本日の一言   

2000/9/10

砕氷艦”しらせ”乗船、後日談

「砕氷船”しらせ”に乗ったんですって?」
「そうなんだ」
「なんでまたそんなものに?」
「なんでそんなもの、はないだろう、あれは今までに何度も南極観
 測に出かけた船なんだ、何か夢があると思わないかい」

「行った先が、あの凍てつくような地球の果てだったから?」
「そうだよ、南極にはまだ人跡未踏の地が一杯あるんだ。何か地球
 の歴史を語り継ぐものが秘めているように思わないかい」
「あら、そう?、私は別に」
「氷の厚さは最大4,800mもあるんだ、富士山の高さよりも厚
 い氷なんだ。平均でも2,500mはある。だから、その底には
 人類の歴史では計り知れない何かが眠っていると思いたくなる」

「そんなこと、想像すらしたこともないわ」
「それにだ、空からは時々隕石が降ってくるのだ。そしてそれが氷
 上を滑ったりして、特定の場所に集まったりしている」
「その隕石には何か意味があるの?」
「宇宙から降ってきた石だよ、空の彼方の星の誕生や爆発などの歴
 史が解明出来るかも知れない」



「1個や2個だけで?」
「いやいや、我が国は既に13,000個も持っているんだ、今や
 世界一の隕石保有国なんだ」
「それはまたお詳しいことで」
「実は、このパンフレットにそう書いてある」

「なーんだ、でも、隕石って単なる石でしょ、金塊や銀塊ならいざ
 知らず・・」
「おまえはすぐゼニカネに結びつけたがる、夢がなさ過ぎるぞ」
「あら、あなた自身はまるでお金持ちみたいな発言ね」
「いやみを言うな、それより南極大陸には恐竜の先祖とおぼしき骨
 も見つかっているんだ」

「まさか、それが今も生きているというわけではないでしょ」
「そりゃそうだ。でも実際には昔々のその昔に、この南極がアフリ
 カや南アメリカなどと地続きになっていたという説もある」
「あら、そんなこと、考えるだけでも疲れるわね」
「話にならんな、おまえは。では、オーロラはどうだ」

「オーロラはぜひ見てみたいわ、いかにも大自然らしく神秘的だも
 のね、虹の大型版というより、虹のムービー篇みたいなものね」
「ほほう、虹のムービー篇か、それは面白い表現だね」
「ホントは虹のスリーディー(3D)篇と言いたいところよ、でも
 そんなこと言ったってあなたわかる?」
「何を小癪な、それより今はオゾンホールの破壊が心配されている
 んだ、知ってるかい」



「ほら、それを言うなら、やはり南極には夢がないっていうことに
 つながるわよ」
「いや、そういった未知のものが入り混じっているからこそ、夢が
 あるって言うんだ」
「ほほう、今度は未知体験へのいざないって言うわけ?」
「ま、そうだ」

「それが今回の”しらせ”に乗ったらわかったというわけね?」
「そうだ」
「砕氷船”しらせ”の船内をぶらついただけで、もう南極まで行っ
 た気分になったというわけね」
「おいおい、質問が妙にからみついているじゃないか?」

「いえいえ、タダで”しらせ”に乗って、それだけで南極までいっ
 た気分になれるなんて”しあわせねえ”、と言いたいだけなの」
「その”タダ”という表現に、まだまだ何か毒が漂っているゾ」
「どこかの奥さんみたいな言い方でしょ」
「どこかの奥さんって?」

「そういう奥さんのタイプ、どう思う?」
「そんなこと知るか、大体、おまえは一体何が言いたいんだ」
「ハイ、ワタシ、砕氷艦ならぬ世の中の”妻評官”なんです」
「えっ、妻評官?、そんな言葉は聞いたことがないぞ」

「女は近所の奥さんのことをあれこれ評するからそう呼ぶんです」
「妻評官なんて、まるで裁判官になったような気分なのか」
「そうなんです、ご存知なかった?」
「そんな新語、”知らっせ”」

                  まだ秋なのに、サブッ!         
                       2000−9ー9 記

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