第132号:2007年10月4日(木)

9月議会が終了です


この9月議会は、H18年度の決算承認の案件、その委員会審査、「地方税滞納整理機構」設立の案件、
三島市が地方交付税が「0」となる不交付団体化を含む補正予算案、陳情「私立幼稚園就園奨励費補助(市単独分)の
復活を求める陳情、台風9号による被害状況についてなど、いつになくボリュームのある内容でした。
議会は26日に終了しました。



H18年度の決算承認については以下の理由で反対をし、是正を促しました。
私の反対理由のポイント(反対討論の要約)
◎市民の所得格差が広がっていることが税データから分析できる。だから、市政は市民生活を下から支え上げるような取り組みが必要。たとえば水道や下水など公共料金の値下げに向けた論議や国民健康保険の累進度を高める取り組みなど。
◎財政は、借金が増え続け、基金は減り続ける状態である。経常経費を借金で賄い、そして必要な積立もできない状況。それがH18年度の財政運営の特徴である。
◎借金は「特例地方債」が大きく、そして、積立は地方財政法による規定に背いている。財政の大原則を大きく逸脱した運営だ。もっと堅実な運営を求める。将来の安全をも担保した確実な運営をすべきだ。
◎政策的には「市民との協働」が進められ、このことは評価できる。特に、まちづくりや箱根の森づくりの分野で目立つ。さらに協働を進め、市民ニーズの広がりを「協働」でカバーするような運営を求める。
◎この議会で既に議決されたが、「地方税滞納整理機構」は地方税法上、無理があることが否めない。この広域連合から離脱することも視野に入れ、再検討を求める。



反対討論の本文です。
 それでは、私は無会派ですが、2006年度(H18年度)の一般会計決算承認に対する反対の討論を行います。

 いま、市民の所得格差が広がっていると言われております。決算年度におきまして、三島市民の所得格差・・この場合、個人市民税に係わる給与所得者の、一年間における収入がどのようになっているか、ということについて、三島市が発行している「税務概要」あるいは三島市のホームページ上からも閲覧することができますが、こうしたデータを検証してみますと、決算年度である2006年度において、それ以前と比較をした場合、やはり、「格差」というものは広がりつつある・・という傾向が見て取れます。
 詳しい数値はここでは省きますが、去る2月議会でも、私の質問に対しまして市当局からも概ね同様の認識が示されたところであります。
 そこにさらに、むち打つかのように「税制改正」・・簡単に言えば増税でありますが・・というものが引き続き押し寄せました。2006年度における市税収入のうちの個人市民税、これは固定資産税とあわせて市の歳入の根幹をなすものでありますが、その決算額は約62億円。前年度から約5億6千万円、率にして約9%の増収となっております。これは他ならぬ、この「税制改正」による影響額、約3億7千万円を含んでおりますので、個人市民税の延びの半分以上は「税制改正」による影響であると言えます。
 さて、この「税制改正」の内容であります。ひとつには定率減税の縮減、また、老年者控除、年金控除の見直し、そして共働きの妻に対する均等割り非課税の廃止などであります。もし仮に、その人の収入が増えることによって税金があがる・・ということであればこれは「普通の現実」として受け止めることができますが、これらはそうではなく、収入や生活実態はそれまでと変わらないか下がっているにもにもかかわらず、税額があがってしまったり、または、これまで非課税だったのに、突如として課税される・・というある種、異様な状況をきたしているのであります。そして、それだけに留まりません。その先には、たとえば介護保険の保険料や国民健康保険税などに影響し、まさに市民負担が高まっている、これが決算年度における市民生活の姿であるとまず私は申し上げたいと思います。

 であることからして、三島市政としては、まず、このような厳しい状況におかれている市民生活を下から支え上げるような行政意志のもとに、具体的な施策が展開されるか、またはそのことがはっきりと志向されるような市内部における議論を期待するのですが、残念ながらそのような状況にはないというのが現実です。たとえば、これは一般会計ではありませんが、あえて言えば繰り出し金としての関係性から、ここで述べさせていただきますが、ひとつには水道・下水道などの公共料金のあり方。この「右肩下がり」という時代性の中にあって、各種の公共料金を下げるための議論があって然るべきだと考えます。それぞれの事業を時代に見合った規模に縮小するとか、または、事業をペースダウンさせるなどによってこのことの余地はあり得ると考えます。そして、かねて申し上げてきたように、国民健康保険においては、その賦課方式の見直しや、応益割・応能割の再検討などにより、負担の累進度を高め、低所得者の負担を軽くする、こうした取り組みをあらためて求めたいと思います。

 さて、討論をさらに進めます。
 決算年度に係る財政運営について述べさせていただきますが、尚も借金は増え続け、逆に、基金は減り続ける・・このことについて申し述べさせていただきます。
 私が今回、総務委員としてこの決算審査にかかわったなかにおきましても指摘させていただきましたことを含めまして、その改善を求める意味においていくつか申しあげます。
 
 まずひとつは基金残高であります。財政調整基金、また、各種の特定目的をもった基金残高の総額は決算年度で約36億円で、前年度から約3億円のマイナスです。中でも汎用性のある基金として重要な財政調整基金の残高がたいへん少ないのが実態で、さらには借金返済のための財源を確保する減債基金の残高は「0」、ありません。
 他の県内自治体と比較をしてみると、これはH17年度の県内の集計データでありますが、三島市は市民ひとりあたりの金額にして2万723円で、23市中下から数えて3番目。県内平均額4万9721円の実に半分以下。熱海市が財政難であることがしばしば取り上げられますが、その熱海市よりもさらに少ないのが実態です。
 私は、この基金残高の問題を、地方財政法第7条、これは年度における剰余金の半分以上は起債の繰上償還か、この基金へ積み立てるべき旨を定めた規定ですが、そのことからしても適切さ、堅実さを欠いていると指摘をさせていただいております。また、実質的にある程度の財源の備蓄の必要性からしても、少しずつでも基金への積立をすべきことを指摘をしてまいりました。特に財政調整基金については、東海大地震など激甚災害、大災害への備えなどの意味からしてもたいへん重要であります。が、残念ながら決算年度においても尚、そのことはなされておりません。 
 次に指摘を致します、「臨時財政対策債」などの特例地方債の借入や運用は、現在の経常経費として使われておりますが、これは、いわば、一般家庭に例えるなら、現在の生活費を、現在の収入で賄うのではなく、将来に借金のツケを回すことで賄っている。それと同じであります。であるならば、現在の財源の中から将来への備蓄を少しでも整えなければ、まさに世代間における不公平・・とならざるを得ません。
この基金残高が少ないことが、H20年度から施行される「財政健全化法」による「将来負担比率」というものを相対的に押し上げてしまうことになるのでこの意味からしても留意すべきことを申し上げたいと思います。

 ふたつとして、借金残高と、それから臨時財政対策債などの特例地方債についてですが、借金残高総額はいっこうに減らないのが実情です。決算年度においては借入額29億4300万円。償還額34億4500万円。結果として借金残高は349億8980万円でありました。前年度の347億6500万円から比べさらに増加をし、総額としては減ることはありません。
 こうしたなか、私が特に注目を致しますのは、この借金残高に占める特例地方債の残高の大きさ・・であります。金額にして約117億6千万円。そして割合にして全体の約34%を占めております。本来「特例」であるはずのものが、市政報告書の表現のように「その他の地方債」としていまや特例ではなくなりつつあります。
 あらためて言うまでもなくは、自治体の財政運営はまず第一に借金に依存しないことを原則とし、そしてもし借金をするとしてもそれが道路や施設などの市民の資産として形成され、子どもたちや孫たちにもこれが有用である、活用できる、その限りにおいて、後年度の税収による償還に適している。こういうものについてはこれを例外として認めているに過ぎないのであります。(地方財政法第5条に示されています)ところが、臨時財政対策債などのこれらの「特例地方債」は・・単に財源不足を補い、経常経費に充当されている、こうした借金に依存し始めて久しい経過にあります。そして、その残高が年々肥大化をし、借金残高総額をより大きなものにしていることは、もはや財政の大原則をも逸脱していると考えます。このように受け止める決算年度であります。
 当初、この臨時財政対策債は地方交付税の一部として導入がされた経過があります。しかしながら、ここ何年かのうちに、地方交付税の算定とは別立てでその借入限度額が決められている、つまり交付税とは無関係に借入がされるに至りました。ですので、地方交付税の不交付団体であっても、借入が認められているのであります。
 三島市におきましては、不交付団体となった今、その元利償還の100%が交付税に措置されるとしても、実際に交付税が交付されなければその意味をなさない・・ということはすでに今議会でも述べてまいりましたが、そのあり方については見直す必要性がありましょう。
 私は、この際におきましては、こういう不確かな時代であればこそ、財政に関する原則を踏まえ、その身の丈に応じた財政運営を、将来への安全をも担保した財政運営を確保していくことを求めますとともに、最初に述べた市民の負担増が高まっている実態に照らし、国民健康保険税や各種、公共料金などのあり方を改めて見直す取り組みがなされてしかるべきであると考えます。そのことが市政運営の中心的な課題として位置づけられるべきであります。なお、今議会の一般質問でも触れさせていただきましたが、「19節補助金・負担金」のあり方については、この意味からしても大きく改革を求める次第であります。

 政策的な課題といたしましては、行政と市民との協働ということについて、市政の中心テーマのひとつとして掲げられ、まちづくりや箱根の森づくりなどをはじめ、いろいろな分野で進められていることについては評価できると思います。今後さらに、この「市民と行政との協働」を進め、高まり、そして広がりつつある様々な分野における市民ニーズに対してこれらをよりカバーできるような取り組みを進めることを期待致したいと考えます。また、福祉分野においては、この年度に障害者自立支援法が施行されましたが、障害福祉サービスの利用に伴う利用料の負担は、それまでの応能負担から定率負担への移行しこのことが、これは障害をもつ人にとってたいへんに重い負担となったのであります。が、三島市としては地域生活支援事業における利用料の減免制度をいち早く取り入れ、その負担を緩和するなど県内自治体の中でも先進的であったと、特筆に値致します。この点を含め、福祉分野においては概ねの評価ができる点と致したいと思います。

 最後になりますが、今議会、議案として提案されそして既に可決しておりますが、「地方税滞納整理機構」について、決算年度は、このための準備を進めてきたことに関わりますのであらためて触れておきます。
 それは、つまり、「地方税法」と「地方自治法による広域連合=特別地方公共団体」との関係において、この両者を結びつける=整合させる法律の整備がなければならない。そのことが無しに、静岡県が進めている「地方税一元化想定」はあり得ないと、私は、かなり根本に係わる疑問をもっております。この本会議場における議論だけではなく、この事務を受け持っている収税課ともその後直接に議論致しましたが、尚もその疑問は払拭されません。
 今回の「滞納整理機構」は主として滞納処分を含む滞納整理に関する事務に限定がされておりますが、そのことにおいても、地方税法に示される不服申し立てや行政訴訟がどのように保証されるのか、基本的なしくみの問題として、尚、疑問視をしなければならない状況です。そのことを改めて申し上げなければなりません。
 今後の問題として、三島市におきましては、この広域連合からの離脱ということをも含めてそのあり方については再検討を求めながら、私の反対討論と致します。