怪しい日記 西暦2004年12月
12月31日
 さて、今年ももう終わりです。
 今年はデビューという大きな節目がありました。
 みなさんの応援あってのことです。ありがとうございます。
 私はこれからバイク便のお仕事にいってきます。帰ってくるのは深夜です。
 なんか雪降るらしいですね。
 摩擦係数の神よ私に味方したまえ。
 ではみなさん、よいお年を。
12月28日
 こないだ友人に誘われて、神田にある「コスプレキャバクラ マ ジカルナイト」という店に行きました。
 
 私「キャバクラって行ったことないんですよねー」
 某「なにするところかは知ってるよな?」
 私「会話をするところ」
 某「嘘じゃないけど冷たい考えだねー。小説って紙切れでしょ? って言ってるのと同じ。もっとエモーションなもんがあ るわけですよ。エモーションエンジン。わかる?」
 わかりません。

 なんと2時間待ち。
 居酒屋で時間をつぶしてから行ってみると、店内のモニターには懐かしのアニメが映され、コスプレ姿の女の子が大勢いてにこやかに微笑んで……むう。異次 元。
 外見だけでなく中身もかなりオタ女子だそうです。
 サイトによると、「ジャンプ漫画が大好き」「初恋の人は月光」(男塾の!?)という人がいるそうな。
 隣に座った女性に、さっそくアニメ話や漫画話をふってみます。

 「その服は何のコスプレですか?」
 「どんな漫画が好きですか?」
 「ぼくはサンデーでやってる『ハヤテのごとく!』って漫画が気に入ってます。まだ始まったばかりですからはまるなら今のうちですよ。あれはすごい。『美 鳥の日々』を超える」
 「ジャンプ漫画だと武装錬金が好きですねー。夏コミにコスプレいましたよ。はいこれ、バタフライのコスプレ写真」
 
 などと漫画話をしているうちはよかったのですが、私の一番好きな話題、ライトノベルについて語ったらついてこれなくなってました。
 とても悲しい。
 仕方がないのでエル(実家で飼っている柴犬。メス、2歳)の写真を見せて受けを狙いました。
 やはり「きゃーかわいー!」と大人気。
 iBOOK大活躍。
 
 終電に間に合わなくなっちゃいましたが、楽しかったと思います。電撃文庫10冊分くらいの価値はあったかな。

 ところが、楽しいことの反作用としてつらい出来事が。
 たった2日後、25日の夜、バイクで走行中にリュックを落としてしまいました。おそらく首都高で。気がついたらなくなってました。梱包が弱かったので しょうか。
 リュックの中にはiBOOKが!
 ぎゃー!
 道路公団にも問い合わせたのですが見つからず。
 まあ発見されたところでパソコンが無事とは考えられません。
 私の馬鹿! ほんのわずかな油断で!
 さようなら、iBOOKのイブキちゃん……
 原稿のバックアップをとってあったのがせめてもの幸いでした。
12月25日
 みなさん、大変お待たせしました、クリスマス短編こと
 「7億8000万キロの約束」が 出来上がりました。
 なんか100枚くらいあって短編じゃない気もしますが。

 4時間ほどクリスマスに間に合わなかったことが恥ずかしいです。
 宇宙戦争ロマンとかそんな感じの話です。
 うちのサイトにきてくださるみなさんへのサービスと、それから宣伝のためのサンプルとして書きました。
 楽しんでいただけるとうれしいです。
12月18日
 電撃hp33号を買ってきました。
 
 お、電撃hp短編賞の一次選考結果が発表されてます。
 タイトルみてるだけでもわりと楽し……
 楽し……
 こんなタイトルの作品を送ってきた方がいるようです。
 
 「メガネ」今田主人

 この人とは友達になれそうな気がします。
 いやむしろ私は、「その程度で眼鏡を語るな半端モンが!」とかいって斬り捨てられてしまうかも。

 眼鏡といえば、桜坂洋さんの小説 「All  You Need Is Kill」が発売されました。
 戦争と、恋と、時間をあつかったSFです。
 精緻な構成と、磨き抜かれた文章と、詩情がみごとに合一した傑作です。
 暗いですが、ロマンチックで、読みごたえのある本なのでぜひ読んで下さい。
 なんども読み返したくなる本です。
 殺気が漂う表紙にひかないで。
 これはこれですげーかっこいい表紙だと思うんですが。
 となりの新刊はサンタコス美少女とかだしなー。
 
 私はこの本に軍事考証という形で協力しています。
 傑作にかかわることができて幸せです。
12 月13日
 本の紹介。

 陰山琢磨「蒼穹の槍」光文社カッパノベルズ
 ロケット飛行機で坂井三郎が宇宙に挑む架空戦記「零戦の勇士 新たなる大戦」で私を興奮させてくれた陰山さん。
 この本はさらにロケット熱がヒートアップ!
 アフリカでロケット打ち上げをやってる女の子と、
 大阪でゲーム開発やってる凄腕プログロマーが、
 テロリストの野望に立ち向かう!
 ロケット屋の矜持のために! 愛する者のために!
 最後までぐいぐい読ませるダイナミックな物語です。
 コンピュータやロケット打ち上げ、自衛隊などのディテールのかきこみが冴え渡ってます。
 おそらく、ホントとウソのギリギリ境目で綱渡りのように話を作っているはずなので、宇宙技術や軍事に詳しければ詳しいほど楽しめるのではないか、と思い ます。
 架空戦記作家の新たな可能性がここにあります。
 
 吉田親司「MM 記憶師たちの夜明け」電撃文庫
 こちらも架空戦記作家・吉田親司さんの新作。
 もともと吉田親司さんはブッ飛んだ世界設定と漫画っぽく誇張されたキャラクターで売っていた人なので、ライトノベルかけるんじゃないかなーと思ってまし た。
 やっぱり書いたか、という感じです。
 手慣れた感じの萌え+B級SFアクションです。
 少年(人間の記憶を操る)と美人ママ(世界一の悪女)とタカビー美少女(カレー中毒)が悪の秘密結社と戦う、という聞き慣れた物語ですが、キャラクター の作り方が上手いので「オイオイ」と苦笑しつつも楽しめます。
 架空戦記「帝国の聖戦」と同じ世界を舞台にしているので、古くからの吉田親司ファンにはより楽しめるかも。
 マンガ化するともっと面白いんじゃないかな、と思ってみたり。

 サイトの紹介。
 「軍事板常見問題」
 軍事Q&Aがこれでもかこれでもかと集められた名サイト。
 三国志からイラク戦争まで、兵器人物戦術など、読んでるうちに自分の無知に気づいて眼からウロコぼろぼろ。
12 月9日
 バイクのオイルパンとチェーンとスプロケットと、割れていたベアリングを交換しました。
 走行距離13万キロともなると、あちこちにガタが来るもんですね。
 ……でも、後輪のベアリングって1年前も交換した気がするんですけど。
 
 眼鏡っ娘サンタをプレゼントされました。ありがとうございますー!
 クリスマスまでかざっておきますねー。
12 月4日
 バイクからオイルが漏れるのは、「オイルパン」の損傷が原因らしいです。
 エンジンの一番下にはオイルパンという、文字どおり「オイルをためておく皿」があるのですが、その皿にヒビが入っていると。
 パテでうめようと試みたのですが失敗。
 修理に1万円ほどかかりそうです。
 風邪につづいてバイクもですか。
 しかし!
 知人から眼鏡っ娘サンタ画像をプレゼントしてもらいました!
 あああ! 悪いことがあればいいこともあるものです! ほんとうに! 

「ライトノベル完全読本 vol.2」が出ました。
 「このライトノベルがすごい!」と比較して書評のテンションは低く、「おすすめしたい!」という情熱は感じられません。
 単に作業として書いている感じ。
 けれど、書評が劣っていてもよいのです。「この本でしか読めない」作家インタビューや対談がぎっしりつまっているのですから。
 
 特に面白かったのは

 「新城カズマ×賀東招二」対談。
 ライトノベルは自由だから面白いと主張する賀東さん、縛りがあるから面白いという新城さん、見解の相違が真摯な対話につながっています。

 「大亜門×おかゆまさき×成田良悟」鼎談
 企画をきいた瞬間に爆笑しました。
 だってあなた、スピンちゃんVSドクロちゃんですよ。
 そんなネット上の冗談みたいな。
 こんなことをやってくれたってだけで私は「読本」を支持します。
 内容も期待通りでした。3人が互いに、絶妙な間合いでツッコミを入れまくる!
 笑えて、しかも三者三様の創作論が堪能できる。
 いい企画です。

 「ライトノベルラボ」るりあ046
 うーん、ライトノベルに詳しければ詳しいほどププッと笑える高度な楽屋ネタ漫画です。
 このネタはあれか? と深みにはまってしまいそう。

 この3つだけでなく、若手作家インタビューや、ボイルドエッグスの作家育成システムについても楽しく読めました。
 期待していた「桜坂洋×山本弘」対談が残念な仕上がりでしたが、(だって盛り上がるどころか2人の会話がほとんど収録されてないんです、これじゃバラバ ラにインタビューを受けてるのと同じですよ)それでも買う価値は十分にありましたよ。
12 月1日
 昨日、風邪が悪化して、早退しました。
 頭痛とめまいが激しくて、バイクの運転がおぼつかない状態。
 このままではほんとに危険だ。死ぬ、誰か死ぬ。
 だから帰りました。
 家に帰って熱をはかってみたら、なんと平熱。
 子供のころからそうなんです。めったに熱を出さない。
 腹が痛くても吐き気がしても平熱。だからみんなに「仮病だ、仮病だ」といわれる。
 発熱に憧れていました。ちゃんとした風邪を引いて、堂々と学校を休みたかったものです。
 体温計の温度を上げようとフトンにこすりつけました。
 親に発見され、その後しばらく何がどうなってもぜんぶ仮病扱いでした。
 っていうか発熱は体が病原菌と戦った結果出るものなんだから、つまり私の体は無抵抗ってことですか!?
 少しは戦え、私の体。
 発熱がないだけで、脱力感や嘔吐感は襲ってくるのです。
 なによりひどいのは頭痛。後頭部がガンガン傷む。鼓動にあわせて痛む。
 原稿書くどころか本も読めない。
 フトンにくるまって寝ようと試みますが、浅い眠りしかやってきません。
 寝ても寝ても時間が数十分しかたっておらず、もちろん体調もそのまま。
 夜になり、深夜になり、零時をまわっても、そのまま。
 ああ頭カチ割って中身だしたらさぞすっきりするだろう!! とか思うほどです。
 
 しかし1冊のイラスト集が私に気力を与えてくれました。 
  MEGANEKO
 眼鏡煩悩を大復活させてくれた珠玉の1冊!!
 はぁはぁふぅふぅ……まだ死ぬわけにはいかない! 僕にはこの子たちがいるんだ!(いません)
 私は気力が衰えそうになるたび、食い入るようにこの本を見つめ、魂を現世につなぎ止めたのであります。
 そして今日、私の風邪は働ける程度に回復しました!
 眼鏡っ娘ありがとう! 命の恩人ありがとう!
 唯一神ロリメガネ様に栄光あれーっ!


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