イスタンブール(3)

7日目 3月25日

午前中は旧市街にあるグランドバザールへ行った。
広く迷路のようなバザールは人、人でごった返し活気に満ちた巨大な市場だった。
最初に目に入ったのは、宝石やと絨緞屋である。一番メーンになる場所に陣取っているように思えた。
そこに入っているさまざまの店は4000軒はあると聞いていたが、バザール内の地図を貰い、自分の今いる場所を認識しながらショッピングしないと,人と広さで迷子になりそうだった。
15世紀ごろ、メフメト2世によって建設された市場だということです。

私はまず絨緞を売っている店のショウウィンドウを覗いた。ヘレケの絨緞がそこにも売られていたからだ。すかさず中から店員が出てきて売り込みにかかった。
「買って持っているのでいらない」と答えると「何処で買ったか、幾らで買ったか」とすかさず聞いてきた。
私は買った絨緞と比較して、間違った買い物でなかったか調べたかっただけなのだ。間違った買い物をしなかったのを確認できたので、ありのまま店の名前と金額を答えたら、あっさり引き下がった。

グランドバザールは、観光用のレベルのものが多く割高に思えた。
私はそこでおみやげに、「チャイ」の器のセットを1つ買った。


14:45分TK592便で空路、楽しかった思い出を胸に飛行機に乗った。
飛行機に乗って夕食も済みしばらくすると、寝る時間となり周りの人たちは皆寝始め、私も眠くなってきた。

ところがー。
すぐ後ろの女性が乗ってからずっとが喋りっぱなしの人だったが、まだ喋り続けているのだ。そんなお喋りは普通飛行機のエンジン音に消されて、ほとんど聞こえないものだが、彼女の場合に限って全部聞こえてくる。
周りを見ると皆もぞもぞして、彼女の方を振り返ったりしていた。

その女性は「ピンクのでんわ」のよしこちゃん?の声そっくりで、エンジン音なんて関係ないように、彼女の声は聞こえてきた。
その声が気になって、耳は自然にそちらの声を拾ってしまう。
彼女の夫の話、子供の話、姑の話、それからそれぞれ話が枝別れして、とめどもなく話は続き、いつ終わるかも解らない。
聞こえてきた話からして性格はいい人だということはつかめた。
妹が「注意して」と横で言った。他人に注意するのってすごく勇気が要る。

そのうちとうとう我慢できなくなって、小さなメモにメッセージを書いた。そして、勇気を出して彼女に渡した。

「貴女のお話が全部聞こえてきて、今寝たいと思っているのですが眠りにつけないでいるのです。恐縮ですが、私の眠りに協力して頂けませんか」と
それまで続いていたおしゃべり申し訳ないくらいピターッと止まった。

飛行機の中でエンジンに負けないで通る声は、中年女性の笑い声。まるでひぐらしゼミのように聞こえる時があります。かなり遠くの座席からでも聞こえるのにはオドロキ!! 私も気を付けなくっちゃ。
かくしてトルコの旅は無事に終わりました。後は日本に向けてひたすら寝ることに没頭しました。



さようならイスタンブール!!