その5 本当の“サポーター”の姿 
 
〜 サッカー文化発展のために為すべきこと 〜

 Jリーグが誕生して10年余り。“サポーター”という言葉もかなり定着してきた感じがする。しかしながら、そもそも「“サポーター”って何?」という問いに対する答えは一向に見えてこない。あちこちの掲示板で「日本一のサポーター軍団は何処?」と議論が盛り上がっているのだが、どれもこれも「俺たちはこんなに熱い応援をしてるんだ!」ってな感じの単なる自慢話にしか見えない。

 Jリーグ誕生以前の我が国のプロスポーツと言えば、大相撲やプロレスの格闘技系や競輪などの公営ギャンブルを除けばプロ野球しかなかった。そこでプロ野球のファンや応援団との差異を表すのに相応しい言葉として“サポーター”が使われた感じがする。つまり中身よりも外面が先行した訳だ。したがって現在に至っても口では「クラブや選手と一緒に闘う!」とカッコいいことを言っても、実際やってることはプロ野球の応援団と同じで、リーダーの指図や鳴り物に合わせてみんな声を出す域を超えていない。あ、唯一つ違うのは、ヨーロッパのサッカークラブのサポーターの悪しき姿を真似る輩がいることだ。すなわち“フーリガン”と呼ばれる者たち(あるいは行為)である。

 しかし良く考えてみると、理由はどうあれ所謂“フーリガン”と言われるような行為をすれば、クラブや選手、他の観客、スタジアムの近隣住民に多大な迷惑がかかるわけで、それらは“サポート”しているんじゃなくてどちらかと言うと邪魔してることになる。

 そんな風に考えると、Jリーグ発足後かなりのクラブのサポーター軍団が日本一どころか「サポーター失格」ということになってしまう。僕が覚えている限りで言うと…。
 まずはピッチ乱入なんてもっての外。不甲斐無い戦いぶりに激高して乱入した昨年の
コンサドーレ札幌、ナビスコ杯優勝したのに興奮して乱入し、選手の金メダルを強奪していった浦和レッズ、目の前でホームゲームのチャンピオンシップに敗戦し、表彰式で喜んでいる相手チームに怒って乱入した鹿島アントラーズなど。この時のアントラーズに至っては「アウェーなのにいつまでも騒いでいるから悪い!。」などと言い放つサポーター代表(この人その後鹿嶋市議になったらしい)とそれを否定しないクラブ代表の対談がHPに掲載されたりして呆れる限り。
 続いて試合運営を妨げる行為。試合終了後に相手サポーターをスタジアムに軟禁状態にした
FC東京、相手FWのずるいプレイに激高し、試合終了後に相手クラブのバスを取り囲んで深夜1時過ぎまで帰らせなかった清水エスパルスエスパルスは持ち込み禁止の缶、しかも中身入りを投げ込んで選手に当たったこともあったっけ。ピッチに物を投げ込むと言えばアントラーズも投げ込んだペットボトルを選手が投げ返したのに腹を立てて乱入し、自分とこの選手を殴ったこともあった。
 他にもいろいろあっただろうけどとりあえず。これはあくまでその行為を行った個人を指してるだけで、サポーター全員のことを批判しているわけではありません。

 では本当の“サポーター”とはどうあるべきか? 特にゴール裏の中央で応援の指揮をとるコールリーダーたちは、単に応援をしているだけではサポーターとは言えないと思う。スタジアムには様々な人が集う。お年寄もいれば、子供連れの家族もいる。観て不快な思いをする横断幕などもっての外(エスパルスサポーターは反省したまえ)。また強引なあでの場所取り行為や、「住み分け」などと勝手な理由で自由席に来た家族連れを追い出してしまうなどは何の権利があってしていることなんだろう?
 みんなが「楽しかった。また来よう。」と思えるような雰囲気づくり、それがスタジアムに観戦に行こうという人を増やし、地域にサッカーと愛するクラブが根付いていく。

 そう、“サポーター”とは、サッカー文化を拡げていく役割を担っているのだ。

 良い悪いは別として、スタジアムに集った他の観客に程度の差はあれ応援を“強制”する以上、スタジアム全体がいい感じで応援できる雰囲気づくり、ひいてはサッカーを観て応援する環境づくりに努力する責務を持つと思うし、そうして欲しいと切に願う。

(平成17年4月13日)