第133号:2007年10月19日(金)

9月議会 私の一般質問の結果報告


財政健全化法と三島市

今回の私の質問は財政問題です。
「夕張ショック」で自治体の財政運営の健全化を促すための「財政健全化法」が定められました。
このことについて質問しました。
質問内容は以下のとおりですが、「財政情報をみんなで共有しよう」という私の趣旨に関連して
予算編成過程の情報の公開を求めましたが、肯定的な答弁でした。
これが実現するとしたら、県内では初めての取り組みとなります。

なお、ここでは三島市が地方交付税が「0」になったことについての受け止め方。
多額の補助金・負担金のあり方などについて踏み込んでいます。


質問と答弁の要旨です

栗原一郎の質問

1.財政健全化法の意義をどのように捉えるのか

 栗原は主に以下の3点(@〜B)についての意義が大きいと捉えているが、小池市長の受け止め方を伺う。

@各会計を連結させた指標の取扱。
A現時点における「将来負担」をできるだけ明らかにしつつ財政運営を進めていく。
B各指標の議会への報告、「再生計画」「健全化計画」の議決などが法定され、市の財政に対する議会の責任性を明確化させた。これまでの首長の責任性に加え、「みんなで情報を共有し、みんなで考えていく」という理念を具体化した。

2.財政情報の提供の基本姿勢と、情報の共有化に向けた取り組みは

@小池市長は「情報公開日本一を目指す」としている。大いに期待するところであるが、財政情報の公開についてはいかに考えるか。財政健全化法を受けて、財政情報のよりいっそうの公開を求めたいがその基本姿勢について伺う。

A上記@に関連して「予算編成過程の公開」は、「みんなで情報を共有し、みんなで考えていく」ことに資することとなるし、市民に対する説明責任により符号し、かつ、予算執行にも緊張をもたらし市政運営に好影響を与えると考える。全国的にも様々な形で取り組まれつつあるが(県内では皆無?・・調査中)、三島市としてもこれに取り組む考えはないか。
小池市長の答弁

財政健全化法に対して、私も栗原議員と同様の認識をもっている。各会計の連結決算。
将来負担ということについても明確にしていくことが求められ、これが「将来負担比率」として示すことになる。
夕張市の財政破綻、あれほどまでになるまでに議会のチェック機能が働かなかったと言われてきた。今回の財政健全化法では「議会」という言葉が15回もでてくる。このことは、財政に関する議会のチェック機能の重要性を重視した結果であろうと思う。同時に、議会に責任性というものを重視したことと判断できる。
新たな4つの財政指標で全国すべての自治体の財政状況が統一的に比較できるということは有意義であろう。
既に日本経済新聞が法の施行に先がけて、実質公債費比率などの全国データを報道により公表した。実質公債比率、静岡県内では、三島市は11.6%。一番良いのは御前崎市、次は裾野市、その次が三島市である。県平均は16.2%。三島市はたいへん良い位置にある。
福田財政部参事の答弁

財政情報の公開についての基本姿勢。現在、三島市は情報公開について「公開できるものはすべて公開」の姿勢。現状での三島市の財政状況は実質公債費比率11.6%に現れるように良好であるが、財政健全化法では、企業会計や一部事務組合、土地開発公社、第三セクターまで含めた債務負担を含めた自治体の健全性が監視されることとなる。本年秋にはその指標の詳細が示されることになる。
従って、税源委譲により、国税から市税に、そして交付税の不交付団体などから、支払った市税がどのように使われているのか、財政はどうなっているのかなどの財政情報は積極的に公開していく必要性があると考える。

市のホームページでは、財政情報は「予算案の概要」など他市に比べてより多くの情報を公開している。栗原議員が指摘する「予算編成課程」までは公開していない。先進市の例によると、各課からの予算要求、これに対する査定やその考え方などが記載されている。三島市でも、こうした取り組みを検討していきたい。
栗原一郎の再質問

重ねて伺う。
昨日の一般質問でも、学校関係などの耐震補強工事の問題、子どもの医療費の無料化拡大など、いろんな市民ニーズが押し寄せてきている。これらの問題に対する市長の答弁は「財政の壁は厚い」と。一体、市長と財政課はどっちが偉いのか。(笑いあり)という疑問を生じる答弁があった。
しかし、市長がこのように答えざるを得ないという、その事情については私なりに理解ができる。
財源は限られている。新しいことに取り組む場合、その分、他を切らねばならない。耐震補強も子どもたちの安全ということを考えれば、取り組まなければならない課題には相違ない。しかし、そのことにより、何かを非優先としなければならない。また、場合によってはその分、他を切らねばならない。
財政健全化法による各指標を良い状態に保とうとすればするほどそういう状況に置かれることになる。

関連していくつか伺っていく。
三島市が地方交付税の不交付団体になったこと、そして当面、この状況は続く。このことをどう考えるのか。このことはきちんとしなければならない。不交付団体であるということは、財政力指数が高い。ということになる。であるならば、三島市は財政が豊かであって、いろんなことがいっぱいできるのではないか。こういう受け止め方が無きにしもあらずだろうと思う。
したがって、不交付団体となったことの意味、これをどう捉えるのか、伺う。先に私の理解を述べる。これは、三島市の財政状況が良くなったからこうなってるのではない。国による数字的な操作で基準財政需要額が圧縮された、その結果である。つまり状況は変わっていないが、単に数字操作で財政力指数があがっただけの話しだと、理解している。どうか。
このことは、どう財政に影響するのか。市の総合計画に伴う財政計画では、交付税を収入できるものとして計画してきた。各年度、交付税を4億円程度を見込んだ財政計画を立てていることからして、不交付により、この分が毎年度、財源が不足する、影響が大きいと認識するがいかがか。
福田財政部参事の答弁

交付税不交付の要因として大きいのは、基準財政需要額の「単位費用」が圧縮されたことである。収入が延びたからという認識はしていない。
現在、総合計画に基づく財政計画は見直しをかけている。既存の計画では、交付税は漸減する計画となっている。ただ、交付税を見込んできたので、投資的経費に充当できる一般財源が圧縮をうけるという影響がでそうだ。
栗原一郎の再質問

深刻なこととして受け止めねばならない。と、前提しながらさらに伺う。
先ほどの答弁のとおり、財政健全化法に基づく各指標はH20年度の決算から適応される。ということは、H20年度の予算のあり方が問題となるわけで、これは実は「今」が問われていることに等しい。
そこで、私は、この健全化法に関連しながら、改めて「補助金・負担金」のあり方について伺いたい。
言うならば、そのあり方についてこの際に「大鉈を振るう」ことを求めたい。小池市長にはこのことについて、後ほど伺うが、その前に財政課に報告を求める。
まずは補助金。国や県によるお金を含まない、市が単独で支出しているもの。市単独のものが現状でどのくらいあるのか。件数と金額について報告を求める。
次に負担金。県工事に対する三島市負担分などの負担金でなく、○○協議会負担などの負担金。その件数と金額。これらはどのようになっているのか。
福田財政部参事の答弁

H19年度における、市の単独事業費補助金は165件、4億2185万5千円。各種団体への負担金は230件、8億377万4千円。となっている。

栗原一郎の再質問

たいへんな件数とそして金額である。
昨日の質問であった、子どもの医療費無料化の拡大に要する費用が3000万円あまり。この金額と対比して考えれば、どれだけ大きな金額かがわかる。
補助金の問題について切り込むとするならば、その公益性の評価という課題がでてくる。しかし、公益性以前に、単純に言って、その対象団体の「繰り越し金」の状況如何で、判断できる場合もある。どうか。
福田財政部参事

補助金は各課で所管している。各課で、対象団体の「繰り越し金」の状況について把握し、その状況によって予算要求している。そして、公益性への客観評価については、必要だと考えている。
栗原一郎の再質問

その答弁でキッチリとできているか否かについては、今後検証してみたい。
負担金、230件、約8億円。これらはある類型化ができないか。たとえば、@単におつきあい的なもの。A繰り越し金を多く発生しているもの。B同じ分野で同じような目的のためにダブって負担しているもの。Cこれはたいへんに興味深い分野だが、古いもの。古いものの中には往々して、一旦、市が負担したものをさらに上部組織に上納していくもの。最終的な組織は、国の外郭団体であったり。つまり、天下った役人の人件費に化していたり。はっきりそこまで調べているわけではないが、興味深い。
このように、ある種の類型化ができると考えるが、このような取り組みをしたことはあるか。
福田財政部参事の答弁

そうした4つの分類にして取り組んだということはない。
栗原一郎の再質問

各課のいくつかを回って担当者から話しを伺うに、各課でも必ずしもこうした負担金について肯定的に捉えていない。そういう空気がある。これまで、参加をしてきた背景として、「参加することによって一定の情報が得られる」というものであったが、今日の情報化社会のなか、参加しなければ必要な情報は得られないのだろうか。代替え手段は他にもあるのではないか。どう考えるか。
福田財政部参事

各種の団体に参加・加盟することにより得られる情報について、すべて把握できている訳ではないが、他の手段によっても得られるものが多いと考える。
栗原一郎の再質問

小池市長はどのように考えるか。これはやはり大鉈を振るうべきではないか。
補助金については、予算要求やその査定のなかで、一定の見直しを図っていることは承知した。負担金の縮減についてはなお一層の取り組みが必要ではないか。
各課のいくつかを回って担当者から話しを伺うに、各課でも必ずしもこうした負担金について肯定的に捉えていない。そういう空気がある。でも「三島市だけが協議会等から抜ける訳にはいかない」といった声もある。これは三島市だけの事情ではなく、他の自治体も同様の課題を抱えているのではないがろうか。だから、どこかが勇気をもって切り出していく必要があると考える。
小池市長に「○○協議会脱会宣言」とまで言わないまでも、一定の方針をもってこのことに望んでいただけないだろうか。いかがか。
小池市長の答弁

三島市は県内自治体のなかでは補助金・負担金、ともに低いほうであることが、データからわかる。精査を続けているが、新たに必要となる負担金もある。議員の指摘のように精査を強めて取り組む必要があると考える。三島市では、「第三者委員会」のような形で客観性をもって取り組んでいきたいと考えるが、この人選などでなかなか困難であると認識している。