ストーリー |
青く透き通った水を湛える摩周湖が時坂樹との初めての出会いだった。 悲しげな瞳で遠くを見つめている姿に魅かれ、 反射的に彼女を被写体に収めてシャッターを押してしまったのが切っ掛け。 シャッターを押した理由は自分にも分からなかった。 ただその深く美しい瞳に魅入られたのだろう。 そのくらい、彼女は美しかった。 いきなり写真を撮られたことで困惑する彼女だったが、 自分の素性を明かし、モデルとして撮影させて貰えるよう必死に頼み込んだ。 彼女なら自分に最高の一枚を齎してくれる、そう直感したから。 しばらく考えた後、彼女はこう口を開いた。 「私、摩周湖に毎日来てます」 その言葉はモデルとしての承諾を意味すると共に、 これから始まる2人の運命的な旅の始まりを意味するのであった。 |