2002年5月

     
 5月27日
パソコンは相変わらずです。
 SCANDISKも途中で止まっちゃうし。
 韓国の技術力を信じる限りウイルスの類では無いようだけど。
 ほかにも、今日は雨合羽をなくしたりバイクのタイヤがパンクしたりいろいろと泣きたくなることばかり。
 でも、ひとつだけいいことがあった。
 「楽園迷宮」の新しいバージョンが頭の中にできた。
 もっと素直にキリアス君をかっこいいと思える、まったく別の物語。
 キーワードは、葛藤。
 二つの正義。
 ただ問題がある。
 どうやって父親を黙らせるか……
 この間楽園迷宮について厳しい意見をもらって、それについて今日ずっと考えていたんだ。
 そしたらテーマの内部矛盾が見つかって。
 キャラ造形ももっといじったほうがいいなと思って。
 逆にいらない部分もあるなって。
 これを全部いじるとなると、全面改訂だ。
 数ヶ月かかる。
 ちょっと保留。だが、うれしい。
 5月26日
なぜかまだパソコンが不安定です。
 エラーメッセージがいっぱいでたり、かってに再起動したりします。
 
 ホームページビルダーのインストールもなぜかできないので、これからビルダー無しでサイトを更新する方法を試してみます。

できましたー!
 ああ、ビルダー無しでもサイトって更新できるものなんだなあ。
 ありがとうFFFTP。
 というわけで現在はメモ帳にタグ手打ち、フリーのFTPソフトでアップロードしてます。
 これは「HTMLのタグを覚えろ」という天の意思か何かだろうか。
 
 てなわけで。
 ここ10日ばかりパソコンの不調のためサイト更新がまったくできない日が続いていましたが、みなさんお待たせしました、ようやくできるようになりました。
 たぶん。
 だってパソコン自体は相変わらずのわがままっぷりで、しょっちゅう再起動を余儀なくされているんだから。
 自慢じゃないけど、今日一日で10回以上再起動したぞ。
 だから「たぶん」としかいいようがない。
 あしたにも完全にとまっちゃいそうで怖い。
 ではどうするか。
 ハードディスクを変えたのにこうだということは、マザーボードも換えないとだめってことですかー!?
 次の休みに店を覗いてくるか。
 いや、それより先にワープロソフト類だ。
 5月24日
心にぐさりとくるメールを二本ほどもらった。
 片方は私の小説に関するものであり、もう片方は私自身に関するものだったが、奇妙に内容が符合する。
 
 小説は作者の人格や経験の限界によってゆがめられるものなのだろうか、作者と作品は別というのは幻想か、などと怖くなった。
 5月22日
 会社で、
「ブロードバンドを入れたいんだけどどうすればいいかな?」
「ADSLは使えないってNTTに言われたんだけど何か方法ないかな?」
 などと相談を受ける。詳しいと思われているらしい。「しょっちゅうパソコンの雑誌を読んでいて、自作パソコンを使っていて、家にADSLを導入しており、サイトもち」……これだけ見てればパソコンに詳しそうに見えるかも知れないが、気のせいである。
 だが、詳しくないと言っても、謙遜してるだけだと思われてしまった。
 しかたないので、ADSL以外のブロードバンド、それから遅いけど常時接続ではあるフレッツISDNやエアーエッジについても教える。
 感謝されてしまった。
 雑誌に書いてある程度のことなんだが。
 
 噂のインディーズアニメ「ほしのこえ」を観た。
 うん。たしかにいい出来だ。
 メカが、背景が、ため息が出るほど美しい。
 普通のテレビアニメだったら、いや劇場版でも手を抜くところがあるもんだが、この作品は決して抜かない。
 「神は細部にこそ宿る」という言葉を連想させる完璧主義。その執念に感服した。あまりに気合を入れすぎて、人物のタッチが背景と違いすぎて浮いてるけど。
 話も、とてもシンプルで、だからこそ普遍的な物語。
 ただ、登場人物の心については……
 すごくいいし、私ごのみではあるけど、「必要最小限しか描かず、あとは想像させる」というこのやりかたは……極端すぎてあっけにとられた。私が、過剰な説明と描写に慣れてしまっているだけかも知れないが。

 5月21日
 昨日は疲れがたまっていたので、パソコンの電源を入れる気力すらなく眠りに落ちた。
 そのおかげでやけに早い時間に起きることができた。
 ああすばらしい。早起きっていいなあ。
 早起きできる時間帯に眠れるっていいなあ。頭の中に霞がかかったようで、時々意識がとぶという症状もない。 この症状(ただ眠いだけ)から解放されたのは何日ぶりだろう。
 ゆっくりでても十分間に合うので、ちょっとだけネットをやってから出勤した。
 ところが、仕事をしているうちに頭痛がしてきた。さらに背中の筋肉がやけにこわばり、吐き気と悪寒が……風邪ですかもしかして。
 とほほ。
 
 奈須きのこ「空の境界」がドラマCDかされるという話をきいて驚く。
 むう。いかに人気作とはいっても同人小説がプロの声優さんの手でドラマ化されるとは。
 そうか、いまはもう、同人だからどう、という時代じゃないんだな。
 だから何の言い訳もできない。
 私も怠けてられないぞ。
 
 この調子で月姫もお願いします。
 
 同人で思い出したけど、「ほしのこえ」も買ってきた。
 明日は多少時間があるはずだ。明日見よう。
 5月16日
 記憶力が凄く衰えていることに気づいた。
 怖い。
 
 チャンピオンの新連載「最強看板娘」。
 うわあ、チャンピオンのギャグ漫画はほんと体当たりだな。期待。
 5月15日
 やっと日記が書ける。
 
 「ガディウス」というネットワークRPGを薦められたので、はじめてみた。
 韓国のゲームである。ネットゲーム王国・韓国。
 市販されている訳ではなく、ゲーム本体はネットからダウンロードするのだそうだ。
 60メガバイトもあるのに。いまはADSLだから10分で終わるが、ダイアルアップだと3時間はかかる。
 ……いかに韓国でブロードバンドが普及しているかよくわかった。

 「ウルティマオンライン」とくらべて絵柄に親しみがもてる。

 最初に作ったキャラは「ペンネームC」だったが、「一緒に歩きたくない」と言われてしまったので、二人目を作る。
 やはり名前はあれしかない……
 「遠野秋葉」と……
 あ、もう使われてるよ!
 「秋葉」もだめだ!
 ぬう。あなどりがたし。
 ここはキリアスとかプレアとかにしとくべきでしょうか。

 結局「アキハ」にした。
 名前に相応しい、美しく上品で純粋で強くて妹で貧乳な(え?)キャラに育ちますように。

 山本弘氏の「こんなにヘンだぞ! 空想科学読本」の波紋はどんどんひろがっていき、「SFファンと架空戦記ファンの争い」というものも発生した。
 気になる。SFは排他的であってはならないとおもうぞ。架空戦記もまたしかり。
 5月12日
 ADSLがつながったー!
 昨日と何も設定変えてないのに、今日はつながった。
 不思議不思議。
 やはり名前が名前だけあって我がままである。
 でも本当は優しい子なんだよ。

 さっそくスピードテストをやってみる。
 1.3Mbpsだった。
 1.5Mbpsのコースでこれだけ出れば文句ない。

 しかし、いままで使っていたメールアドレスによる送信が出来なくなった。受信は出来るのに送信できん。謎である。できればどっちのアドレスも使い続けたいんだがな。
 ふーーん。
 なにかフリーメールを使って、プロバイダを変えようがどうしようが気にしないでいられるようにしておこうかな。
 いまのところ、SPAMメールもウイルスも半月にいっぺんくらいしか来ないけど、どばどば来るようになるかもしれないし、予備をもっとくにこしたことはないな。いままでは運が良かっただけかも知れないな。

 とにかくまだ問題は残ってるとはいえ、ADSLの威力はやはり凄い。
 いくらネットをやっても電話代がかからない。おお。ネット猿になりそうである。
 がまんがまん。
 
 CHAINに関する直しのアイディアを一つ頂いた。うん。最小限の変更ですむ優れた案だ。魅力を感じる。
 
 しかし、CHAINは近々出版社に送る作品だ。時間がない。また徹夜直しである。がんばるぞ。
 というわけで今週中には削除されます。読みたい方はいまのうちに保存を。

 いろいろなものの感想。
 
 冲方丁(うぶかた とう)「微睡みのセフィロト」徳間デュアル文庫。
 うん。超能力者同士の戦いを描いてるんだけど、造語とか世界観に独自性と切れ味を感じる。明かされる設定、情報量はむしろ少ないのに、世界に実在感が感じられる。この世界を舞台にしたサイドストーリーを書きたくなってしまう、そんな作品だ。

 小説の次は漫画。

 「ななか6/17」(八神健 チャンピオン連載)は第一部完だったか。すっかり終わるもんだと思ってたので少し肩すかし。まあ、アニメ版も第2部も、面白くなってくれればなんでもいいか。
 
 「愛人(アイレン)」(田中ユタカ、ヤングアニマル連載)完結。
 反則だと思う。
 でも素晴らしい反則だった。
 とくに前回が良かった。
 ずっとわすれない言葉が、またひとつ私の中に増えた。

 さて、これから「楽園迷宮」の再アップ作業を行います。
 これもまた送るつもりだから、感想・批評もらえるとうれしい。
 5月11日
 さぼり気味ー。だめだめー。

 おととい、久々にバイクを洗車した。
 すると次の日は一日中大雨。全部パーになった。なんか凄く虚しい。
 慣れない事はするもんじゃないなー。
ADSL接続に再びチャレンジ。
 ……だめだー! ぜんぜんだめだー!
 サポートセンターにも電話つながらないし。
 
 くう。
 嫌なことがあったときは楽しい本を読むか、美味しい物を食べるか。
 「馬車道」でスパゲッティを食べつつ本を読むことにした。
 あー癒されるー。普通のファミレスではこれは味わえないー。
 とくに琥珀さんファンにお薦め。

 CHAINを直し終わったのは良いのだが、やはり賛否両論あるようだ。
 難しいもんである。

 賛否両論と言えば、
 山本弘「こんなにヘンだぞ! 空想科学読本」太田出版。
 この本が波紋を呼んでいる。
 
山本弘氏のサイトは掲示板が凄いことに。ほかのサイトにも燃え広がっております。
 大ベストセラーになった柳田理科男氏の「空想科学読本」。アニメや特撮のさまざまな設定や場面を取り上げ、「科学的におかしい。実際にそれをやったらこうなる」と批判した、いや、笑い者にした本だ。
 でもその本も科学的におかしいし、そもそも元の作品自体をろくに見ないで書いてるらしく、「愛がない」「無粋だ」「間違ってる」と非難する者も多かった。
 そういった批判の集大成とも言うべきなのが、SF作家でありアニメファンでもある山本弘の「こんなにヘンだぞ! 空想科学読本」というわけだ。義憤の書である。
 それにしても、まさかここまで間違いが多いとは思ってもみなかった。
 ドラえもんの体重が80キロと書いてあったり(これは初版。後に129.3キロと正しく直されている)、妙だなとは気づいていた。
 「ウルトラセブンがマッハ7で飛んだら衝撃波で首がもげる」と柳田氏はいうが、宇宙を超光速で飛べるような異星人が衝撃波一つ防げないというのはおかしな話である。
 が、私が気づいていた「変なところ」は一割にも満たなかったらしい。
 
 やっぱり私の科学知識など山本弘の足下にも及ばない。
 子供の頃から科学とSFが好きだった。天文や物理の本を暗記しているような小学生だった……という出発点は変わらないんだが。
 ああ。暗記していただけの私と、「そういう理論が出てきたのは何故だ?」と考えた山本弘の差かも知れないな。

 そして「作者はただ無知なだけではないだろう。わざとやっているのだ。都合が悪くなったらアニメの設定を曲解したり地球の空気を無視したりして、とにかくアニメは科学的に滅茶苦茶なのだという結論にもっていこうとしているのだ」と指摘されるに及んで、私は慄然とした。
 だが、と気づいた。
 もともとアニメや特撮が科学的におかしいのは誰でも知ってること。創ってる人間だって正しいとは思ってないだろう。ハードSFを名乗ってるわけじゃないんだから。
 SF考証がちゃんと行われてるアニメはある。たとえば「機動戦艦ナデシコ」。たとえば「アキハバラ電脳組」。とくに後者は、映像的には単なる魔法の力にしか見えない物に、ナノマシンだのニュートリノだの時間の不連続性だの……いやあ凄かった。ガンダムだって、ニュータイプ以外はちゃんとSF考証されている。
 しかしそこまでやっても、現実に確立された科学技術ではないのだから揚げ足をとろうと思えばいくらでも取れる。

 だからそれを「おかしい」ということにまったく意味はない。
 意味はない。だが「空想科学読本」シリーズは売れた。最初の本なんて100万部だ。
 なぜだ?
 私は……あの本を最初に読んだとき「ギャグとして笑える」から面白いと思った。だから1巻は買った。
 しかしその面白さはまったく変わり映えがしないもので、すぐに飽きた。
 でも多くの人は読み続けた。なぜ。内容を正しいと思い、科学を学ぶつもりで読んだのか。それともギャグとして?
 私には、それが気になる。
 内容が正しいかどうかではなく、「なにかをバカにする、という行為自体」を人々は求めているのかも知れないから。
 だとしたら気が重くなる。
 5月8日
 これは中学時代の話だ。
 「お前はテストの時、すぐに考えるのを諦める。ちょっと考えて判らないともうやめて寝ている。判らなくても考えようとすることが大事だ。最悪、山勘でも当たることはあるしな。何もしないよりずっといい。とにかく回答欄を少しでも埋めようとすることだ」
 と先生に言われた私は、次のテストでは、すべての回答欄に「?」と書いて提出した。
 0点だった。
 先生の言うとおりやったのにー(笑)。
 ちなみに英語のテストです。
 
 仕事中、電話を受けながらバイクに寄りかかったら、バイクは勢いよく倒れ、電柱に激突。
 タンクが派手にへこんじゃったよー。はうー。
 「はうー」で思い出したけど。
 次に書くのは180度反対の「松戸才子まーち」にしようかと思ってるんだが。
 1年書いてないので、「まーち」の書き方が思い出せないかも…… 
 5月7日
 CHAINの直しについて感想をいただく。ありがとうミュージアムさん。
 こちらを立てればあちらがヘナヘナ。難しいもんだ。
 「この作品は要するに何を書きたいのか判った上で書けばそんな混乱は生じない。優れた作品は一見複雑に見えてもある方向から見れば首尾一貫しており、きわめて単純だ。欲張って、要素同士を喧嘩させてしまった時点で失敗」
 という痛い意見がある。
 うん。それはそうかも。
 CHAINについては、「プレアは少女である必要があるのか?」という指摘もあるのだ。
 「恋愛の話ではないというのなら、主人公の連れが同年輩の異性である必要はそもそもない。少年でも良い。子供でもいい。それをあえて少女としたのは、異種恋愛という別のテーマを混ぜようとしているのか、それとも『女は守られるべき物』という古い考えが作者の中にあるのか、どちらかだ」
 ……これを言われたときには打ちのめされた。
 プロの作家はそこまで考えてキャラを配置するのか? ああ、考えてるんだろうな。
 変える気はないけど、「少女でなければ成立し得ない話なのか?」と言われると「そんなことはない」し、「少女にすることでテーマがぼやけてないか?」と問われた場合、思い当たる節がないでもない。
 ううーん。 
 5月6日
 CHAINを直した。
 プロローグ、第6章を直し、第7章をあらたに作った。エピローグもぜんぜん変わった。
 みんなからもらったすべての意見を採用できた、すべての問題点を解決できたとは言わないけど、現時点では全力を尽くした。
 
 うん。
 満足だ。
 もう寝ます。
 といいつつ明日になったらまた「きにいらねー!」とか叫んだりしてな。
 5月5日
 こどもの日ー。
 といっても、それらしいことをしたわけではない。
 子供の頃もやらなかった気がする。
 私にとって今日は、あくまで「柏餅を食べる日」である。
 もちろん正月は雑煮と汁粉を食べる日、クリスマスはケーキを食べる日である。
 ……こんなだから太るんだ。
 まあとにかく、田舎にかえってきた。
 おお麗しきわが故郷、静岡よ。
 なんか異常に暑いぞ今日は。もともと静岡は東京より明らかに暖かいがそれにしても。
 ああ、今日はどこも暑いのか。うう、一気に夏だ。
 祖父母の家で、いろいろ興味深い昔話を聞く。
 人は真剣に語りかけることによって、心の破片のようなモノを他人の心に残すことが出来る。
 それは慈愛であったり期待であったり約束であったり。
 それが魂であると私は思う。
 そういう意味では人間は不死だ。
 そんなことを強く思った。
  
 小説を書くのも、自分の魂の破片をばらまきたいということなのかもしれない。
 死んだ後も自分の魂を残したいという考えがあるのかもしれない。
 昨日から今日にかけてそんなことを考えている。
 この気分、小説に反映させなきゃ。

 静岡駅前にDOS/Vパラダイスを発見した。おやおやこんなところにも。
 そういやうちのパソはまだ時計が狂いまくる。電源切ってる間時計が進まない。
 帰ってきて、修正しようとしたが、どうも電池を交換すれば直るという問題ではないらしい。まえにも一度やったのだ。
 おまけに音が一切出なくなった。サウンドボードが認識されてない……挿し直してもダメだ。
 ドライバかな。どこにあるんだろう……ぜんぜん見つからない。
 ああ、もう踏んだり蹴ったり。
 なんて事をやってるうちに真夜中になってしまった。
 やっぱりパソコンより小説を先にかたづけるべきだった。 
 まあいい。ひとまずお手上げ。
 それより小説を直そう。
 CHAINをすこしでもましなものにする。
 それが全てに優先する。
 明日は書いて書いて書きまくるぞ。
 5月4日
 今日は芝居を見てきた。
 塩沢兼人追悼公演「雨に似ている」。
 主演は緒方恵美。
 基本的には一人芝居だ。主人公二人をはじめ、主要キャラは緒方恵美が一人で演じる。
 他の役者さんは声だけ。
 録音という形で、塩沢兼人さんも出演する。
 ……塩沢さんが亡くなってからもう2年か。
 
 「緒方恵美って本当に凄いなあ」見ているうちにそう思った。
 どのキャラも本当に違う性格を持っているように感じられる。ほんの一瞬であれだけ切り替えられるなんてなあ。
 アニメを見ているときもラジオを聴いてるときも凄いと思ったが、身体全体を使っての演技にはより圧倒される。
 ユーモアを入れることも忘れない。
 ああ、ラジオで汁がどうしたとか言ってるのもたしかに緒方さんで、線引きはできないものなんだ。全て一体になっているからこそ人を感動させるんだ。そう実感した。
 そして。
 「どうしてこの芝居なのか。どうしてこの物語が、追悼公演の題材として選ばれたのか」ということが理解できた。
 そうだ。
 とてもシンプルで、とてもありふれた、だがけっして嘘ではない答。
 本当は誰だって判っているはずだ。

 本も読んだので、その感想も。
 古処誠二「少年たちの密室」講談社ノベルズ。
 帯にこんな事が書いてある。
 
「下手くそな推理小説にうんざりしている人に。」
 な、な、なんと挑発的なー!
 このまで言われれば読みたくなるさ。
 で、読んだ結果。
 うわ。ミステリとして上手いというのも本当だけど、これは……
 絶望すべきなのか、一抹の希望を感じるべきなのか。
 10年前、学生だった頃にこの本を読みたかった。
  
 水城正太郎「東京タブロイド5 天空抱く賢者の楽園」富士見ミステリ文庫。
 うん、いつもの東京タブロイドだ。
 ミステリとよぶのは無理があるけど、とにかくキャラが生き生きしてて楽しく読める。一瞬たりとも飽きさせない、まさにサービス精神の塊。
 心に何かが強く残ったりはしないけど、これはこれで偉大な事だ。

 さて、充電した。
 CHAINを直すぞー!
 6日までにできればいいんだが。
 いや。やってやる。
 5月1日
 CHAINが終わった。
 しかし、それから一日経った今読み返すと、いろいろ問題が出てきた。
 ううっ。乗って書いていたからこその大問題。
 直したい直したい。
 書くべきものが抜けてる。
 いらない文が書いてある。
  
 でも他にも書きたい話がたくさんあるんだ。
 脳の回路を180度切り替えて「松戸才子まーち」も書きたい。
 もう10ヶ月ほっといてるもんな。
 
 夢伐戦記なんか1999年に投げ出したきりだ。
 宿題たっぷり。どうしましょ。
 でも。
 こういう事で悩めるのって幸せなことだなあ。

 さて。本の感想いきまーす。
 
 榊一郎「ストレイトジャケット4 オモイデのカナタ」富士見ファンタジア文庫
 うん。
 かっこいい奴が出てきて格好良く振る舞い、格好良く決断する。
 このシリーズは榊一郎の一番良い面が出てる。
 少なくとも主人公は説教電波を受信しないし。
 主人公のレイオットは悪人の振りをしている。
 名誉をあえて退け、わざわざ危険に飛び込んでいく。
 それは贖罪が目的であると、最初から明かされていた。
 しかしその動機に真実味が今ひとつ感じられなかったのは事実だ。
 でも。
 今回とその前を呼んで、レイオット像がずいぶん変わった。
 「心を閉ざしていた男が、ヒロインとの出会いによって癒され、前向きに生きるようになる」というのはよく見かける話だが、それに説得力を持たせるのは難しい。「この程度で生き方を変えられるなら、とっくに変わってなきゃおかしい」ってな具合になってしまう事が良くある。
 っていうか私のもそうかも。
 で、ストレイトジャケットも「ヒロインの言葉一つで、あれだけ厭世的だった主人公が生きる力を取り戻すなんてなあ。それはつまり彼の絶望はその程度だったってことか?」という違和感を漂わせていた。
 が、この巻を読んだ以上、そうはおもわない。
 レイオットは、本当は凄く前向きで、優しくて、良い奴だ。前からそうだったんだ。
 「そうであってはならない」と自分に言い聞かせてるだけだ。呪詛のように。
 納得納得。絶望が軽かったんじゃない。彼は私が思っていたより強かったのだ。
 でもねー。
 榊一郎、人間の暗黒面というか「嫉妬」「差別意識」「独占欲」を暴き立てるのが好きでさ。
 今回の話ではとにかくその辺が炸裂してて。
 闇の中でこそ輝く、という事なんだとは思うけど。
 でも力はいってたよなー。ちょっと怖くなった。作者自身がそっちに引きずられてる感じ。
 そして最後に。
 へべれけネリン爆萌えー。(お約束)
 
 サンデーの新連載「一番湯のカナタ」は……傑作の予感。
 「宇宙人押し掛けモノ」という伝統あるジャンルに新たな一ページを開いてくれるだろう。
 特に、「王族だから、外交上失言がないよう、語尾に『カナ』をつけるようにしつけられた」というのはすごく出来のいいブラックジョークだ。
 よし、日本の政治家もぜんぶそれだ!

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