2003年11月

11月29日
 今日は友人と会って、喫茶店で話した。
 あっという間に4時間経った。

 ペンネームC「『導きの星4』どうでしたー?」
 友人「面白かったですよー! ここまで飛ばしちゃって大丈夫なのかって感じです」
 ペンネームC「1巻を読んだ時点ではこんなことになるなんて想像もしてなかったし、3巻をもとにいろいろ考えましたが予想を超えてた展開で、満足です」
 友人「セントールが興味深かったですねー」
 ペンネームC「あれはリアルな異星人ですよね」
 
 友人「『まーち』送ったんですか?」
 ペンネームC「送りました。やっぱりプロの意見はひと味違うから大期待です。ただねー。電撃バージョンとは後半全然違うから、あれを喜んでくれた人は逃しちゃってるかな」
 友人「前のバージョンは、つじつまあってないけど勢いがありましたよね。でも私、才子ってすごく愛されて育った子だなって思うんです。愛情一杯注がれて育ったからああいう子になったんです。封印云々の過去があったとすると、ああいう性格にはならない。そこが少し変かなーって」
 ペンネームC「なるほど。鋭いです。それは書いてるときに自覚できなかったことです。実際、多久沢も含めてあの連中けっこう良い奴なんですよねー。普段はバカでスケベで優柔不断だけど、いざという時は頑張る……という多久沢は、いまにして思うとわりと王道の少年主人公なんですな……」
 友人「多久沢くんはオタクであることに引け目を感じつつ抜けられないから面白いんですよー。人間的ですよねー」
 ペンネームC「しかしですな。まーちは、超えることの出来なかった壁があるんですよ。
 あれって多久沢をはじめとするオタクたちの痛さを描くのに、ガンダムがどうしたとか、勇者シリーズがどうしたとか実名を出してます。どうしても実名がないとおもしろさが出せないと思ったんです。まあソノラマは実名出してオッケーみたいだし。
 ところがこういう本がありましてね……最近出た『英語の参考書』です」
 友人「『もえたん』? こ、これは……!!」
 ペンネームC「実名出してない、ほのめかしてるだけなのに、何の作品のこと言ってるのかわかって、笑えるでしょ? オタク生態の痛さもよく描けている」
 友人「すごいですねこれー!! これはかなり詳しくないと書けませんよ! しかもいろいろな年代に対応してるじゃないですかー!」
 ペンネームC「そう。実名を一切出さなくてもオタクネタで笑いを取ることは可能であるという実例です。敗北感を覚えましたよ」
 友人「この124ページってエッチなんですけど」
 ペンネームC「寸止めエッチですよね(笑)。とくにこの表情がヤバイ」
 
 友人「ところで北海道の話というのは……」
 ペンネームC「幕末に榎本武揚っという人が北海道に国を作ったので、あれがちゃんとつぶれずに国として発展したら、という話にするつもりです。榎本がどこまで本気で独立国家をめざしていたのかは諸説ありますが、ぼくは本気で国家を作ろうとしていたという説を採用します。
 ただ問題がありましてね。
 『戦争もの』として書くのか、『幕末もの』として書くのか。
 戦争ものを好きな読者がもとめているのは、あくまで第二次大戦の、戦闘機や軍艦を用いた戦いです。幕末にも蝦夷共和国にも興味を持っていない。
 いっぽう幕末ものを読みたがっている女の人たちは、たしかに蝦夷共和国に興味を持っているんだけど、あくまで幕末の人物たちが繰り広げる人間ドラマを読みたがっている。
 これは両立できそうにない。
 史実を調べると蝦夷共和国には興味深い人物がいろいろいたし、どうやって国を発展させるかアイヌとどう融和するかとか困難はいろいろあるので、後者でいこうかなと考えを変えつつあります」
 友人「アイヌの文化はのこしてほしいですねー」
 ペンネームC「おそらく史実よりは残るでしょう。たとえばアイヌは顔面に入れ墨をする風習があったそうですが、実は蝦夷共和国の兵士にも入れ墨した人が大勢いたんです。幕府の陸軍というのはサムライではなく肉体労働者のあつまりで、いわゆるヤクザも大勢いたんですな。そっちほうがサムライより西洋式訓練を受け入れやすかった。まあとにかく兵隊が入れ墨を当然と思っているならアイヌの入れ墨文化と融合して発展するかなーと」
 友人「幕府軍ってサムライじゃなかったんですか?」
 ペンネームC「サムライという言葉の定義にもよりますが、数の上では多くありませんでした。一方、薩摩長州の軍は士族が多くて、銃で戦ってるうちは幕府の方が強かったけど斬り合いになったら負けてしまったというエピソードがあります。この幕府陸軍をひきいていたのが大鳥圭介という医者の息子で……(以下略)」
 友人「面白そうですねー!! すごく人間臭い人なんですね」
 ペンネームC「描き方によってはかなり魅力的にできるかなと」

 友人「こないだ『マガジン』でやってた劣化ウラン弾の漫画ですけど、署名活動とかやってると『あの漫画で劣化ウラン弾を知った』という人が大勢いるんですよ」
 ペンネームC「だって300万部雑誌ですから。新聞と同じかそれ以上の部数がある。マガジンってのは、劣化ウラン弾の悲劇を訴える反戦漫画を載せたかと思えば、黒いニーソックスでバナナの皮をむく漫画も載せる。なんかすごい雑誌です(笑)」
 友人「なんでそういう方向に話を持って行きたがるんですかー(笑)」

 気分をリフレッシュできました、ありがとう某友人。
 
 朝霧さんのサイト「yamiyo.com」(yamiyo.info)へのリンクを復活させました。
 書評系サイトに分類しておきました。
11月27日
 バイクが直った。
 代車として借りていたCB400スーパーフォアも良いバイクだが、やはり少し重い。VTR250のほうがいい。
 高速を長距離飛ばすにはCB400のほうがずっと楽だと思うが。
 CB400は振動がとても少ない。スロットルを開けたらスルスルと滑らかに走り出す感じ。まさしくモーターのようだ。まっすぐ走る分には良いが、曲がろうとすると鈍重さを感じる。
 VTRはスロットルを開けると股間の下から震えが来て、断続的に加速する。ヒラリヒラリとよく曲がる。
 巡行マシンとハンドリングマシンっていうことだね……

 まーちを印刷して、ソノラマに送った。
 わくわく。
 さあ次の原稿だ。当分持ち込みに専念しようと思う。
 よほどソノラマ向けでない小説が出来上がってしまった場合はまた別だが。
 
 一区切りがついたのはよいことだ。
 しかし、悪いこともあった。PHSを紛失してしまった!
 たった一日電話がなくなるだけで困る困る。公衆電話を探すまでにかかる5分が、バイク便にとってはとても重大な損失なのだ。
 
 小川一水「導きの星4」角川春樹事務所 
 を買った。3巻はとてもSF的に話が膨らんだのでとても楽しみ。どうやって風呂敷を畳む気だろう。
 まださわりを読んだだけ。ちゃんと読んでから気合い入れて感想書きます。

 「萌える英単語 もえたん」を買った。
 萌えでロリーな魔法少女(彼女は17歳です! 半分くらいの年齢に見えますが……)と一緒に英語を勉強するというコンセプトの「参考書」だ。あまりの突き抜けぶりに感動すらおぼえる。
 イラストが凶悪にかわいい。
 ここまでプニプニしてるのはかなり人を選ぶ絵柄だ。
 そして内容は、このイラスト見て興味を示す人向けに特化している。
  
 例文「赤い機体は、普通の機体の3倍の性能だ。」
 例文「居候の天使に前触れもなく撲殺されるので、彼はおびえていた。」
 例文「そのモンスターはもの凄い勢いでピカピカと光り輝き、テレビの前のちびっ子たちはバッタバッタと倒れていった。」
 例文「妹が12人もいるなんてありえません。」
 
 さらに笑えるのがオタクの生態を描いた部分だ。

 例文「聖地巡礼の列が、秋葉原へ向かう。」
 例文「僕の人生を変えた作品が、青少年に有害なものとみなされてしまった。」
 例文「アニメの名ゼリフを会話にまぜるのを禁止されたら、何も喋れない。」
 例文「彼の部屋は、彼らしさで溢れているために、異性の友人を招けない。」
 例文「妹に会いたがる友人を、全身全霊をもって阻止した。」
 例文「一応、現実の女性がどんなものかは知っています。」

 
 痛い痛すぎる。この痛さが実にたまらん。
 
 読み終えると清々しい気分になった。
 読者をしぼってサービスするということはつまりこれか。感嘆した。
 あっぱれ。だが、くやしい。
 こんな強力なライバルが!

 英語に興味がわいてくるという予想外の(本来のだよ!)効果もありました。
11月23日
 今日は喫茶店にこもり、紅茶を飲みながら「まーち」を推敲していた。
 だいたい終わった。

 バイクが使えなくなって困るのはなんといっても風呂だ。
 自慢じゃないがぼくの家には風呂がない。もう10年も風呂なしのアパートに一人暮らしだ。
 銭湯通いは楽しいからいいのだが……ぼくの家から歩いて行ける範囲に銭湯はない!
 電車でいけってか!? 以前免停くらったときは本当にそうしていた。あんなこともうやりたくない。
 最近お気に入りのスーパー銭湯は500円で風呂とサウナ入り放題というグレートなところだが、そこも3キロほど離れている。
 結局、30分歩いて温泉に行った。
 少し値段が高いからあまり行きたくなかったのだ。
 しかし、まあ、普通の風呂より疲れがとれた気がする。
11月22日
 バイクの後輪を支えているベアリングが割れた……この状態ではまともに走ることもむずかしい。
 仕方なく修理に出した。一万円ほどかかる。代車も用意する必要がある。
 ふう、ついてない。
 現在、バイクの走行距離は6万キロ。
 わずか10か月前に買った時は1500キロの新品同様だった。
 月に6000キロ走ってることになるな。これは去年やおととしより多いはずだ。これだけ酷使すれば壊れもするか。
 問題は、ローンがあと1年くらい残ってることである。
 計算上、1年後にはこのバイクの走行距離は13万キロに達してるはず。これは一般的なバイクの寿命を超えている。
 たいがいのバイクは10万キロ走ると、まるで老いたかのように故障が頻発するのだ。
 堅牢で知られるホンダ車、それもVTシリーズだからきっともつはずだ、そう信じたい。
 
 今日読んだ本。

 山本弘「神は沈黙せず」角川書店

 異様な本だ。
 タイトルが「神うんぬん」。そして帯には「UFOも怪奇現象も超能力もすべて神からのメッセージだった!」とか書いてある。
 オカルト、というか新興宗教本みたいだ。
 そういう本だと思わせて、驚かせる、というのが目的だとしたら意地が悪い。
 で、内容。
 山本弘は、とことん山本弘。
 山本弘がどんな作家だか知っている人はこの本に強い既視感をおぼえると思う。
 「絶対存在」と「ちっぱけな人間」の対比が描かれる。流されてしまう弱い心が描かれる。誰もがもっている暗い衝動の恐ろしさが描かれる。だがしかし最後には、人間への、人の自由意志の素晴らしさが高らかにうたわれる。
 そしてもちろん、膨大な量の引用。科学的事実を結び付けてSF的奇想を練り上げる力強い手法。
 これは彼がデビュー以来繰り返し書いてきた物語だ。
 ただ、今度の彼は、それをずいぶんストレートに表現している。
 他の作者と世界を共有して書く必要がなかったからか。窮屈さが感じられない。
 僕はSF作家だ、という叫びが伝わってきた。
 熱くて黒い情熱のほとばしりが感じられた。
 と学会での活動も存分に生かされてる。っていうか、この本のために活動していたのかと錯覚してしまうほどだ。
 山本弘ファンには文句なしにおすすめ。「世界が変わって見える瞬間」が欲しい人にもおすすめ。
 なんどでも語ることのできる物語があるってのは幸せだな……読み終わってそんなことを思った。
11月21日 

 不定期連載ペンC劇場

 登場人物紹介

 ペンC キモいデブオタ。自称小説家。

 ごんちゃん 小学生の男の子。ペンCより偉い。

 ごんちゃん「ペンCおにいちゃん、戦争ごっこしよー」
 ペンC「戦争ごっこか。では想定状況を説明する。
 君は赤軍のT34/76だ。
 車体には歩兵がたくさんぶら下がっているので落とさないように気をつけろ。
 あのテーブルがドイツ軍のPAKフロントだ。連中の対戦車砲は強力だ、車体をすこし斜めにするといいぞ。
 あと4号戦車の存在も確認されているが、短砲身の奴だからT34のほうが総合的に高性能だ。
 PAKフロントと4号を撃破しろ」
 ごんちゃん「お兄ちゃんは何をするの?」
 ペンC「ぼくの役はNKVDの督戦隊だ。『同志諸君、前進だ』とか言って味方を後ろから撃つんだ」
 ごんちゃん「よくわかんなーい」
 ペンC「リアルなソ連軍だぞ。状況開始!」
 ごんちゃん「ずぎゅーんずぎゅーん、ごごごごー」
 ペンC「なんだその擬音は! こうでなきゃダメだ!
 『ZIP! ZIP!』『BAKOM! BAGOM!』『クソッ、魔女の婆さんの呪いか』はい復唱!」
 ごんちゃん「じっぷじっぷ! ばごんばごん!」
 ペンC「君いまその場で回っただろ! T34は超信地旋回ができないはずだ! 今のはなし!」
 ごんちゃん「つまんないよー!」
 ペンC「このリアリズムがわからんのか!?」
 ごんちゃん「わかんなーい!」

 ペンCの架空戦記はこのぶんだとウザくなりそうです。
11月16日
 「天才! 松戸才子まーち 第5.3話 魔法少女アステルパーム襲来!」がやっと完成した。
 これでソノラマに持ち込むバージョンの「まーち」は全部出来上がったことになる。
 たった150枚書くのに3か月もかかってるよ。この倍の早さが欲しい。
 9月なんてOFF会とテーブルトークRPGばっかりやってて、ろくに書いてないし。
 やれやれ。

 意見くれた方、参考になりました、ありがとうございます。
 応援してくれた方、励みになりました、ありがとうございます。
 ネットには載せませんが、メールをいただければお送りいたします。

 今回は最後までオタクいじりのギャグで通してみた。
 電撃バージョンの後半が好きな人もいるし、ボーイミーツガールはエンターテイメントの王道だから入れなきゃダメだって思ってたのだが、どうも両立しづらくて、今回のバージョンではその色は薄い。
 ソノラマ文庫向けのカスタムもあちこち行った。
 吉岡平が書いてるものを見る限り、ソノラマではアニメやゲームの実名を出しても問題ないらしい。朗報だ。
 しかし。

 オタク自虐系のギャグって、漫画ではたくさんあるよな。

 妄想戦士ヤマモト(祝! 連載再開!)
 全日本妹選手権
 爆濃おたく大統領
 ラブやん
 
 「かってに改蔵」もけっこうそれに近い。100万部雑誌でよくあんなことやるよな。

 でも小説ではみかけないよなあ。
 純然たるギャグではないけど、該当するのは葛西伸哉さんの「アニレオン!」かな。
 だから、あれをハードルと考えて書いた。
 比較されるのはわかりきっている。作品を構成するパーツがあまりにも共通しているのだ。 

 需要があるのに書く人が少ないってのはきっと何か理由があるはず。しかしわからん。
 わからんので、「大丈夫、これはウケる」と信じて書ききった。
 この持ち込みの結果でなにかわかるかも。

 気付かないうちにサイトが3周年を迎えていた。
 短い3年だったな。しかし密度の濃い3年だった。
11月13日
 妙に遅いお祝いを。
 
  架空戦記コンベンション「IFCON3」にて、三木原慧一さんが二つも賞を獲った!
 おめでとう三木原さん、一人のファンとしてそう言わせて下さい。
 好きな作家が高く評価される。嬉しいことだ。
 
 三木原慧一は、かなり大きく歴史を変えるタイプの作家だ。

 この世界では徳川幕府の面々が日本を脱出して、もう一つの日本を作ってます。
 この世界では日本は第一次大戦に深入りしてドイツの恨みを買ってます。かわりに地中海の領地をもらいました。
 この世界では、ロシアではなくアメリカで社会主義革命が起こってます。
 などなど。

 しかし、その結果発生した世界は我々にもなじめるものだ。
 我々の世界を構成するパーツ、たとえば軍人、たとえば兵器、たとえば政治家といったものはちゃんとその作品世界にも存在し、ただ役割を変え、あるいは場所が入れ替わっているだけだから。
 それによって読者は世界変容の快感を副作用なしで味わうことができる。ある人物を別の角度から味わう、という楽しみもある。
 三木原慧一は魅力的な謎をちりばめて読者をひっぱり、ハッタリ寸前キザ寸前の「言い切り」で気分を盛り上げ、「戦争という巨大な渦に飲み込まれ、それでも人間であり続けようとする人たち」のかっこよさを高らかにうたい上げる。彼等はみな矛盾しており、嫉妬や猜疑で争うこともある存在であり、失敗し、助平で、けれどいざという時には前を向いて一歩踏み出せる、愛すべき、生身の人間だ。
 兵器描写・戦術描写もきわめて細かい。けれどそれを抜きにしても、純粋に小説として十分に面白い。
 こう言い切れる架空戦記はそんなに多くない。
 匠の技がここにあるのだろう、これがエンターテイナーだ、サービス業としての小説家だ、そう思ってぼくは頭を下げる他ない。
 バランスを無視してパロディや時事ネタを入れまくっていた時期もあったけれど、いまはその欠点も是正された。
 いま入っているパロディは厳選された、ちゃんと生かされているものばかり。
 架空戦記って何が面白いの? と言われた時に、この人の本なら迷いなくおすすめできる。
 
 今日は「まーち」の新しいネタについて考えていた。
 二つ思い付いた。やっと「まーち」を書くための回路が活性化してくれた。まったくもう、遅いよ。おそすぎるよ!

 蝦夷共和国の話について。
 幕末系サイトを巡った。
 蝦夷共和国の連中に興味を持ってる人たちは大勢いるらしい。
 需要は間違いなくある。ひょっとして新選組に匹敵する大鉱脈かもしれない。
 そこまではいいのだが……
 興味をもってる人たちは別に架空戦記を読みたがってるわけじゃないんだよね。
 ここをどうすり合せるか、というのがまずは第一関門だ。
11月11日
 今日、雨の中をヒーヒー言いながら走ってた。
 すると、パチンと頭の中で何かが弾けた!
 「まーち5.3話 魔法少女アステルパーム襲来!」をどうやって終わらせれば良いのかやっと判った。
 もう2週間くらいずっと思い付かなくて、書いては消して書いては消して、困っていたのだ。
 だが、これで書ける。あとは頭の中にある通り書くだけ。
 さっそく2枚書いた。うむ、良い感じだ。
 これなら間違いなく次の土日にできあがります。遅れてごめんなさいソノラマの方。
 教訓。
 ある話の展開が思い付かなくて困ったら、全く違う話について考えましょう。
 するとひらめきます。
 まーちはギャグだけど、これでつかんだかけあいの面白さは他の話にも生かせそうだね。
 銀英伝にも笑いはある。笑いは心の壁をとかして感動を高めてくれる。より届きやすくなる。
 ぼく自身、「おかしくて、やがて悲しき」が好きだからね。
 このへんに鍵がありそうだな。

 最近読んだ本。

 陰山琢磨「零戦の勇士 新たなる大戦」ワニマガジン
 内容は、このタイトルとはかけ離れている。
 ロケット技術が急速に発達したもう一つの世界。
 第二次大戦はヨーロッパだけで終わってしまい、日本・ナチスドイツ・ソ連・アメリカはロケット開発競争に突入。
 この物語は、戦闘機パイロット・坂井三郎が宇宙飛行士になっていく物語だ。 
 ロケット飛行機で満州の遥か上空を駆ける。超高速が難問を生む。それを乗りこえていく技術者たち。
 技術者の決意。パイロットの決意。絆。
 そして、もっと高く、もっと遠く、もっと速く、という憧れ。
 そういった物を描いた作品だ。
 もちろん戦闘シーンもあるが、話の中心は、あくまでもっと高く、だ。
 読み終わった時、ぼくはロケット機が大気をつんざいて降下してくる姿をはっきりと幻視した。
 架空戦記の可能性を広げてくれた作品。
 坂井三郎さんは生前、「私は生まれ変わったら宇宙飛行士になりたい。青い地球を見てみたい」と言っていた。
 その事実を知った上で読むと感慨もひとしおだ。
11月10日
 最近の「武装錬金」はギャグがブラボーかつ蝶サイコーだよなー!
 和月さんにあそこまでのボケ能力があるとは思ってもみなかった。
 売れっ子がさらに化けるとは恐ろしい。

 このところずっと、ペンCスレを読みながら悩んでいた。
 今日ふっきれた。
 どんな生き方をしても、
 何をしても、何をしなくても、
 誰の言うことに従っても、従わなくても、
 かならず誰かが非難する。罵倒する。
 それをなくすことはできない。
 だったら、非難や罵倒など気にせず、好きなことをしよう。そう決めた。
 非難されないためにはどうすれば、などとは二度と考えない。
 決めた瞬間、心がすっと軽くなった。
 なあんだ、と思った。
 さいわい、ぼくは軍隊を率いているわけでもなく、子供がいるわけでもない。
 ぼくが失敗しても誰も死なない。気楽なものだ。
 小説の文章がスラスラわいて来た。
 まーちを数枚書いた。
 蝦夷共和国物の1シーンを書いた。
 久々にぐっすり眠れそうだ。
11月9日
 選挙に行って来た。
 おお、なんか大行列が出来てるぞ、素晴らしい。
 と思ったのだが、ニュースによると別に投票率は高くないそうだ。

 ソノラマ持ち込み版「まーち」を書いていた。
 10枚ほど書けた。
 まだ頭の中のアホアホ回路が目覚めない。もう一おし必要だ。

 気分転換と称して幕末系ファンサイトをさまよっていた。
 やはり歴史のなかでも三国志と幕末はなにかファン層がちがう……
 副長受けてますとかなんとか、謎の言葉がチラホラと(笑)
 しかし、楽しそうな空気が伝わってくる。
 なにかを好きになるのは素敵なことなんだなと実感できる。

 幕末の軍隊は「なんとか隊」って固有の隊名がいろいろあって面白いな。
 「歩兵隊」「遊撃隊」「狙撃隊」というのが、隊の種類ではなく名前だというのには面食らった。
 しかし、「玉砕組」「正気隊」「飛行隊」「煙山隊」とかいうのは何を考えてつけた名前なのか。
 一つの計画にもとずいて整備された軍ではなく、規模も性格も武装も構成メンバーの質もバラバラの部隊がたくさん……というのは、軍事的に見るとすごく非効率的なんだけど、ドラマ性と手作り感覚を感じさせる。
 あとね、地名がやたら身近なのも面白いかな。
 榎本は御徒町で生まれたとか、神田小川町に幕府の歩兵隊がいたとか、勝沼で戦闘があったとか……うわあそこ知ってるよ行ったことあるよ、ってな場所がたくさん出てくる。

 「武揚伝」を書いた佐々木譲さんのサイトを読んでいたら、榎本への熱いエールが。
 多くの本によると、榎本は本気で日本から独立する気ではなかったようだ。
 しかし佐々木譲は「いや、本気だ」と断言する。自信満々、圧倒された。
 真実を知る手段はないが、一片の真実を膨らませて物語にしても良い。それをぼくは確信した。
11月8日 
 さて、11月3日の考証ミスはどこにあるのかと申しますと。
 はっきりしてるのはここです。

 荒井提督の号令一下、「開陽丸」から白兵装備の斬り込み隊百六十名が乗り移ってくる。青い制服のフランス軍人たちが、灰色の軍服をまとった共和国軍人が、日本刀やピストルを手になだれ込んでくる。先頭に立つのは元新選組副長にして蝦夷共和国陸軍の前線指揮官、土方歳三。

 この、灰色の軍服をまとった共和国軍人が、というところがミスです。
 この書き方だと蝦夷共和国の軍人は全員灰色の軍服着てるみたいですが、そんなことはありません。
 蝦夷共和国海軍は幕府海軍です。その水兵は灰色の水兵服を着ていた、のだそうです。
 しかし士官は紺色の服です。
 斬り込み戦は陸軍部隊も参加していたに決まってます。
 共和国の陸軍は、幕府伝習隊(青い上下)、額兵隊(赤と黒のリバーシブル制服)などいろいろな隊がまざってます。だからもっとカラフルなはずです。そして黒コートの土方が彼等を統率するのですな。
 
 ほかにも、
 
 甲鉄はすごく甲板が低いようだ。開陽丸の舷側砲と同じくらいか、もっと低いところに甲板があるんじゃないか?
 という疑問もあります。
 仮に甲板の方が低いとすれば、

 「開陽丸」舷側のクルップ砲が十数門、黒煙を噴いてうなりを上げる。だが接舷状態から放たれたクルップ砲にさえも、「甲鉄」の舷側装甲百ミリは耐え抜いた。
 
 舷側には当たらないので、このようにはなりません。甲板より上を弾がビュンビュン飛ぶだけです。
 まあ、この件についてはもう少し調べます。
 図面が手に入れば一番良いんですが、写真から位置を類推するしかないですね。
 ちょうど水平射撃で甲板上を薙ぎ払うことができるかなー。できそうなんだがー。
 それから舷側装甲は場所によって厚みが違うので、百ミリと書いてしまうのもミスですね。

 あ、それから東郷平八郎(当時21歳)が榎本艦隊と戦ったのは史実です。

 今日は、図書館とネットで調べ物をしていた。
 共和国のもとに集った人たちの新しい面がわかって、楽しかった。
 幕末ファンのなかには、蝦夷共和国に興味を持っている人たちもたくさんいることが判った。
 決して土方ファンしかいないわけじゃなくて、榎本ファンも、大鳥ファンも荒井ファンもいる。
 
 この人たちはカッコイイよな、ますますそう思った。
 
 彼等の夢がめざす未来をぼくは見たい。
 だから書くのだ。それでいいじゃないか。
 微妙に架空戦記じゃなくなってきた気がするが。
 なにが1941なのかわからなくなったのでタイトルも変えます。

 問「いま新選組ブームなんだから、あくまで幕末の土方を書いた方がいいのでは?」

 うーん、いまからブームを追いかけても間に合いませんよ。
 だって今から書いて、来年の夏にでも応募して、それが受賞して本になるのはさらに一年以上先ですよ。つまり2年後です。
 その時流行っているのはきっと別の物です。
 ぼくなりの新しい、別の面白さがないと、たぶん読んでもらえないと思うし……とにかくたくさんありますからね新選組の小説は。

 いま悩んでいるのが、蝦夷共和国の国旗についてだ。
 史実では、なんと日章旗だ。
 これは幕府が使っていた旗でもある。
 しかし、この作品中の榎本は、明確に「幕府でも薩長でもない、日本とは違う国」を作ろうとしている。日章旗ではまずい。
 なんにしよう?
 北海道をかたどった菱形?
 それとも五稜郭だから星?
 うーむ……
11月6日
 考証ミスを見つけました。
 11月3日の日記に書いた「蝦夷共和国激震1941 第一話ダイジェスト」なるものには、考証ミスがあります。
 さあどこでしょう。

 で、この架空戦記の構想なんだが。
 第二次大戦だけを描くのではなく、章ごとに時代を変えるのがいいかもしれない。
 たとえばの話だけど、

 第1章「津軽海峡天気晴朗なれど波高し」 津軽海峡での開陽丸vs甲鉄。土方の奮戦。共和国の誕生。
 第2章「亜号雷撃隊 その一撃は未来のために」 日清戦争に共和国が参戦。いまだ差別され続けるアイヌの青年が、自分達の価値を示そうと決死の作戦を行う。
 第3章「誠戦闘隊蒼天にあり」 泥沼の欧州大戦(第一次世界大戦)に、蝦夷共和国義勇航空隊「誠」が派遣される。隊長は、土方歳三の孫・土方誠二。偉大すぎる祖父と常に比較され悩みながらも、彼は部下をまとめ欧州大戦を生き抜いてゆく。

 みたいな感じだ。
 理由は、そのほうが世界になじめるから。

 羅門祐人「覇王の軍」という架空戦記がある。
 もし織田信長が日本を統一していたら……という世界の第二次大戦を描いた世界だ。
 ……このシリーズ、すぐに読むのをやめてしまった。
 駄作だとはいわないけど、しかし世界の中にのめり込めない。
 なぜって、あまりに我々の世界の歴史と違いすぎるから。どこにも接点がない。
 何しろ信長から二次大戦まで350年くらいの歴史が全部違うのだ。二次大戦でお馴染みの軍人や政治家は誰一人でてこない。もちろん兵器も。日本とかアメリカという国は出てくるが、我々の知ってるのとは全然違う国だ。
 まったく異世界の戦争だった。
 ぼくの「蝦夷共和国が続いていたら、という世界の第二次大戦」も、同じ印象を与えてしまうかもしれない。
 まったく見たことも聞いたこともない人物や兵器がバンバン出て来て、「この人はこういう人なんですよ」とか書いてあっても、思い入れを持てないかもしれない。「ハア……」でおわるかもしれない。
 じゃあ、いきなり結果を見せるのではなく、世界が変わっていく過程を描こう。すこしずつずらしていこう。
 登場人物も、最初は榎本や土方とかで、世代交代させていこう。

 という考えです。
 これはこれで、「主人公がいない。特定の人物に感情移入して読めない」という問題があるけど……
 たぶん、「歴史が変わって行く快感、あれが好き。あれをやりたい」という本来の目的からすればこれが一番ぴったりだ。
11月3日
 今日は、佐々木譲「武揚伝」(中公文庫)を読みつつ、ソノラマ持ち込み版「まーち」を書いていた。
 10枚ほど書けた。

 あと、こないだから言ってる「蝦夷共和国もの架空戦記」をちょっとだけ書いてみた。
 
 「蝦夷共和国激震1941(仮題)」

 第一章「津軽海峡天気晴朗なれど波高し」超ダイジェスト版
 
 時に1869年5月。明治政府艦隊はその総力を挙げて、蝦夷共和国艦隊に決戦を挑んだ。

 最初に発砲を開始したのは共和国艦隊の旗艦「開陽丸」、距離は2500であったと伝えられている。
 「敵艦隊発砲!」「『甲鉄』の装甲を抜けるものか。このまま開陽丸に突進! バウラミング用意! 艦首300ポンド砲装填急げ!」
 「『甲鉄』突っ込んできます!」「開陽丸、回天、いずれの砲撃も弾かれてます!」「くそっ、徹甲弾が通じんか!」
 「面舵一杯! 横腹ではたけ!」
 「衝角艦に、逆にぶつけてきたというのか!」
 「開陽丸、右舷全砲門をもって砲撃! お前は夜明けの光だ! その力を見せてやれ!」
 「撃ち返せ! ゼロ距離砲撃戦だ!」
 「開陽丸」舷側のクルップ砲が十数門、黒煙を噴いてうなりを上げる。だが接舷状態から放たれたクルップ砲にさえも、「甲鉄」の舷側装甲百ミリは耐え抜いた。一方「甲鉄」のアームストロング砲は少数ながら絶大な威力を発揮、開陽丸を串刺しにする。一門また一門と「開陽丸」の砲は沈黙していく。
 「勝てる! このまま押しまくれ!」
 だがその時、「開陽丸」の砲弾が、「甲鉄」の甲板上に飛び込んだ。正確には、甲板上のある兵器……ガトリング砲に。ガトリング砲は直撃を受け、砲手もろとも四散。
 「アボルタージュ!(接舷斬り込み)」
 荒井提督の号令一下、「開陽丸」から白兵装備の斬り込み隊百六十名が乗り移ってくる。青い制服のフランス軍人たちが、灰色の軍服をまとった共和国軍人が、日本刀やピストルを手になだれ込んでくる。先頭に立つのは元新選組副長にして蝦夷共和国陸軍の前線指揮官、土方歳三。
 「機関逆進! 距離を取れ!」
 しかし、接近してきた共和国艦「回天」が、艦首を叩き付けるようにして「甲鉄」を押さえ込んだ。2隻で合計5500トンにおよぶ鉄塊を押しのける力は「甲鉄」の蒸気機関にもない。
 斬り込み隊はひどく強かった。明治政府艦隊第2の主力艦「春日」艦長は砲撃での支援を命じた。
 「しかし! 味方の艦です!」「かまわん! 撃ちまくれ! 薙ぎ払え! 霰玉を使え!」
 味方を巻き添えにした「春日」の砲撃が浴びせられ、吹き飛ばされる斬り込み隊。しかし幾多の屍をさらしながらも「甲鉄」の制圧に成功する。
 勝敗はすでに明らかだった。「春日」は残存する艦を率いて撤退を開始。戦闘開始からわずか四十分のことであった。
 その艦上では、若い一人の士官が、遠ざかってゆく共和国艦隊を見つめていた。
 彼の名は東郷平八郎という。彼は、日本がこの戦争を失ってしまったことを理解していた。海軍力を失った明治政府に、もう蝦夷攻略はできない。五年あればまた艦隊を再編できるが、おそらくその時間は与えられない。小さな蝦夷ガ島の、それも函館付近を実効支配しているにすぎない共和国に、人口3000万の日本が負けたのだ。
 ……これが海軍の威力か。
 彼は屈辱よりも先に、しびれるような戦慄と畏怖をおぼえていた。
 東郷の予測は正しかった。津軽海戦の結果を知るや、諸外国は共和国を正式な独立国家として承認。フランスとロシアは国交の樹立を求めて動き始めた。明治政府はこれ以上の戦争続行を断念、共和国との講和条約を締結した。フランス・ロシアを敵に回すことはできない。苦渋の決断であったろう。
 
 その後蝦夷共和国は、不凍港を欲しアジアに拠点を築きたいロシア、かねてから幕府を支援してきたフランスの全面的バックアップのもと、近代国家として成長していくこととなる。共和国総裁・榎本武揚は巧みな外交手腕で両国の間を泳ぎ、完全な属国化を防ぎつつ、日本帝国ともつかず離れずの関係を保ち続けた。他にも先住民族アイヌとの融和など、この国が成し遂げた奇跡は数多い。

 この物語は、そんな共和国が、たった74年間だけこの世に存在した奇妙な国が、最後に放った輝きについての物語である。


 ……第一章(序章かも?)はこんな感じですが、その後は第二次大戦を描くことになります。

 「アイヌの美少女は出ますか?」
 たぶん。

 「アイヌの文化はどの程度残っているのですか?」
 最初は制限されますが、その後復権されたりして、第二次大戦頃にはかなり一般的なものになってる気がします。

 「世界最高の技術力があるというのは無理があるのでは?」
 そうですね。だから他の手段で日本に対抗させます。だってさすがに人口が違い過ぎて、ちょっとねえ……

 「ナチスドイツより、ソ連と手を組んだ方が有利なのではないか?」
 同感です。ドイツ・ソ連・蝦夷の三国同盟なんかが良いんじゃないでしょうか。

 「『戦艦ナコルル』とか出ます?」
 ナコルルは巡洋戦艦がいいかな(笑)
 ゲームやアニメのネタをいれるのは架空戦記のお約束といってもいいのですが、たぶんそこまで露骨にはやらない予定です。
 でも、「地対空誘導噴進弾レラカムイ」とかってカッコイイですよね。
 
 「主人公はどんな人で、どんな話なんですか?」
 まだ漠然としか決めてないので詳しく書けません。 
11月1日
 今日は「まーち ソノラマ持ち込み版」を書いていた。あと30枚で完成!
 って、そんなにあるのかよ! 
 いや、吉岡平「コスプレ温泉」(ソノラマ文庫)読んでいろいろ考えたんだよ。
 うむ。ソノラマなら、主人公がいきなりZガンダムだの皆口裕子だの月姫だのと口走っても問題なさそうである。まーちに最適。
 それはいいのだが、オタク描写の突き抜け具合が負けてる。
 くやしい。だからあちこち書き直した。

 架空戦記の設定も練っていた。

 アイヌの扱いについてだけど……
 たぶん、同化政策は行われる。
 蝦夷共和国の元首である榎本武揚がどういう人なのか、何を意図して蝦夷共和国を作ったのか、それは諸説ある。
 「榎本は冷徹な科学者だった」「人情篤い江戸っ子だった」「建国の目的は理想国家を建設するため」「北海道の開拓自体が目的だった」「国家というのは交渉のための方便にすぎず、実際は日本と対等の恒久政権を作る気などなかった」(残念ながらこの意見には説得力がある)
 しかし何にせよ、「文化の純粋性」をそれほど尊ぶ人ではなかったようだ。
 だって平然と洋服着てるよ。それどころか日本屈指のヨーロッパ通。
 生き残るために外国から学んで何が悪い、いやちっとも悪くない素晴らしい、そういう考えであれば、アイヌに対しても同じ生き方を求めるんじゃないかなあ。
 仮にアイヌの文化を尊んだとしても、それ以上に国益を重視するだろう。
 みんなで同じ共和国人にならなければ滅びる。西洋列強のご機嫌をとることだって必要だ。そういう現実的要求があったとき、それでも「全民族平等だから文化を守る」とは思えない。
 だから、同化政策は行われる。
 ただ、史実ほどではないし、和人がわも強烈な影響を受ける。
 だから第二次大戦当時の蝦夷共和国は、

 国名は蝦夷共和国。(名前は変えた方がいいかもしれん。もともと良い意味じゃない)
 西欧の人権思想と、新撰組の持ち込んだ先鋭的な武士道と、アイヌの世界観が渾然一体となった独特の道徳観。
 軍艦の名前は大部分アイヌ語。世界最高の科学技術。「MADE IN EZO」は高性能の代名詞。
 長年ロシアと同盟を結び、その軍事力を背景に、貿易国家として発展してきた。
 しかしロシア革命後はその地位がおびやかされ国際的に孤立。
 ナチスドイツのSS長官ヒムラーが「アイヌは実は白人なのです! つまり蝦夷共和国こそアジアでもっともアーリア的な国家なのです! さあ同盟を結びましょう!」などと言い出し、いろいろあってナチスドイツと軍事同盟を結ぶことに。
 日本およびイギリスと戦争に。


 という風になる。予定。
 初期にロシアの侵略を食い止める方法はいくつか考えたが、まだ決定的なものはない。
 経済基盤については、士族の大量流入と鉱山でどうにかして、やがて貿易拠点として成長。
 あと、蝦夷共和国の存続によって、二つほど歴史に大きな影響が与えられる。

 1、日本帝国の大陸政策が大きく変わる。

 日清はわからないが、日露戦争は起こらない可能性が高い。
 ロシアは蝦夷共和国というパートナーを手に入れたことで目的を達し、朝鮮半島を欲しないから。
 これによって、日本帝国が中国大陸を欲することもなくなる。日中戦争も満州事変もない。
 あと、民族意識も変わるだろうね。
 
 2、艦隊決戦の威力が世界に示される。

 1869年、共和国艦隊が明治政府艦隊に洋上決戦を挑み、大勝利。これによって欧米は共和国を国家として正式に承認、明治政府は戌辰戦争の続行を断念。共和国は独立を達成した。
 ……だとすると「そうか! 艦隊決戦に勝てば戦争それ自体を引っくり返せるのか!」という思想が広まる。
 我々の世界よりずっと早く。
 列強は死にものぐるいで巨大戦艦を建造する。この世界の第二次大戦はすごいことになりそうだね。

 しかし、まだわからないことだらけ。何か月か、もっと勉強してから書きます。たのしみだなあ。

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