北陸の旅

毎年恒例の車中泊の旅のシーズンがやってきた。その頃になると、どちらからともなく工藤クンと連絡をとるようになる。「今年はどこに行こうかー。」なんて話になり、おいらが長野の上高地に行きたい!と言い出したので、そのまま飛騨に抜けて、そこから金沢の方へ行こうよ。と、簡単にルートが決まってしまった。やっぱし、夏といえば、上高地。おいらの大好きな場所なのだ。飛騨も、学生の頃に一度行ったのですが、ここもお勧め。ここは冬の方が楽しいかも。雪が積もった町並みがとても綺麗です。
さて、旅行の当日になると、一苦労。今年も、工藤クンと、薫ちゃんがこっちまで来てくれる事になっているので、その時間を利用して支度をする。毎度の事ながら、その日に支度するようになっている。事前に何かしておこうなんて考えることの出来る人がうらやましいです。工藤クンから電話があり、また真夜中においらの家に着くというののんびりと支度。
 支度を済ませ、PCで遊んでいると、「近くまで来たよ〜」と、電話あり。去年、おいらが買い換えたナビのお古は、薫ちゃんの車で活躍している。重宝しているようでなによりだ。やはり遠距離を移動するときに、ナビがあると無いとでは大違い。
 さーて、車に荷物を積み込むか。静かに家を出て、車の中に荷物を入れたりしていると、薫ちゃんの車がやってきた。田舎だと、こんな時間に走っている車は無いので、近づいてきただけですぐにわかる。挨拶を交わし、荷物を積み込めば、もう、出発の準備は完了。
 去年と同じく、近所のセブンイレブンで飲み物を買い、夜の道をひた走る。国道52号線を北上し、ひたすら上高地を目指す。去年と同じルートをたどっているので、新鮮味は無い。が、見たことのある景色を見るたび、去年の旅行の事を思い出し、それについて3人で話をするのがこれまた楽しい。一気に中央高速の松本IC付近まで行きました。(もちろん、高速を使ったわけではない。)とりあえず、そこで時間調整の意味も含め、仮眠をする事にした。

雨の上高地

朝、目が覚めると、二人を起こしてコンビニで朝食を買った。車の中から折り畳みの小さな椅子を取り出してそこに座って優雅な朝食。田舎のただっ広い駐車場だとこんなことも出来て便利だ。それにしても、たまに食べるコンビニ弁当はなぜかおいしく感じる。味と言うより、”外で弁当を食べる”というシチュエーションがおいしく感じさせているのかもしれない。
 朝食を済ませ、身支度を済ませて上高地へ車を走らせる。中央高速の松本ICから上高地までは一本道である。夏の観光シーズンになると、この道はとてつもなく渋滞する。昔、それを知らずに行ったら”渋滞40km”なんて表示が出てて引き返したことがある。渋滞を避けるためには、早朝に現地に着くようにし、昼頃から帰り始めるのがベストである。
 それに加え、上高地自体がマイカー規制が行われているため、手前に駐車場があり、そこからはシャトルバスかタクシーで現地へ行くことになる。そこでも、やはり順番待ちの列が出来てくるので時間には十分注意したい。
 今回はすでに松本にいる事もあり、時間的にはかなりいい感じなのだが、上高地へ進むに連れ、だんだんと天気が悪くなってきた。シャトルバスの発着場の辺りに着く頃には雨雲が立ち込め、現地に行ったとしても雨が必ず降るだろうと思われた。3人で話をし、結局、上高地は諦め、近くの白骨温泉へ向かうことになった。
 国道を脇道に入り、細い山道を抜けた奥に温泉街があった。道の割にはちゃんとした宿がまとまっていて、流れ出ている湯の流れと共に温泉場の雰囲気を出していた。白骨温泉は硫黄で白くにごったお湯が有名で、一度入ってみたいと思っていたのだ。
 時計を見たら朝の8時半だった。その時間に入れる店を探したところ、とりあえず9時からやっている宿があったので、そこへ向かう。その店が開く頃には土砂降りの雨になっていた。上高地に行かなくて正解だったと、ほっと胸を撫で下ろした。白くにごったお湯で身体を洗い、大粒の雨が降りしきる中、露天風呂につかる。硫黄臭が立ち込めているのだが気持ちいい。温泉に入っているのに雨が頭に当たっているのがなんか変な感じだった。
一緒に入っていたおじさんと世間話をしていると、おじさん達はすでに今日の朝、上高地へ行ってきた後らしかった。い「やー、降り出す前に戻ってきてよかったよ。」と言っていたので、僕達もこの雨だから行かなくてよかったです。」と言った。今、上高地にいる人たちは大変なことになっているだろう。
お湯から出ると、体から硫黄の匂いがして、箱根で売っている卵になった気分だった。

飛騨・高山

白骨温泉を出て、上高地から飛騨へ抜ける道に戻り、飛騨へ向かった。ここには新しくできた安房トンネル(有料道路)があり、そこを通った方が全然道がいいようだ。通ってみると、確かにお金を払うだけの価値はあったと実感できた。こういう時はケチってはいけない。山道を抜け、飛騨市内に入る頃には、とりあえず雨は止んでいたのであった。
 街中の駐車場に車を停めて、古い町並みを歩つつ、店を見て回った。観光客でごった返していたのだが、やはり古い町並みはいい。こういうのはかなり大好きである。また、全国的にも有名な朝市にも向かい、店を見て回った。おばーちゃんが店番をしていた飴屋で、飴の見た目の綺麗さに、薫チャン目を奪われて飴を買っていた。確かに綺麗な飴である。
 そろそろ腹が減ったと言うことで、美味しそうな店屋を探した。やはり飛騨といえば「朴葉味噌」と「飛騨牛」だ。誰がなんと言おうと、その二つが食えればおいらは満足だ。うろうろ捜し歩いていると、とある定食屋の店先に「飛騨牛の味噌焼き定食」と言うのが書いてあり、それはまさにおいらが求めていたものであったのだ。飛騨牛と、味噌は別々に食いたいという考えもあったのだが、それはそれ。とりあえず両方食えるのならば文句はない。工藤クンも薫チャンも、この店でOKだと言うのでそこに決めた。
 注文を済ませ、しばし待っていると、固形燃料で熱されたホウバ味噌登場。サイコロ状の牛肉も、ちゃんとある。しばらく焼いていて、味噌が食べごろになったら、ご飯といっしょに口に運ぶ。もー、幸せな気分だ。毎日食うために引っ越したい気分だ。それほど美味しい。
 腹いっぱいになった所で、昔の家なんかを見て回り、いっぱしの観光客になってから喫茶店で休憩。冷たい飲み物を飲みつつ、3人で飛騨について語り合った。やはりこういう町並みはいい!食い物も美味しい、最高だ!

金沢へ

 飛騨も堪能し、することも無くなったので、金沢まで行ってしまおうという話になって車に乗り込む。おいらは眠くなってきたので後部座席でお休み。ハンドルは薫チャンが握っている。工藤クンも自動車学校に通い始めているのだが、仕事が忙しいようでなかなか進んでいないようだ。
石川県に抜ける山道の途中に、でかいドライブインがあったので、小休止。観光バスが何台もあり、かなり盛況しているようだ。
 ここでドライバーチェンジで、ここから金沢までは、おいらが運転することになった。山道を抜け、金沢市内に入る頃にはすっかり辺りは真っ暗になっていた。石川県といえば、なんと言っても”日本海”という勝手なイメージを持っているので、夕飯は魚が食いたい!と思い、ガイドブックを開いて、落ち着いた感じの海鮮小料理屋を探し、そこに入った。適当に皆で食べられるような料理を頼み、おいらだけ酒を飲みつつ(二人はアルコールがダメなのだ)、新鮮な魚を口に運んだ。頼んだ刺身の頭と骨の部分が残ったのですが、この骨の部分を油で揚げてくれたのが、これまたビールのつまみになって最高に美味かった。しかも、ここの勘定は工藤クンと薫チャンが払ってくれたのだ。前においらが奢ってあげたののお礼だってさ、ラッキー。勘定を済ませる際に、近くの温泉の場所を聞いたら、これまた親切に教えてくれた。感謝感謝。そのおかげもあって迷うことなくたどり着くことが出来たのであった。
風呂は市内にあり、見た目は普通の銭湯っぽいのであるが、お湯はちゃんとした温泉。なかなか心地が良い。風呂から出て、しばらくの間、駐車場で、ウダウダとした時間を過ごす。その後、今日の寝床を求めて市内を車で走り回る。結果、コンビニの駐車場が無難だと言う結論に達して、コンビニの駐車場で寝に入った。色々あった一日でした。

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