本日の一言   

1999/1/24

新幹線にイエロー車なんてどうだろうか?


たばこが値上がりをした。今までの240円が260円となった。
そして、その値上がり分の一部は、「JR関連に使われる」ようになったとか。
さて、そこでタバコに火をつけ、煙をプカーと吹かしつつ「我が輩のいっぺん言うてみたかった」----発言を。

まずは、ちょと大袈裟な物言いだが、現状分析から−−。
近頃の新幹線は禁煙車が多くなり、喫煙できる車両が少なくなった。
このため、愛煙者は喫煙可能な指定車両に集中乗車するようになり、当然その車両の室内は煙量密度が急激に高まった。
早い話、今までより煙が充満し、煙ったくなったのだ。
しかし、その車両は従来と変わらぬ列車で、特に排気方法の改善が行われた気配もなく、時には煙公害車の様相で走り続けている。

さて、そこで提案−−。
「新幹線にグリーン車ならぬイエロー車を設けてみてはどうか」ということである。
イエロー車とは思いつきの言葉ではあるが、要はその車両に喫煙者向けのやや大き目の灰皿があって、少しは贅沢に足がゆったり伸ばせて、もう少し利きのよい換気扇があればそれでいい、という程度のものである。欲を言えば「ノート型用のパソコン台」やインターネット用の「掛け放題の電話回線」があればなおいい、とも言える。つまり、この車両の乗客は大方税金を多く払い、仕事を通じて世のため、人のために働いている人たちだろうから、これぐらいのサービスはしてやってもいいのではないか、という発想である。何しろ本人たちは肺ガンの発症に内心怖れながらも、さらにタバコを通じ余分な税金を払い、しかも周囲に 気兼ねをしつつ何も逆らわずにしている層だからである。いわば世間の常識に同調するがゆえに、自分の主張を押さえに押さえて、萎縮している人たちでもあるからだ。

ところで、萎縮といえば、タバコを吸う人たちというのは意外にいじけていると言えないだろうか。
近頃の喫煙者は昔と違い、飛行機や新幹線、あるいはレストラン等あちこちで締め出しに近い状態にあいながら、「なにくそ」とも闘おうともせず黙って引き下がっているからである。戦後復興期からの延長線上で考えればもっと攻撃的に「だからこそもっと優れた排気機器を開発すべき」だとか、「オレは禁煙コーナーのあるレストランには行かないぞ」ぐらいの発言があっても不思議ではないと思うのだが、それがとんと聞けなくなったからでもある。マ、それだけ喫煙者は紳士的だといえるだろうが、そう思う反面で「今までわが国発展の一翼を担ってきた人たちにしてはよくもまあこんなに社会の風潮に対して従順になったものだ」と驚嘆すると同時に、近頃話題の男性の女性化問題と同様に、喫煙者層の弱越し化、発言力の低下が気にかかるのである。

もっともこの意見は、嫌煙者に対し真っ向から対抗して主張しようと言うのではなく、近頃喫煙者があっちでもこっちでも追いやられるような形になっているから、何となく可哀相だという観点で、軽い気持ちの、遊び心発言であることを念頭に置いておいて欲しい。
それゆえ、「タバコの煙というものは人々の健康によくない、何を言っているんだ」」とか、「周囲の人々に迷惑をかけることを考え直せ」といった、今の常識で誰もが判断出来るような分かりきった意見は、この際、ちょっと差し控えて頂きたい。
なにしろ殆どの喫煙者は、家庭では蛍族と言われ寒い風の中でもベランダに立ち、 職場では煙害者として隅の方へ追いやられ、消費活動の一環としてレジヤーやショッピンクに出かけてもロクに灰皿がない、という、これが日本国を支えて来た人たちに対する処遇かと思うほど冷遇されている面があるからだ。言い換えれば、ここらで喫煙者への思いやりを考えてもよいのではないかということである。

それというのも近頃、女性愛煙家が随分と多くなり、その女性がタバコを吸う場所、吸う姿に、今までの常識を打ち破られる場面を垣間見るようになってきたからでもある。勿論、男女平等の今日、ここで女性をターゲットに責めようというのではなく、サラリーマンのおじさん族に限っては「タバコくさいから」とか「まだあんなもの吸っている」などと敬遠しがちにしているくせに、若い女性となると禁煙タイムのプラットフォームや喫茶店、ドライブ中などに喫煙していても誰も咎めせず、むしろ容認している、いわばアンバランスな解釈か゜横行するようになってきたからである。聞くところによれば今や専門学校等の庭先にも公然と灰皿が設置してあり、その場所ならば学生であっても喫煙自由というところもあるとのことだ。母親は自分の亭主に対しては口喧しくいうくせに、娘の喫煙には甘い例もあると聞く。
こういった現象には、皆が何か違和感というか片手落ちというか、現代の歪みみたいなものを感じて然るべきではなかろうか。

さあ、能書きが長くなってきたが、またイエロー車の話に戻ろう。
このイエロー車に乗る層は、先述の理由で現在はおじさん族が主だが、数年後には若き女性層が主体となり、そのうちにおじさん族は女性の金切り声に押し出され、女性天下の車両に変貌するのではなかろうか。
となると、禁煙車の方は今に寝たきり老人になりそうな長生き男性がいっぱい、一方、喫煙車の方は現在を楽しむ若き女性がいっぱい−−。こんな様変わりをしないのであろうか。この列車に乗れる男性、以前から喫煙していたという証明が必要になるかも知れない。
さあ、あなたはどちらを選ぶ?現在の禁煙車で先行き老人車を選ぶか、現在の喫煙車で先行き若き女性車を選ぶか。

ハッハハ、そんなことを考えていたらタバコを持って、ちょっとお洒落をしながら、新幹線に乗りたくなった。勿論、イエロー車だ。
先行きは従来の延長ではなく、思わぬ変化があることを承知しながら−−。日本人は黄色人種でもあることだし、ネ。

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