山形へ

朝6時頃に目が覚めた。朝8時に閉館なので、それまでに支度をして外に出なければならない。6時半くらいにとなりで気持ちよさ層に寝ていた工藤クンをたたき起こした。工藤クンは呆れるくらい良く寝るのだが、一度ちゃんと起こせば目覚めはいい。起こすと不機嫌になる人もいるのだが、そういうことはないので起こす方としても気が楽だ。腹の奥底ではどう思っているのかはわからないけど。
女性の休憩所で寝ている薫チャンに電話をして起こし、7時半集合ってことで、オイラは一足先に風呂に入った。昨日サウナに入れなかったから入りたかったのだ。入ってみて気が付いたのだが、ここのサウナはかなり温度が低い。いつまでたっても汗が出てこないからあまり意味がない。健康ランドは全般的にこういうものなのだろうか。サウナの中でTVをしばらく見ていたのだが、それにも飽きて外へ出る。そろそろ支度をせねば。急いで顔を洗い、ヘアワックスを塗りこみ、支度が整った頃に工藤クンが呼びに来た。二人とも既に支度を済ませて待っていたようだ。

フロントで深夜料金を支払い、外へ出た。とりあえず朝食を食おうと言うことで、近くのファミレスに入った。黄色くて丸みを帯びた看板には”ジョイフル”と書いてあった。どー見てもどこかで見た看板だ。店に入ると、「いらっしゃいませー、ジョイフルへようこそ!」これもどこかで聞いたせりふだ。

「これって思いっきりデニーズのパクリじゃん」
「いや、でもさ、こっちの人がデニーズに行ったらデニーズの方をパクリだと思うんじゃない?」

くだらない話をしつつ、今日のスケジュールを決める。日程的にさらに北上するのは厳しいので、山形経由で南下して喜多方と会津若松の辺りを見て回ると言うことになった。目当ては米沢牛と喜多方ラーメンだ。

ジョイフルを出た後は、工藤クンがハンドルを握った。工藤クンは少し前に免許を取り、車を手に入れたのは今月の初めというバリバリの初心者。去年までは薫チャンと2人で運転していたので、免許を取った工藤クンは心強い。蔵王を抜けて山形市へ向かうルートをとる。オイラは後部座席で睡眠モードに入った。

目が覚めると、蔵王の山道を走っていた。二人は「まさとしゲーム」を開発して遊んでいた。ルールは簡単。一人ずつ順番に「まさとし!」と言っていくだけだ。一周したら今度は「まさとし!まさとし!」と数が増える。次は「まさとし!まさとし!まさとし!」とだんだん数が増えていく。つっかえたり、とちったら負け。3〜4周目位まで続くとだんだん言えなくなってくる。飲み会なんかのゲームに是非どうぞ。なぜ、車の中でこんなゲームをしていたかは永遠の謎である。

そんなゲームをしているうちに山形市内に突入。山形市には余り用事もなかったのだが、せっかく来たのだからと言うことで駅前でお土産を買って行こうということにする。街中に入ると、どうやら城跡があると言うことに気がつく。城と聞いて寄らないわけには行かない。パーキングスペースに車を止め、霞城公園へ向かって歩き出した。霞城公園は石垣と堀だけ残り、敷地内は運動公園と化していた。建物がなくとも、堀マニアのおいらには関係ない。春には桜が綺麗だと言う事なのでその頃にぜひ見てみたかったものだ。

城を見終わった後は土産を買いに駅ビルへ。オイラは殆ど買わなかったのだが、工藤クンと薫チャンは信じられない量の土産を買い込んでいた。萩の月や笹かまやら・・・・。おいおい、それって仙台の土産だろうが・・・・・。
山形の土産はなんだろー。と、うろうろしていると、サクランボとラ・フランスが有名らしい。ふと、漬物コーナーに目を向けると”しば漬け風さくらんぼ”なるものが売っていた。しかも試食品まであるじゃないか!おいらはこれがどんな味がするのかがとても気になり、一つ摘んでみた。味は普通のしば漬けそのままだった。サクランボである意味はまるでない。むしろ普通のしば漬けのほうが100倍おいしいではないか。
くだらない検証をしていると買い物を終えた二人がやってきた。二人とも両手にたくさんの荷物を抱えている。今なら大地震が起きてもしばらく食べ物には困らないだろう。買い物を終えてすることもなくなったので、次の目的地の米沢に向かった。 

本場の米沢牛

山形から車で1時間ほど走ると、米沢市内に到着。持参した”まっぷる東北”で米沢牛の有名店を調べてその店へ行くことにした。街中から少し離れた所にその店はあった。1Fは精肉店で2Fは牛肉料理屋という店だ。こういう店は期待できる。2Fにあがり、座敷に通される。そんなに広くはないが小綺麗な内装だ。メニューは一人2,500円〜10,000円まで幅広い。とてもじゃないが10,000円のは手が出ない。手ごろなお値段のメニューで、おいらと薫チャンはしゃぶしゃぶコース、工藤クンは炭火焼きコースを頼んだ。ちなみにおいらはしゃぶしゃぶを食べたことがない。牛肉と言えばすき焼きか焼肉のどちらかだったから、そういう意味でもしゃぶしゃぶは食べてみたかったのだ。
注文するとすぐにしゃぶしゃぶ用のなべと炭火焼のアミが運ばれてきた。ビールを飲みながら待っていると、ようやく肉が運ばれてきた。さー、食うぞ!気合を入れたがいいが、おいらはしゃぶしゃぶ初体験。どーやって食えばいいのかわからない。そー言えば、美味しんぼで(漫画)肉をお湯の中で”しゃぶしゃぶ”と泳がせてほんのり熱を通して食べていたなー。なんてことを思い出して真似して食べてみた。漫画もたまには役に立つ。近いうちにドラゴンボールも役に立ったりするかもしれない。平べったく切られた肉を一切れ箸でとり、湯の中を泳がせて、かるく熱が通った所でタレにつけて口に運ぶ。肉の味と言い、やわらかさと言い、文句のつけようが無い。工藤クンの炭火焼の牛肉も一切れ貰って食べてみたのだが、これもやはり美味しい。ここに来て正解だったようだ。
店を出てから米沢の名所、上杉神社を参拝する。ここは上杉謙信を祭った神社である。なぜ山形に上杉氏なのかというと、関が原の戦いで西軍についた為に移封させられてしまったのだそうだ。それと、伊達正宗の出生地と言う事で、記念碑も立っていた。とりあえず歴史上重要な地のようだ。そんな神々しい神社にお賽銭を投げ、(どーか女が出来ますように・・・・。)とバチが当たりそうなお祈りをして帰った。贅沢は言わないのでお願いします。

本場の喜多方ラーメン

米沢から山を抜けて、喜多方市へ向かう。駅前に着いた時にはすでに辺りは暗くなってきていた。駅前の観光案内所も閉まっていたので、近くの土産物屋でラーメン屋マップを貰って店を調べた。さすがに本場だけあって店の数が多い。結局、マップルに載っていたお勧めの店に行く事に決めた。駅から車で1〜2分の場所にある店で、ここが喜多方ラーメンの発祥の店だそうな。普通のラーメンとライスを頼んで待つ事数分。目の前にあっさり味風のスープに太目の縮れ麺が入ったラーメンが運ばれてきた。めっちゃ美味しそうだ。喜多方ラーメンは割と個人的には大好きなので、地元でも”喜多方ラーメンの店”にはよく行く。あっさり味の太目の麺ってのが大好きなのだ。だからこそ、本場の喜多方ラーメンと言うのには凄く期待が高い。一口食べてみると、やはり期待通りの味。今回はかなり食に関するレベルは高くなっている。

会津若松へ

飯も食った事だし、風呂と寝床を求めて次の町へ。向かうは会津若松である。喜多方からは車ですぐの距離である。車を走らせていると、運良く健康ランドが見つかった。これで今夜の風呂と寝床の確保が出来る。と、思ったのだが本当にそれでいいのだろうか?疑問が頭をよぎる。あくまでもこれは車中泊の旅なのである。それが二晩も健康ランドで寝て過ごしてしまっていいのだろうか?いいはずがない。3人でそれについて話し合い、とりあえず他を探してみて、無かった時はここに戻ろう。と言う事にして健康ランドを後にした。いい仲間だ。

そのまま走っていると、”GEO”と言う中古の本・CD・DVDを扱う店が目に入ってきた。「ここに寄ってくれ〜〜。」突如、中古のDVDを探したくなったおいらが叫んだ。行き当たりバッタリの旅だからそれもありなのである。そこの駐車場に車を停めると、オイラの車と同じチェロキーが目に付いた。ふと、フロントガラスのところを見ると「JCML」のステッカーが貼ってあるじゃないか!JCMLとはインターネット上のチェロキーオーナーズクラブである。そのステッカーが張ってあると言う事は仲間だと言う事だ〜!おいらはイソイソと買い物を済ませ、工藤クンと薫チャンには、クラブのメンバーが居るみたいだから店の中で待っててくれ。出会えたら銭湯の場所を聞いてみるから。と言って車の前で持ち主が現れるのを待ってみた。が、そこは中古の本屋と言う事で立ち読みをしているのだろうか、30分ほど待ったが出てくる気配が無い。結局あきらめる事にして、店を後にした。

そんな事をやっていたら、そろそろ本気で銭湯を探さなければいけない時間になったので、とりあえずコンビニへ車を走らせる。コンビニに着くと公衆電話に備え付けのタウンページで「銭湯」を探した。何件かあるうちの1件に電話をして営業時間の確認をする。電話に出たおじさんは夜の11時までやってますよ。と言っていた。今の時刻は10時20分だ。あと40分しかない・・・・。銭湯まで急いで車を走らせ銭湯へ。割と近くだったので数分で着く事が出来た。入湯料の350円を払って急いで風呂に入る。風呂に浸かると一日の疲れが取れる。こういうときの銭湯は非常に気持ちがいい。

11時を少し回ったところで外へ出る。後は寝床を探すだけだ。カーナビで検索したのだが道の駅は近くにはない。とすると、どこかの公園かコンビニの駐車場に車を停めて寝ると言うのが車中泊の王道である。公園にしても、コンビニにしても寝やすい場所と言うのは限られてしまう。一晩停めていても目立たない場所がありつつ、そこそこ治安が良さそうな場所。割と広め駐車場を探すのがポイントである。街中をしばらく走っていると、ユニクロと併設されたコンビニを発見。駐車場の感じも寝るのに向いている。しかも中古本屋も目の前にあると言う立地のよさだ。
0時の閉店時間まで、中古本屋で漫画を読み、それからお世話になるコンビニで買い物。やはり駐車場を借りるからには出来るだけ買い物をしてあげたい。買い物を済まして車の中へ。すでに荷物を移して後部座席を倒す気力も無いのでそのまま毛布をかぶって眠る。明日はとうとう最終日・・・・・。

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