第116号:2006年7月10日(月)

6月議会の報告@ 議員定数が削減されます


 6月定例会の最終日、三島市議会の議員定数を2名削減する条例案が提案され、可決されました。このことにより、現在26名の議員定数は24名となります。次回の市議選から適応されます。
 これは、昨年の11月議会で設置された「議会改革検討特別委員会」の最終報告が、ここで行われ、これを受けて議員提案で出されたものです。賛成20名(緑水会・新未来21・公明党の各議員+1)、反対5名(共産党・市民ネットワークの各議員)でした。
 私はこの提案に反対しました。


1.なぜ反対か・・単に定数を減らすことが「議会改革」?
 議員全員で提案し設置された「議会改革検討特別委員会」の最終報告は、「改革」とは名ばかりで、実は単に定数を削減するというものでした。この特別委員会は議会の改革のための委員会で、地方分権で増大した市長の権限(注1)に対して、議会による市政へのチェック機能をより高めることなどがその目的でした。ところが、「改革」に値する報告は何ひとつ無くて、単に「数を減らす」ということに過ぎないのです。
 議員数を減らせば「経費削減」になることは間違いないことです。一方、議員は市民の代議員ですから、原理的に言うのであれば数が減れば「民主主義は後退」することも間違いありません。ただしこれは代議員として機能しているという前提に立った場合です。
 この両論のどちらをとるか・・ということではなく、私は、今の市議会のあり方をもっと向上させるために何が必要なのか・・市議会の機能をもっとアップさせるために「しくみ」や「あり方」をどう改革するのか・・と考えるのです。定数の問題はそのうえで考えるべきものと捉えてきました。特別委員会の議論に期待してきたのですが正直、ガッカリです。

2.どうすべきか 市長と議会との緊張関係こそ市民にとって利益に!
 言うまでもなく市議会は、市長の提案した「議案」を丸飲みするための機関ではありません。市の予算や条例は議決しなければ発効しないのですから、議会はこの議決権をタテにしてより改善を迫ることができる筈です。もちろん、ここには議員間の主張の違いや政策の違いが介在しますが。現状ではほぼ「丸飲み」で市長の提案は100%可決します。「多数派は最初から賛成、少数派はなんでも反対(とよく言われます)」という構図を変えていかなければ、本来の市長と議会との緊張関係が高まりません。こういう緊張関係にあることが市民にとって有益であると考えるのです。居眠り議員も居ますので「あれじゃ議会なんて要らないじゃん」と言われてもしょうがないのです。
 私は議会改革のために以下の点を、質疑の中でも述べました。(私の議会改革案の一部ですが)
@審議日程のあり方を変える。
 現状の議会の審議日程は、予算や条例案が提案されるとその場で「質疑」そしてこれが終わるとすぐに「討論」「採決」と続きます。つまり、即決です。(委員会付託されるものを除いて。委員会付託すべきだという論ではなく)私は、これに対し、「提案」「質疑」までは同じ日にやったとしても、「討論」「採決」は日をおいてから最終日にまとめてやる。とすべきだと思います。なぜなら、「質疑」の結果、問題点が浮上したり、逆に、問題点が解消されたりすることがありますが、「この議案についてもう一回考え直そう」ということや「そんなら修正案を出そうか」ということが充分にできません。最初から「賛成ありき」「反対ありき」となりがちです。議会を単に形式的とするならこれもアリですが、そうであってはなりません。ゆえに、現状の日程のあり方を変えるべきと考えます。このことは市長側にとっても議員側にとっても厳しいこととなりますが、それが議会の機能であり、市民の利益にかなうことになると考えます。
A議会の情報公開を徹底する
 現状では本会議の様子はTVで放映されています。これは先進的ですがはたしてこの程度でよいのでしょうか。委員会に関する情報(会議録など)は殆ど公開されず、様子が知らせれていないのが実情です。公開されると困る議員がいるかもしれませんが、この部分が公開されてこそ「市民に開かれた議会」と言えるでしょう。
 それに、現状では議案に対して個々の議員が賛成したか反対したかについては、公式な形で明らかにされていません。市民(有権者)にそのことすら伝わらないのです。市民全員はTVを観てる訳でもないですから。
B議会事務局の機能を強化する。このために法務スタッフを配属する。
 現状で、総合的な条例案が議員提案されることは殆どありません。(一部修正の条例案は何回かあった)条例案は、市長提案の場合が殆どです。この場合、条理案は市の内部に設けられた「例規委員会」にかけられ、条文の一字一句、また、その言葉の定義、他の法令や条例との整合性などについてチェックされ、条例案に至り、議会に提案されます。ところが、議員が条例案を提案しようとすると、こうした過程は執られません。というか、その機能が議会には無いのです。政策は単純に条例化できる訳ではなく、ここには条文技術(ヘンな用語ですが)や他法令に関する知識が求められます。これが法務事務です。
 たとえば、私は情報公開条例に対する修正案などを議員提案した経験もありますが、私の条文技術では立ちゆかないので、市の文書課の文書法規係に条文化について依存することとなります。市の文書法規係とすると「私たちは提案しているものが正しいと判断しているのに、それを修正することについて私たちが関与するのはおかしいではないか」ということになります。彼らの意見は当然です。
 ですので、議員が政策を条例提案できるためなどのことを含め、議会事務局に法務スタッフを置くなどの機能強化が必要と考えます。
3.「数が減っても質を高めれば」と言うのですが・・常に資質向上に努めるべき!
 市政に対するチェック機能を高めることが議会改革の命題だったのですが、原理的に捉えるなら「議員数が減ることは機能の低下につながる」のですから、その点をどのように捉えるのか?
 ・・ということについて特別委員会の委員長や、削減条例の提案者に質疑すると「数が減っても個々の資質を高めるから問題ない」という考え方が示され「ええっ〜?」と驚きます。本来、定数が減る減らないにかかわらず、議員は資質の向上に努めるべきで、「定数」と「資質の向上」とは本来無関係である筈。

注)「機関委任事務」が廃止されたことがその典型です。「機関委任事務」とは、三島市が国の機関とみなされ
国の事務を行うことです。その事務量は市全体の三分の一にも及んでいました。これが2000年で廃止され
「法定受諾事務」や「自治事務」として再編されました。このことにより、三島市市長が自らの権限で行う事務が
圧倒的に増えたという形となります。外見上はわかりませんが、市政はそのように質的に変化をしています。
つまり、市長の権限は格段に大きくなっているのです。