イスタンブール(2)

観光を終え、ホテルに戻ったが、今夜はベリーダンスを見ながらの夕食だ。
それまでに2時間ほど時間がある。そのままホテルに納まって時間を過ごすのはもったいない気持ちになった。

旅行中一時疲れが出る時があるが、私は元気を取り戻していた。妹達を誘ってみたが、疲れたので出る気がしないようだった。
子供連れの夫婦も子供が熱を出して市内観光もしなかったようだ。

ツアーの仲間数人で、その時間を街の何処かへ行こうとすぐ話はまとまり,
ツアコンさんに相談したところ、路面電車(トラム)で「ガラタ搭」に行く事に決まった。ホテルは新市街地の中心にあり、幸い路面電車の発着所もすぐ近くにあった。
トラムを待っていると、小さな男の子達が靴磨きの道具を小脇に抱え、纏わりつくように話しかけてきた。
子供とはいえ、目つきを見るとローマにいたジプシーの子供達と同じ目つきだった。旅行者を相手にあれこれ話しかけてきてお金をせびるのだ。
無視したって、追い払うように邪険にされてもものともしない。彼等は小さい時から働き逞しいのだ。

物乞いもいた。頭からすっぽり黒い布をまとった女性が地面にあぐらをかき、子供を抱いて物乞いしていた。
おかしい事に抱っこされている子供は、長年親と物乞いしているうちに、成長して膝からはみ出して不釣合いになっていた。
それでも子供は平気で仰向けで目をつぶり、ジーとして抱っこされたまま、物乞いの片棒をかついでいた。
それを見て、「火事だー」なんて騒ぎが起こったら、親の膝から跳び下りて一目散に逃げるよねーきっと。


トラムは発着所のあるタクシム広場から、南西に延びているイスタンブールで一番の繁華街イスティクラル通りを走っていった。
さっきの靴磨きの少年達もただ乗りで、電車にぶら下がっていた。場所を変えて稼げそうな所へ移動するのだろう。
この街を歩いている若者達は皆彫りも深く、オリエンタル的と形容する顔をしていた。たくさんの民族が混ざったことで、美しくなったのかな?
ほどなく終点に着いた。「ガラタ搭」はそこから少し下っていった所にある。この地域は治安が悪いところだと注意されていたので少し緊張した。
私達以外の外国人は歩いていなかったし、髭の男性達がじっとこちらを見つめていた。子供達はその周りでボールを蹴って遊んでいた。「ガラタ」に近づくころには辺りはひっそりとして、その中を急いで歩いていった。

この辺に建ってる家の下には、次々と時代を取り込んだ遺跡が今でもサンドイッチのように何層も重なっていると聞いた。
街を形成するうえで、遺跡の発掘なんて無理な事で、出てきても見無かったふりしているようだ。財宝ばかりでなく、遺跡の宝庫でもあるのだ。

「自分の家の地下に大昔の遺跡が眠っているなんて素敵じゃな〜い。」なんて思うのは甘い話なのかもネ
ガラタ搭のある地域は古代ギリシャ時代は城塞都市だったが、13世紀になると、ジェノヴァ人の居住地区となった。
搭は途中までエレベーターで登り、そこからは石の階段になっていた。今はレストランとして利用されていたが、ある時代には牢として使われた時もあったようだ。
68mの高さからは遠くに旧市街のモスクがいくつか見えた。その前に横たわるボスポラス海峡から続く金角湾にはガラタ橋が掛かり、眼下に新市街地の街並が見えた。

時間がないので搭からはすぐに退散し、もと来た道に向かって歩き出した。路面電車のレールをたよりに、溢れんばかりの人で賑わっている繁華街のイスティクラル通りを横目に見ながら早足でホテルまで戻った。


ベリーダンス

ホテルに戻ると、すぐにベリーダンスを見せてくれるレストランに向かった。
そこで、ショーを見ながらの食事だ。
まずは食事をし、終わる頃になると司会者が出てきた。その日は日本人の他に、韓国やドイツ、アメリカ人など混ざっていたが、司会者の彼は何ヶ国語も操りおもしろい雰囲気で笑わせながら進行していった。
ゲームも取り入れ、お客を全部参加させたりしたが、私は運良く最後まで残った数人の中に入り、ステージに上がった。そして商品にワインを貰って舞台から降りた。
それからベリーダンスのショーは始まった。
最初は若いダンサー達が踊っていったが、ダンスを見るより容姿を見るほうに心がいった。
確かに美しくはあったが、スルタンの心をこのダンスで捕らえることが出来たかなとも思えたし、観光客を相手に開いているショーの範囲を超えたものではないなと思えた。
踊りをしばらく見ていくうちに、少し歳のいったダンサーが登場した。
彼女はお腹もぷっくらしていたし、おへそもへこんでいて、そこにほどこしてある綺麗な飾りがよく似合っていた。そしてそのダンサーの踊りには、くぎ付けになった。
味があるというか、お客を自分の方に引き付ける自信に満ちた表情で、余裕のある踊りに、見ているほうも満足する事が出来た。
ベリーダンスは余り期待していなかったので、カメラも持たず来たけれど残念だったなー
旅行も今日で終わり、明日グランドバザールへ行くのみのとなりました。