Books Story
1夏の庭 2半パン・デイズ 3薔薇盗人 4虹の谷の五月(1)
5虹の谷の五月(2) 6殺人の門 7エイジ 8ダレカガナカニイル
9脳男 10白い巨塔(1) 11白い巨塔(2) 12白い巨塔(3)
13白い巨塔(4) 14白い巨塔(5) 15彼女が死んだ夜 16ゲームの名は誘拐
17黄色い部屋の謎 18川の深さは 19燃えよ剣(1) 20燃えよ剣(2)


Books Old Story


夏の庭('03.08.22)★★★☆☆
 タイトル:「夏の庭」
 サブタイトル:「The friends」
 著者:「湯本 香樹実」

 町外れに暮らすひとりの老人をぼくらは「観察」し始めた。
 生ける屍のような老人が死ぬ瞬間をこの目で見るために。
 夏休みを迎え、ぼくらの好奇心は日ごと高まるけれど、不思議と老人は元気になっていくようだ―。
 いつしか少年たちの「観察」は、老人との深い交流へと姿を変え始めていたのだが…。
 喪われ逝くものと、決して失われぬものとに触れた少年たちを描く清新な物語。

 死ぬとどうなるのだろう?誰でも小学生の時には考えるだろう。
 無償にオバケが怖かったりした、今でも怖いことは怖いが、一人でトイレに行けないことはない。
 昔のトイレはボッチャンだったし、照明もなんか暗かったんだよな。
 「下から手が出てくる」なんて聞いた時なんか…、思い出したら行けなくなりそう。

半パン・デイズ('03.08.24)★★★★☆
 タイトル:「半パン・デイズ」
 サブタイトル:「青春への準備」
 著者:「重松 清」

 東京から、父のふるさと、瀬戸内の小さな町に引越してきたヒロシ。
 アポロと万博に沸く時代、ヒロシは少しずつ成長していく。
 慣れない方言、小学校のヤな奴、気になる女の子、たいせつな人との別れ、そして世の中…。
 「青春」の扉を開ける前の「みどりの日々」をいきいきと描く、ぼくたちみんなの自叙伝。

 小学校入学から小学校卒業までの、6年間の出来事を綴った連続短編です。
 自分の時を思いだし、思い出せる出来事の少ないことに愕然とした。
 友達の名前が思い出せない。
 まだ、「イジメ」という言葉はなかった、今ではいなくなった「ガキ大将」がリーダーで、ケンカが強く、スポーツが出きることがリーダーの条件であった。
 名前は忘れた、だが顔を見れば「あだ名」は思い出す自信がある。
 なつかしいな。

薔薇盗人('03.08.28)★★★☆☆
 タイトル:「薔薇盗人」
 サブタイトル:「愛と涙の6短編」
 著者:「浅田 次郎」

 「親愛なるダディと、ぼくの大好きなメイ・プリンセス号へ」―豪華客船船長の父と少年をつなぐ寄港地への手紙。
 父の大切な薔薇を守る少年が告げた出来事とは―「薔薇盗人」。
 リストラされたカメラマンと場末のストリッパーのつかの間の、そして深い哀情「あじさい心中」。
 親友の死を前にして老経営者に起きた死生への惑い「死に賃」。
 エレベーターから落ちた男は自殺だったのか「奈落」。
 文句のつけようがない男の性癖とは「佳人」。
 純粋な女の子の一生に一度のお願いとは「ひなまつり」。
 人間の哀歓を巧みな筆致で描く。

虹の谷の五月(1)('03.09.09)★★★★☆
 タイトル:「虹の谷の五月」
 サブタイトル:「壮大な少年の成長物語」
 著者:「船戸 与一」

 トシオ・マナハン、13歳。
 フィリピン、セブ島のガルソボンガ地区に祖父と住み、闘鶏用の軍鶏を育てる日々だった。
 奥地の「虹の谷」には元新人民軍のゲリラ、ホセ・マンガハスがひとり住みついて闘い続けている。
 そこへ行く道はトシオしか知らない。
 日本から戻ってきたクイーンを谷に案内したことから、トシオはゲリラたちの内紛に巻きこまれていく。

 ハードボイルドと言えば、船戸与一か昔の北方謙三(最近は歴史作家になってしまったかな)だと思っているのだが、半分を終えてハードボイルドではないような…
 確かに、ゲリラが出てきて戦闘シーンあり、暗殺があったりはするが、基本は13歳の少年の成長物語である。
 後半からどう展開するのか楽しみである。

虹の谷の五月(2)('03.09.14)★★★☆☆
 タイトル:「虹の谷の五月」
 サブタイトル:「壮大な少年の成長物語」
 著者:「船戸 与一」

 トシオ・マナハン、14歳。
 セブ島で祖父とふたりで闘鶏用の軍鶏を育てている。
 ゲリラのホセ・マンガハスが住む「虹の谷」への道を知っていたことから暗殺、誘拐の硝煙の宴に巻きこまれていく。
 少年の夢。怒りと誇り。愛する者との別れ。
 慟哭の叫びを胸奥に沈め、少年は男へと脱皮して行く。
 第三世界の片隅から世界を睥睨する冒険小説、感動の巨編。直木賞受賞作。

 後半で★が減るのはあまりないんだけど、期待が大きかったので…
 日本人医師の誘拐から、ハードボイルド色が強くなってきた。
 ホセと供に医師の救出へ向かう・・・
 丸い虹を見てみたいな。

殺人の門('03.09.22)★★★★☆
 タイトル:「殺人の門」
 サブタイトル:「白夜行を超えられるか」
 著者:「東野 圭吾」

 どうしても殺したい男がいる。
 その男のせいで、私の人生はいつも狂わされてきた・・・。
 人が人を殺すという行為は如何なることなのか?
 人間の心の闇に潜む殺人衝動、その深層を抉り出す、衝撃の問題作!

 「白夜行」に通じるような、二人の人間の年代記である。
 一人は裕福な歯科医の家庭に生まれた主人公の少年(田島)、もう一人は豆腐屋に生まれ嫉妬の間で揺れ動く少年(倉持)の半生を描いている。
 主人公の祖母の死の噂・家庭崩壊・父親の失墜・自身の結婚破綻・経済的破綻・・・、読むのが辛くなるほど悲惨である。
 それは倉持の策略であることを気が付いて、殺意を抱くのだが、いつも丸め込まれる田島。
 もう一度「白夜行」を読み返したくなった。

エイジ('03.09.25)★★★★☆
 タイトル:「エイジ」
 サブタイトル:「自分が中学生に戻る」
 著者:「重松 清」

 ぼくはいつも思う。
 「キレる」っていう言葉、オトナが考えている意味は違うんじゃないか―。
 通り魔事件が相次ぐ東京郊外のニュータウン。
 犯人はぼくの同級生。
 でもぼくの日常は事件にかまけているほど暇じゃなくて…。
 家族、友情、初恋に揺れる14歳、少年エイジの物語。山本周五郎賞受賞作。

 中盤のなかだるみ感は、いがめないがラストはしっかり締めくくっている。
 父も自分が中学の頃を思い出しながら読み進みました。
 父の場合、中学は部活をしに行くところだった。
 授業は休んでも部活には出ていた。(^_^)
 会社の同僚の名前も覚えられないのに、部活の仲間は今でも覚えている。不思議だよな。
 熱中できることがあったので、「キレる」暇が無かった。
 海・そらにも「何か」を見つけて欲しいな。

ダレカガナカニイル('03.09.30)★★★★☆
 タイトル:「ダレカガナカニイル」
 サブタイトル:「自分が中学生に戻る」
 著者:「井上 夢人」

 僕、西岡悟郎は28歳独身。
 警備保障会社に勤める、まったく普通の人間だった。
 あの日までは。
 あの8月2日の夜、一体僕に何が起こったのだろうか―僕の新しい職場は山梨の小さな村、新興宗橋の道場の警備だった。
 ところが道場が火事になった教祖が死に、職を失って東京に戻ると僕に異変が起こった。
 僕の頭の中に誰かがいるのだ―井上夢人のデビュー作、多重人格ミステリー。

 多重人格には変わりないが、人格が入れ替わる訳ではない、西岡の意識のなかに常に女の人の意識があり、互いに会話をしている。
 多重人格というよりは、「ド根性ガエル」ってとこかな。
 2人のやり取りは、なかなか楽しい。
 楽しいけど、頭の中から「そんなHなこと考えてるの?」とか見抜かれると、ちょっとな。

脳男('03.10.03)★★★★☆
 タイトル:「脳男」
 サブタイトル:「江戸川乱歩賞受賞作」
 著者:「首藤 瓜於」

 連続爆弾犯のアジトで見つかった、心を持たない男・鈴木一郎。
 逮捕後、新たな爆弾の在処を警察に告げた、この男は共犯者なのか。
 男の精神鑑定を担当する医師・鷲谷真梨子は、彼の本性を探ろうとするが…。
 そして、男が入院する病院に爆弾が仕掛けられた。
 全選考委員が絶賛した超絶の江戸川乱歩賞受賞作。

 心を持たないとは、何も考えない、何も食べようともしない、自己防衛の本能もない、植物人間と同じ。
 その代わりに得た能力は、一度見たり聞いたことは忘れない、自分の脳をコントロールできる。
 父もよく心がないとか言われるが、物覚えは悪いし、自分の娘もコントロールできない。
 終わり方からして、続編がありそうです。

白い巨塔(1)('03.10.06)★★★★★
 タイトル:「白い巨塔」
 サブタイトル:「25年ぶりのドラマ」
 著者:「山崎 豊子」

 国立大学の医学部第一外科助教授・財前五郎。
 食道噴門癌の手術を得意とし、マスコミでも脚光を浴びている彼は、当然、次期教授に納まるものと自他ともに認めていた。
 しかし、現教授の東は、財前の傲慢な性格を嫌い、他大学からの移入を画策。
 産婦人科医院を営み医師会の役員でもある岳父の財力は、あらゆる術策をもって熾烈な教授選に勝ち抜こうとする。

 中学生だった父は、このドラマは見ていない。部活が忙しくてドラマなんて見た記憶がない。
 それだけ時代背景が古い、大学助教授の月給が7万円だったり、家賃が8千円だったりと…
 現段階では、現教授の東が悪役に見えるんだが、少し調べてみると財前が悪役になってるんだね。

 第1話での主な登場人物です。
【財前派】
 財前五郎: 第一外科助教授、オペの技術はぴか一、次期教授を目指す。
 財前又一: 開業医、財前五郎の舅。
 花森ケイ子: ホステス、財前五郎の愛人。
 鵜飼: 医学部長、財前を教授に応援する。
 佃友博: 第一外科医局長、財前の後輩、財前を教授に応援する。
【東派】
 東貞蔵: 第一外科教授、財前へ軽い嫉妬から財前の教授就任を阻止しようとする。
 菊川昇: 他大学の心臓外科権威。東が推薦。
 今津: 第二外科教授。
 東佐枝子: 東教授の娘。
 船尾: 東都大学外科教授、菊川を東へ推薦する。
【中立?】
 里見脩二: 第一内科助教授。財前の同期。今のところ仲間?
 大河内: 教授選の委員長。

白い巨塔(2)('03.10.09)★★★★★
 タイトル:「白い巨塔」
 サブタイトル:「25年ぶりのドラマ」
 著者:「山崎 豊子」

 現教授の東は、学会のボスから学外候補の推薦をうけ財前にぶつける。
 政界まがいの生臭い多数派工作のすえ、かろうじて勝利した財前に、国際学会から招待状が届く。
 栄光に満ち多忙をきわめる日々の中で財前は、同僚の第一内科助教授・里見脩二から相談された患者の早期噴門癌を発見し、見事に手術を成功させる。
 だが、財前がドイツに出発する日、その患者は呼吸困難に陥っていた。

 教授になった財前は、めっちゃ高飛車になり、嫌な奴No1になった。
 一方、破れた東元教授は、哀愁が滲み出て、好感度はアップ。
 佐々木の手術は成功したが、里見の助言を聞かなかった為に、事件になりそうな予感。
 財前は窮地に追い込まれるのだろうか?
 それとも他人に責任を押し付けて逃げるのか?

 野坂教授: 臨床整形外科、葛西氏を推薦、財前嫌い。
 岩田重吉: 浪速大学OB、財前を支援。
 鍋島貫治: 浪速大学OB、財前を支援。
 佐々木庸平: 患者、胃癌、財前が手術。
 柳原: 第一外科医、佐々木の受持医。
 #今、フジTVで楽しみにしていた「白い巨塔」が始まった、なのにママを駅に迎えに行かなくてはならない。
 #終わるまで待たすかな。

白い巨塔(3)('03.10.15)★★★★★
 タイトル:「白い巨塔」
 サブタイトル:「25年ぶりのドラマ」
 著者:「山崎 豊子」

 財前が手術をした噴門癌の患者(佐々木)は、財前が外遊中に死亡してしまう。
 死因に疑問を抱き、手術後に一度も患者を診察しなかった財前の不誠実な態度に怒った遺族は、裁判に訴える。
 そして、術前・術後に親身になって症状や死因の究明にあたってくれた里見助教授に原告側証人になってくれるよう依頼する。
 里見は、それを受け入れることで学内の立場が危なくなることも省みず、証人台に立つ。

 予想はしてましたが、佐々木庸平さんは亡くなってしまった。
 原因は、柳原へ任せきりで一度も診察しなかったこともあるが、里見助教授の助言を無視し、肺への癌転移の検査を怠ったことにある。
 里見の勇気により、財前も負けるかというと・・・
 医師の尊厳を守ろうとする里見は失脚、一方財前は反省の兆しもない。
 「君の云うように医学者にとって、学問と研究はかけがえのない大切なことだ、しかし、その学問よりさらに大切なものは、患者の生命だ」里見かっこいいぞ!

 関口弁護士: 佐々木の代理人。
 河野弁護士: 財前の弁護士。
 佐々木よし江: 庸平の妻。
 佐々木信平: 庸平の弟。

白い巨塔(4)('03.10.18)★★★★★
 タイトル:「白い巨塔」
 サブタイトル:「25年ぶりのドラマ」
 著者:「山崎 豊子」

 浪速大学教授・財前五郎の医療ミスを訴えた民事裁判は、原告側の敗訴に終わった。
 同じ大学の助教授の身で原告側証人に立った里見は、大学を去る。
 他方、裁判に勝訴した財前のもとに、学術会議選挙出馬の誘いがもたらされる。
 学会人事がらみの危険な罠を感じながらも財前は、開始された医事裁判控訴審と学術会議選挙をシーソーのように操り、両者ともに勝利することに野望をたびらす。

 次が5巻(最終)なので、財前をギャフンを言わせてくれるのだろうと、期待しています。
 その伏線として、国平の妨害が裏目に出て、亀山さんが出廷してくれることになったしね。
 個人的に気にある点は、里見は浪速大学に返ってくるのか?(近畿癌センターのほうがよさそうだけどね)
 里見と東佐枝子はどうなる?(里見の性格からないな)
 財前がどこまで落ちるか?
 柳原も落ちるか?(ある意味被害者だが?)
 医事裁判控訴審はどうなる?(どうなるかでなく、どうやって勝つか)

 亀山君子: 元第一外科看護婦長。佐々木側証人。
 国平弁護士: 財前の弁護士。
 神納教授: 洛北大学、学術会議選挙出馬。
 重藤教授: 近畿医大、学術会議選挙出馬。
 安田太一: 佐々木庸平と同じ胃癌、財前が手術。
 加奈子: 財前五郎の愛人パート2。

白い巨塔(5)('03.10.21)★★★★★
 タイトル:「白い巨塔」
 サブタイトル:「25年ぶりのドラマ」
 著者:「山崎 豊子」

 開始された医事裁判の控訴審は、原告側弁護士や里見たちの献身的努力により、予断を許さない展開に。
 そして、財前自身の体に不吉な病魔の影が…
 厳正であるべき「白い巨塔」大学病院の赤裸々な実態と、今日ますますその重要性を増している医事裁判に題材をとり、徹底した取材によって、人間の生命の尊厳と、二人の男の対照的生き方とを劇的に描ききった。

 裁判の結果は予想通りではあったが、「よかった」と安堵しました。
 個人的は意見としては、財前のキャラでなければ、患者から訴えられることはなかったのだろう。
 同じ過ちを里見が行ったとしても、許されたであろう。
 医療ミスがキャラで許されというのも変な話だが、今回の場合は財前が誠意をもって対応してれば、訴えられなかったであろう。

 財前が病気になる前兆があったので驚きはしなかったが、・・・なるとはね。
 (4)と(5)は続編として追記されたとの情報を得た、ってことは一審で佐々木側が敗訴して終わっていたということ?

彼女が死んだ夜('03.10.24)★★★★☆
 タイトル:「彼女が死んだ夜」
 サブタイトル:「タック、タカチ、ボアン、ウサコ。青春ミステリー?」
 著者:「西澤 保彦」

 門限はなんと六時!超厳格教育で育てられた箱入り娘のハコちゃんこと浜口美緒。
 両親を説得し、やっとのことでアメリカ旅行の許可を得た。
 両親の目を盗んで大学の仲間が壮行会を開いてくれた出発前夜、家に帰ると部屋に見知らぬ女性の死体が!
 男性陣が駆けつけると、こんなトラブルに巻き込まれて旅行が中止になってしまっては、と興奮したハコちゃんは、喉にナイフを当てこういった。
 「この死体を捨ててきてくれなければ、わたしは死ぬゥ!」。
 とんだ難題の処理が大事件に発展し…。

 匠千暁(タック)シリーズなる物の、第一作とのことです。
 ミステリーは強引な点があるが、会話のテンポもよく十分楽しめた。
 しかし、「七回死んだ男」のSFミステリーのほうが秀作だな。
 シリーズは他にはこんなのがあるそうです。
 ・麦酒の家の冒険
 ・仔羊たちの聖夜
 ・スコッチ・ゲーム
 ・依存
 ・謎亭論処

ゲームの名は誘拐('03.10.25)★★★★☆
 タイトル:「ゲームの名は誘拐」
 サブタイトル:「映画も楽しみ」
 著者:「東野 圭吾」

 広告代理店でイベント企画をしている佐久間駿介が、自信過剰で仕事をこなしていたが、取引先の副社長葛城に企画を全否定されかつ、プロジェクトからも外せとプライドをぼろぼろにされた。
 そん時、副社長令嬢樹理と出会い、副社長相手に仕掛けた「狂言誘拐ゲーム」。
 駿介の計画は、完璧に遂行されるのか?
 『Gainer』連載の「青春のデスマスク」を改題して単行本化。

 誘拐犯佐久間からの視点から書かれていますので、被害者葛城がどう動き、何を考えているのかがまったくわからない。
 どうお金を受取り、どう終わりにするか。
 単純にはおわらないんだけどね。
 #仲間由紀恵と藤木直人でなく、阿部寛でもいいけど、そうすると喜劇になってしまうか。

黄色い部屋の謎('03.10.29)★★★★★
 タイトル:「黄色い部屋の謎」
 サブタイトル:「元祖密室」
 著者:「ガストン・ルルー」

 厳重に戸締まりされた「黄色い部屋」に侵入し、スタンガースン嬢に血まみれの重傷を負わせたのは誰か―?!
 昼なお暗い森の館で企まれた奇怪きわまる密室殺人。
 この恐るべき謎に挑むべく、弱冠18歳の青年記者ルールタビーユは、勇躍、世紀末のパリを出発する…。
 息づまるサスペンスと巧みなストーリー・テリング。
 『オペラ座の怪人』の作者ルルーがおくる、"密室ミステリー"の古典的名作。

 50年前の作品で、江戸川乱歩が当時最高のミステリにあげている、推理小説黄金期の傑作のひとつです。
 かなり引き込まれます、密室の「黄色い部屋事件」もさることながら、「不可思議な廊下事件」も考えてもまったくお手上げでした。
 しかも、犯人もまったくお手上げ。
 全ての謎が判明したのに、最後の最後に「黒衣婦人の香水・・・」と意味深な言葉で終わらすとは卑怯だ。

川の深さは('03.11.01)★★★★☆
 タイトル:「川の深さは」
 サブタイトル:「命をかけて守るべき人が君にはいるだろうか」
 著者:「福井 晴敏」

 「彼女を守る。それがおれの任務だ」傷だらけで、追手から逃げ延びてきた少年。
 彼の中に忘れていた熱いたぎりを見た元警官は、少年を匿い、底なしの川に引き込まれてゆく。
 やがて浮かび上がる敵の正体。
 風化しかけた地下鉄テロ事件の真相が教える、この国の暗部とは。
 出版界の話題を独占した必涙の処女作。

 亡国のイージスTwelve Y.O.、そして今回「川の深さは」と読んできて、まったくの逆時系列であることが発覚した。
 登場人物こそ総入替であるが、「アポトーシス」や「市ヶ谷」や「ダイス」などのキーワードは再登場する。
 登場人物も異なってはいるが、パターンは優秀な工作員(感情を持たないマシーン・保)と主人公(警備員をしている元警官・桃山)で同じである。
 口数こそ少ないが、2人のやり取りには友情・優しさが伝わってくる。これもいつも同じである。
 ワンパターンではあるが、嫌いなパターンではないので許せるんだな。

燃えよ剣(1)('03.11.05)★★★★☆
 タイトル:「燃えよ剣」
 サブタイトル:「土方歳三の生涯」
 著者:「司馬 遼太郎」

 幕末の動乱期を新選組副長として剣に生き剣に死んだ男、土方歳三の華麗なまでに頑な生涯を描く。
 武州石田村の百姓の子“バラガキのトシ”は、生来の喧嘩好きと組織作りの天性によって、浪人や百章上がりの寄せ集めにすぎなかった新選組を、当時最強の人間集団へと作りあげ、己れも思い及ばなかった波紋を日本の歴史に投じてゆく。
 「竜馬がゆく」と並び、“幕末もの”の頂点をなす長編。

 頑固と言えばそれまでだが、自分の信念を貫くと言えば、人間(特に日本人)が好む普遍的な美しさであり、そしてそれが新撰組や土方の名を後世に残させたのだろう。
 個人的には、新選組が坂本竜馬を殺したのだったら許しがたいが。
 父が無知のため、新たな発見がありました。
 新撰組の局長といえば、近藤勇であるが、初代は芹沢鴨という水戸藩浪士であった。へぇへぇへぇ

 自分一人鬼(悪者)になり、ひたすらに新撰組を良き物にしようとする歳三はいいね。
 沖田総司もいい。山南敬介が脱走し追いつかれた時の総司との会話は特にいい。

燃えよ剣(2)('03.11.12)★★★★☆
 タイトル:「燃えよ剣」
 サブタイトル:「土方歳三の生涯」
 著者:「司馬 遼太郎」

 元治元年六月の池田屋事件以来、京都に血の雨が降るところ、必ず土方おおわざもの歳三の振るう大業物和泉守兼定があった。
 新選組のもっとも得意な日々であった。
 やがて鳥羽伏見の戦いが始まり、薩長の大砲に白刃でいどんだ新選組は無残に破れ、朝敵となって江戸へ逃げのびる。
 しかし、剣に掻かれた歳三は、剣に導かれるように会津若松へ、函館五稜郭へと戊辰の戦場を血で染めてゆく。

 まさしく懲りない人である。
 近藤が去り、沖田が倒れても、自分の信念からか、幕府への恩義の為なのか、官軍と戦い続ける。
 父には、死に場所を探しているようにしか見えなかった。
 ある程度頑張ると「もういいかな」と考えてしまう父には真似できない。
 「感動」というより、どんなに努力しても自分には出来ないということにショックを受けた。
 人間として信じた道を最後まで貫ぬくことの大切さは認めるが、殺戮を繰り返していた「新撰組」を認めているわけではない。
 「勝敗も論外である。男は、自分が考えている美しさのため殉ずるべきだ」