| 09年度予算案に対する私の反対討論 |
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私、無会派でありますが、2009年度(H21)の三島市一般会計予算案に対して反対の討論を行います。 申し上げるまでもありませんが、2009年度予算案。これは、少なくとも向こう3年間乃至数年間にわたり予想される経済の危機的な状況の、まずその入り口にあたる予算案として受け止める必要があると考えます。 私が今回、このように反対の討論をさせていただく主な理由。それは、この経済危機・財政不安というものについて、正面から向き合い、これをどう克服していくかと論議を超えて、この経済危機・財政不安という厳しい環境に適応し、むしろ、この最悪の環境を逆手にとり、「ピンチをチャンスにしていく」という意志と構想に欠けるという点であります。 確かに小池市長は、私の一般質問に対しましても、この厳しさが予想される状況の下で@緊縮財政。A積極的な公共事業による景気刺激。B福祉は後退させない。という明確な基本的方針を示し、とりわけ三島駅南口の市街地再開発事業に関しては困難をおしても取り組む意志を披瀝していただき、この限りにおいては市長の基本姿勢について私は支持をしたいと考えます。 しかしながら、もう一歩さらに踏む込んでいく姿勢が求められるということであります。残念ながら私の力不足により一般質問は尻切れに終わってしまったのですが、三島市による公共事業・投資的な事業全般について、これが三島市内の雇用や税収により結びつくような「地域循環への実現に向けた取組」への積極策を期待したいのであります。この問題を考えるうえでの、三島市が行った投資的事業において、三島市内の業者が受注している金額は実は少ないのではないか・・ということを示す2つの例を資料において示させていただきました。 ひとつはH19年に請け負い契約が議決された北小学校改築に伴う教室棟・管理棟・給食棟建設工事における三島市内業者の請け負い状況。これは二次下請けまでのもので下請け届けによるものであります。全体額約16億円のうち、その11%にあたる約1億8千万円に過ぎないということ。 もうひとつは、H19年に行われた下水道工事における請け負い契約38件・金額で約12億円にのぼりますが、この市内業者の請け負い状況。これは元請けでは市内業者が74%を受注する状況にありながら、二次下請けまで含めた状況を見ますとこれが41%に留まっています。下水道工事の場合、シールド工法などの高い技術が求められる場合もあり、こうした場合は市外の業者に対する下請けへの依存が大きくなることが考えられますが、それはごく一部に過ぎません。 ですので、私はこうした公共工事において、実質的に地元業者の請け負いをもっと増やす、あるいは資材の調達も可能な限り市内業者で調達するなどの努力義務を、一次請け負い業者にさらに求めていくことが必要だと考えます。もちろん、請け負い契約は「競争」が前提ですし、この努力義務を強制をすると独占禁止法に抵触することも承知しているつもりです。また、場合によっては工事のコストを引き揚げ落札率をあげてしまう恐れもあることは承知致します。でも、それは様子を見ながらでないとわからない筈であります。 小池市長は、「積極的な景気刺激のための公共事業」という方針を示しているのでありますが、仮に、現状においては公共工事における地元業者の請け負い率が低い状況にあるならば、事業についての景気刺激の意義は半減してしまう恐れもあり得ます。この点、もう一歩踏み込んだ対策が必要と考えるのであります。 あのバブル経済が崩壊した後の、国による借金誘導政策による公共事業の増発の景気浮揚策は失敗に終わっています。交付税でかえってくるから自治体の損はない、筈でありましたが、交付税の枠は見事に縮小され、残ったのは借金だけ。結果的に財政難に喘ぐ自治体の姿に対し、今度は合併しなさいと。こうした経過にありますが、三島市においてはこの轍を決して踏んではならない。そのことに充分に留意すべきであると申し上げます。 さらには、厳しい財政環境下での積極策として、新たな産業や市民ニーズを満たす新たなしくみを生み出すための「目だし」ができるか否か・・という点が問われていると考えます。その意味におきましては、箱根の森の整備、そして、材を市場へ出し、地域循環させる。ここに雇用を形成する取組が期待されます。緊急雇用という特定財源を使い、これを刹那的なものとせずに、恒常的なものとしていくしくみに戦略的に取り組む意志がもっともっとあってしかるべきではないかと、考えるのであります。そのように市民ニーズを満たしながら、「人」や「物」、そして「資源」や「税」、これらの地域における還流ということを積極的に意識した方針が明らかにされるべきであると考えます。 さて、09年度は法人市民税の大幅な落ち込み、また固定資産税の減収を伴いながらも一般財源総額としては約231億6千万円。これは前年度よりも微増という形になっております。が、臨時財政対策債の14億円という大幅な増発で補われたものであります。この点について、臨時財政対策債は「交付税の替わりである」と論じてみても、それはあくまでも借金であります。直ちに、これを借りないという選択はとりにくいものの、依存度をより小さくし、より自立度を上げる、つまりは、一部でもよいから借入可能額の全額を借りないという選択を重ねていくことを求めておきたいと思います。 昨年も同様に述べさせていただきましたが、やはり退職手当債についてもしかりであります。このことについても、適債性に関しては大いに疑問であります。退職手当は新年度については約9億9千万円が見込まれこのうち3億円を退職手当債に依存しておりますが、今後、さらに必要とされる手当額が増えていく見込みの中で、この手当債への依存度を小さくしていくことを求めておきたいと思います。 最後になりますが、この厳しい状況下でどうしても納得できない点、それは生活保護費の予算計上についてであります。 扶助費の総額は7億8千30万円。前年度は8億2559万8千円と比較すると4529万8千円の減額となっています。内容として、医療扶助の減額は、障害者に対する医療扶助が自立支援医療という他の制度に移行したことによる減額ということにあっては一定の理解ができるのですが、この時代、この状況に於いて生活扶助、住宅扶助、教育扶助などの主要な扶助費が軒並み減額というのはどうも理解ができません。 まずは、このセーフティーネットを充実させる必要性の高まりから言えば、本来、もっとしかるべき予算額が計上されるべきと考えます。 同時に、この生活保護制度のあり方について、対象者の自立度を高めるための工夫。このことが本腰を入れた形で進められることが求められると考えます。市の行うケースワークと、ハローワークとの連携のみでは、一人の人の自立を促し支えることは実は困難だと思われますので、さらに側面から支援し、場合によってはNPOなども含め多様な主体の連携を形成することも考えるべきだと思われます。 生業扶助については若干の増額であります。この生業扶助は、生活保護制度の中では実はある意味での例外的な主旨が含まれております。何かと申しますと、他の扶助は、困窮・貧困という事実について扶助されるものでありますが、この生業扶助は「その恐れ」についても含めて扶助を認めています。(法17条)従来、この生業扶助については、その積極的運用が図られてきませんでしたが、いまこそ、この主旨をいかし、セーフティーネットのその網の目をより細かなものにしていくことを求めたいと考えます。 以上、申し上げました。いま、この厳しい状況を、たとえば海に例えるならば、ちょうど潮がひいている・・そんな状態にあるのでしょう。潮がひいているときには我が身の足下が見える。満ちているときには見えなかったものが、引き潮で見えるということもあります。この機に、しっかりと足下を見据え、財政の基盤強化のために何が必要なのか、市民ニーズを満たすために何が必要なのか、しっかりと見極めていくことを求め、反対の討論と致します。 |