算案、309億2千万円。これは前年度当初予算費比9億4千万円の増予算であり、ここ数年の推移からすれば相対的に「大きな予算」と言えるでしょう。三島駅北口周辺整備、消防庁舎改築、前年から引き続く課題への対応や、新たに北上プラザ建設、また錦田こども園建設へ向けた対応など、どちらかと言えば、このところに無い華々しさが目立つ予算案であります。それらのひとつひとつを否定するつもりはありませんが、一方で求められる「堅実さ」あるいは行財政運営の確かさを問うたとき、やはり難点があると言わざるを得ないのであります。 たとえば、錦田子ども園建設に向けた、本予算案ですが、その後(のち)に、各小学校、各中学校、幼稚園、保育園などこうした公共施設の耐震化・改築という課題が重くのしかかってきています。子どもたちの健やかな育ちや、時には生命をも守るためのこうした施設、その多くが、現状ではたいへんに老朽化が進み、東海大地震への備えとして新たに設定された耐震基準を満たすために、耐震補強や改築がますます求められています。特に学校施設については子どもたちの命を守るということだけではなく、広く市民の避難場所として機能をもする、これらの施設の耐震化や改築は、たいへん急務であるし、そして大きな財政負担を伴う課題として捉えなければならないことは言うまでもありません。 この予算案では、こうした課題に対応するため、北小学校の改築に向かう事業、中郷西中学校をはじめいくつかの校舎の耐震診断が取り組まれることとなっているものの、それらは今後に控えている大きな課題に対してはまだその入り口に過ぎないと言うべきでありましょう。 とりわけ財政的な側面からして、具体的にその備えがあるかというと、答えは「否」であります。総務委員会の予算審査の中でも、そうした「備え」の必要性、その「必要性」を満たすための「財政調整基金」や「学校施設整備基金」などへの財源の着実な積立、このことについて質してきました。基金残高はこのところずっと減り続けています。本予算案においてはこうした基金を取り崩すことはないものの、残念ながら積極的に「蓄える」ということにはなっていません。こうした目前の課題に対する、強い姿勢と方針とが示されて然るべきだと思います。この「備えること」このことの重要性についてここであらためて申し上げておきたいと思います。 もうひとつ、「安心」を実感できるための予算案であるべきという事柄について、ここで示しておきたいと思います。それは、先ほど述べたように、市民生活の下支えとなるような、福祉サービスの利用の援助、とりわけ低所得者について援助をもっと充実させる必要性ということであります。 三島市の人口において公的年金を受給し、生計を立てている方は約1万5千人あまりと見込まれます。そのうち半数以上の方、8千人あまりの方は年額で120万円未満。これが生計を支える唯一の収入である場合も多いと考えられます。詳細についてここで申し上げることができませんが、月額で10万円に届かない、あるいはそれを少し上回るという範囲で生計を維持している層も多いと推察されます。言い換えれば、生活保護基準より下回るか、またはギリギリであるかというところでの生活を余儀なくされている方も多くいらっしゃると思われます。 仮に、年額で120万円とした場合、月額で10万円。ここから、介護保険料が天引きされ、そして、国民健康保険税均等割・平等割を払い、病院にかかれば自己負担3割。70歳以上なら1割あるいは2割。そして、さらに介護保険サービスを利用すれば定率一割を負担する。これではたして生活が成り立つでしょうか。 障害をもつ人の福祉サービスの分野では、私は代表質問でも触れましたが、現在の「支援費制度」から「自立支援法」へと移行するなかで、これまでの負担能力に応じた負担のあり方が、定率1割負担とする新制度及び新年度予算案であります。このことによって月額で2万4千円もの負担増を強いられる場合もあります。ここでもまた、生活が成り立たない恐れが多分にあると言わなければなりません。 こうした福祉サービスの自己負担の増加は、ある意味では国の政策によるものであり、三島市自らがこうした状況を招いている訳ではありません。しかしながら、三島市としては、そのことによってもたらされる低所得の方への影響、そして生活実態というものを直視し、これに対応していくべく、必要な福祉サービスを安心して利用できるような地域づくりに邁進していくべきであります。 小池市長は、この予算案を「安心・安全型予算」と銘打ち、提案をされております。ある部分については安心・安全という側面において、前進が図れる面はあるとは言え、市政全体において、かつ非常に重要な部分において、「安心・安全型」ということでの評価ができない旨申し上げ、さたに今後こうした課題について確実な対応を求めながら反対の討論と致します。 |