第140号:2008年4月7日(月)

2008年度予算案に対する私の反対討論 



私は会派に所属していませんが、でも以下のように予算案に対する討論をし、
善処を促しています。(ちょっと長文です)
これが私のスタイルです。
それにしても三島市の財政はとっても厳しい状態にあることをあらためて痛感しています。


私は、無会派でありますが、2008年度(H20年度)一般会計予算案に対して反対の討論を行います。
 
 提案されましたこの予算案は、申し上げるまでもなく、たいへんに厳しい財政状況の中で、編成されてきたことは間違いありません。予算額316億7300万円、前年度より6億2700万円少ない、1.9%の減予算であります。この予算額に占める一般財源は232億779万5千円。であります。
 財政を運営していくうえでの基本的な財源となるこの一般財源232億779万5千円ですが、これには、財政調整基金を取り崩して得る2億円、そして、H19年度中に減収補填債をおこすことによって、言わば異例の対応を図ることによって辛うじて確保する繰越金4億4千万円を含んでいまして、それをもってしても、なお、前年度当初予算に含まれる一般財源より5億1452万円、その後補正を経たH19年度の現形予算より6億1689万円少ないこととなっております。
 「今まで経験したことが無いほど大変厳しい財政状況下での取り組みとなった」と小池市長が語るその言葉のとおり、あるいはそれ以上に厳しい予算編成であったことが伺えます。
 小池市長は施政方針において「歳出では、まずはじめに、福祉・教育予算に重点的な予算配当をし、次に、都市の魅力度を高める事業や都市基盤整備などを配慮し、そのほかの事業は費用対効果の視点で編成をした」旨示されておりますが、その意味におきましては確かに、目的別歳出として、民生費の約81億円は前年度から約3億2千万円の増予算、教育費の約52億円は前年度から約3億6千万の増予算となり、これとは対照的に土木費の約42億円は前年度から約10億円少ない、という形になっております。この限りにおいて福祉・教育への重点配分ということは確かに言える形であり、小池市長のその姿勢、それ自体については、評価できるものと考えます。また、補助金・負担金の削減については大鉈と言いますか、中鉈をふるった結果となりその削減効果はあり、適正な対応であったと考えます。また、歳入・歳出予算にはあまり関わりませんが、本予算案で目に付いたことのひとつは、一時借入金の限度額が長年にわたり30億円であったことに対し、これを20億円に減じたことであります。一時借入金については、これを悪用すれば夕張市のように決算を粉飾することも不可能ではないことであり、三島市においては決してそういうことはありませんが、限度額を減らしたことについては妥当な対応として受け止めます。
 しかしなかがら、その反面、今回、この予算案のかなり本質的な部分において、重要な点で、是認できないこと、善処を求めたい点、大きく3つの点を述べさせていただきながら討論を進めていきたいと思います。
 第一に、財政調整基金そして、各種基金への積立がなされない・・という点であります。さきほども延べましたが、財政調整基金についてはそれどころか、逆に2億円の取り崩しとなっております。もともと少ない財政調整基金は、このことにより残高は約2億6千万円となってしまいます。予算審議でも触れましたが、これは三島市と同じような人口規模の類似団体の平均的な金額である約22億円と比べて、著しく少ない金額となります。
 実際、今後予想される、と申しますか、支出が余儀なくなされる大きな費用となる、学校・幼稚園の耐震補強、あるいは改築。公立保育園の耐震あるいは改築という問題でありますが、三島市が定める平成27年度末までを目標とした「耐震改修促進計画」にそった財源の確保が求められる筈であります。財政調整基金や教育施設整備基金などへの一定の乃至、相当額の積立が当然のこととして求められている筈であります。
 この耐震関係に関する本予算案では、継続事業である北小学校の改築、そして八反畑幼稚園の耐震補強工事となっており、これまでの取り組みが重ねられる形でありますが、まだまだ、これからがたいへんであり、今後、さらにH27年度の目標年次までに数十億円もの財源が必要となりましょう。保育園関係では、本予算案の段階では谷田保育園が新たな錦田こども園に移転統合されることや、民間保育園である梅の実保育園の耐震補強工事に対する助成がなされますが、残る幸原保育園、光が丘保育園、私立でも不確定ですが同様に課題となることは必至であります。
 その財源について考えますと、「国庫補助金」はすでにあてに出来ないのであります。保育園の整備関係の国庫補助金は一般財源化されていますし、民間保育園整備についてのこれまでの県の補助分については、市の一般財源によるものとなり、市単独の補助分を合わせて市が助成することとなればさらに大きな支出が今後予想されます。
 話は、学校・保育園関係から離れますが、ごみ焼却施設の老朽化に対する施設の更新のための財源の備蓄や、一般質問でも触れられた、長伏の下水処理施設の老朽化に伴う施設更新のための財源の備え、といった市民生活に直接に影響する重要な課題に対する備え。こうしたことは、耐用年数や老朽化している現状から、すでに今の段階においても必要になっている筈であります。
 特に、三位一体改革による国庫補助金の一般財源化、国庫補助金の廃止、縮小ということからして、三島市の一般財源が大きな負担を強いられるという現実になっていることはまず念頭に置かねばなりません。
 その一般財源を、この経常経費の増加傾向(本予算案は前年度からは人件費の減額で少し減少しているものの大きな意味においては経常経費の拡大が見られます。)、対して本予算案のように、地方交付税が交付されないことや、市税収入の延びが期待できないということによる一般財源の減少傾向の中できたしているこの財政の硬直化のもとにおいて、こうした備蓄なしに捻出していくことの困難は必至であります。
 あまりにもありふれた言い方かもしれませんが「備えあれば憂いなし」。本予算案であっては、その憂いが、子どもたちの育ちの場である、学校・幼稚園・保育園、そして市民の日常生活を脅かそうとしているかに見えます。
 
 第二の点でありますが、退職手当債の発行、3億円。であります。これは、退職される職員のみなさんの退職手当を借金で調達するもので、その返済は10年に及びます。今の子どもたちにまでそ負担を求めるということとなります。私は、もとよりこの借金(起債)については、極力これを押さえるよう発言を重ねてきたのでありますが、それでも、本予算案で言えば、錦田こども園建設事業や、南二日町広場整備事業などの建設事業、言い換えれば資産のストックに貢献するものであれば、その返済で後年度への負担を求めたとしても、その利益を享受できることからすれば、これは是認する考えもあります。もちろん、それは一定の許容限度があると考えますが。
 しかしながら、この退職手当債は、今の職員の人件費を、後年度の人にも負担させるのであって、その方たちには何らの利益ももたらしません。このことは、税の公平・平等の原則や、「受益と負担」の原則を持ち出すまでもなく、おかしな話でありまして、決して是認できるものではありません。退職基金の備えでは充分で無かったとするならば、あくまでも当年度の一般財源をもって充てるべきであります。
 
 第三の点、それは、土地開発公社の保有する土地、とりわけ「塩漬け土地」と言われる、公社が取得をして5年以上経過している土地に関して、これらを買い戻す義務がありながら、それを果たしていない、ということを私は深刻な問題として捉え、予算審議でも触れさせていただきましたが、ここであらめて述べさせていただきます。
 総務省が、毎年行っている、全国の土地開発公社に対する最新の調査結果によれば、静岡県内にある21の公社のうち、県と政令市を除く中では、実は三島市・函南町土地開発公社は最悪の状態にあります。これは、5年以上経過してなお市が買い戻すことができていない土地が金額にして約43億円にも及び、土地全体の86%を占めております。ちなみにこの場合、その全てが三島市分であり、函南町分はありません。ですので、殆どの土地が「塩漬け状態」となっているという現状にあります。そして、この43億円の金額は、1年間で約6千万円の利払いがこれに累増していく形となり、三島市が買い戻す時期が後へ行くほど拡大してしまうという・・深刻な状況をきたしております。
 私はこの点について予算審議ではいくつかの点に触れさせて頂いたのですが、まず問題は、これらの土地の買い戻しについて、本予算案も含め、債務負担行為として何ら示されていない、言うならば「宙に浮いた」状態となっているということであります。
 静岡県は、H2年度において、各土地開発公社とその設立団体、この場合三島市ですが、に対して一遍の通知を出しております。これは当然の話ですが、開発公社による土地の先行取得が、買い戻しをされないまま放置されるとするならば、やがては買い戻しをする際に大きな財政負担となる恐れ、買い戻し価格が年々と増加していく原理からして、その恐れは後年度にいくほど大きくあり、これが現実とならないように・・という意図をもって、「先行取得の際は、依頼団体は債務負担行為を起こすものとする」と示されていたのであります。
 にもかかわらず、何故か、そのことに反して、この通知以降に先行取得された谷田幸原線事業用地、三島駅南口の東街区、この大規模な先行取得を含め、予算における債務負担行為に何ら示されることなく、現在に至っております。このことについては、私も公社の理事を勤めていた時期もありましたが、この問題に気づくこともなく反省のもとに今述べているのでありますが、善処を求めるのと同時に、早い段階で三島市が買い戻す必要があり、何らかの具体的検討をし、そして債務負担行為に適正に示すことによって、その負っている三島市としての債務を、市民の前に公然化すべきであります。

 さて、これまで述べてきた大きくこの3点については、あまり目につかない問題ではありますが、財政運営上極めて重要であると判断致します。これを解消しようとするのであれば、今の財政をさらにもっと切りつめなければならないことになります。
 福祉・教育に重点を置いた本予算案は、繰り返しますがその基本的なあり方については評価をするものの、しかしながら、その福祉や教育においても尚見直しを図るべき必要性がありましょう。たとえば、敬老祝い金をはじめとする「総合福祉手当」に掲げられる各種手当の中には、時代とともに、制度的な変遷に対応して適宜見直す必要性がありますし、場合によっては市民の何らかの痛みを伴うことになるようなこともあるかもしれません。当然、その前提は、財政情報の徹底した公開と、徹底した市の説明責任においてなされるべきことでありましょう。
また、人件費における職員の手当関係については、時間外手当の圧縮の工夫、通勤手当、住居手当、特別勤務手当の見直し、さらには職員互助会への補助金などのさらなる見直し、など含め、経常的な支出、福祉や教育についてもあらためて費用対効果を吟味することが必要な、そうした状況に今、至っていると考えます。
 そして投資的な事業については、企業誘致による税収の向上の状況にあわせて、さらに、凍結やペースダウンを図るなどの対応が求められていると考えます。
 それをもって、三島市においてはより自立性、安定性、そして持続可能性を保ち、未来のこどもたちに対しても負荷の少ない財政の体質を少しずつでも確保していくことを求めながら反対の討論と致します。