本日の一言   

1998/12/11

わ が 年 賀 状


誰でもそうかも知れないが毎年12月になると年賀状の作成に頭を悩まされる。特に私の場合は毎年決まった字数(378文字)で、時の世相を折り込みながら、固いことを柔らかく表現する、という自分なりの制約があるから、テーマの選択から始まってその展開方法について、人には言えないつまらない努力をする。

では、どんなものを作っているのか、まずはサンプルをご覧頂きたい。

●ザックザック・ザッサ゛・ズルズルー●ついに経済は足踏み
後退傾向●行革、規制緩和は進まず●株価、地価は下がり●
個人消費は冷え●一部の流通、銀行、証券、食品商社は潰れ
●生保、信託、ゼネコンも危なさそう●これじゃ、わが国は
まさに「失楽園」●誰が仕掛けたのかこのドラマ●国際大資
本か「透明な存在」か●何れにしても政府に迫られる即効対
策●新手の公的資金投入や減税効果●しかし財政再建と景気
対策がうらはらで●政府も国民の顔色伺い●選ぶのは「今楽
園」か「後楽園」か●が「今楽園」なんて聞いたことがない
●さて、今年は虎年、タイガーの年●虎穴に入らずんば虎児
を得ず●ではないが、いわば試練の年●長野五輪にビッグバ
ン●選挙にワールドサッカー等●新局面からのお宝発掘はト
ラぬ狸の皮算用?●でも、試練の年は果敢に前進、前進●ザ
ックザック●おや、今年の貴家は大判小判がザックザック●


これが、1998年元旦の年賀状である。文字数が多く、行間が狭いため、大変読み辛くて申し訳ないが、実際にハガキを手に持った場合はそれほどでもないことを申し添えておきたい。

さて、では1999年度はどうするかーー。
そこで、取り急ぎ次の文章を作ってみたところ、まだ深みと広がりがなく、ちょっと乗り切れていないような気がする。

●近頃、擬音語や擬態語は常用語●電子レンジには「チンす
る」●婚約相手には「ビビッときた」●驚きとうれしさには
「ワーオという感じ」●うろたえれば「頭の中が真っ白」●
感涙すれば「ウルウル」など盛り沢山●それに効果音や感嘆
詞が加わり●「バキューン」「ビクーン!」「ガボ」なる新
表現●さらには「カワイイッ」「サイコーッ」と振り仮名オ
ーバーの強調語●携帯電話は「ケイタイ」で通用させ●土壇
場のキャンセルは「ドタキャン」とまさに現代人は簡略上手
●いやいや昔もあった当時の体現語●「ウマウマ」「モグモ
グ」から始まり●「アカンベー」や「ベロベロバー」●「オ
ッス」や「イョッ」の挨拶●それに「アジャパー」や「ギョ
ッ!」「シェーツ」なる芸付用語●時には「顔に何かが書い
てある」の推理語も●ああ面白きノタリノタリの日本語変化
●あっ、そういえば今年の貴家には幸福の波がタウタウと●


ここまで書いてきて、何かピンとこない理由は「こりゃテーマが軽いからだ」と気づき、今から新たにテーマを選びなおすことにした。はてさてどんな案がいいのだろう。自分らしさがあって、読めば読むほど味わいが出て来て、イントロとエンディングがそれなりに結びついていてーーーと考えると結構難しくなる。昔だったらそこから研究心が高まって作品がより高度化していくのだが、近頃は酒を飲みながら考えるせいか次第に眠さが増してくる。
いや、強がりではないが片方の耳でテレビの音を聞きながら、片方の手でパソコンを操作しつつ、もう一つの片手でグラスをもち、時々それを口にもって行きながら、もう片方の耳で家族の相手をしているといささかわが神経クンも疲れが来るのである。

マ、余談はさておき今度の日曜日にでも1999年度版の原稿作りに着手することになるので、完成の折りにはまた本欄でご紹介してみたい。
ぜひ、ホンモノを楽しみにしていただければ幸いである。1998ー12ー10。

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