過去・否定・現在 第二話
『花見に行くぞ〜!!』 いつものメンバーで談笑に花を咲かせているとつばさがいきなり叫んだ。 『相変わらずお前は唐突だな』 俺は鼻で笑いながら答える。 『賛成ぇ♪』 『俺も☆』 山彦と星崎はつばさの急な誘いに賛成をしている。 まあ俺も考えるまでも無いんだけどな。 『俺も行くぞ』 『よっし!では全員、明日の予定を空けておくように☆』 『『『了解♪』』』 つばさの唐突な申し出はあっさりと可決され、俺達は花見に行くことになった。 『さてと、問題はどこに見に行くかだな』 『ん〜どこか良い場所ないかな〜』 当の発案者は花見の場所までは考えていなかったらしい。 『あっ、私良い所知ってるよ〜☆』 『おっ、さすがはゾンミ♪じゃあそこに決定!』 ずいぶんあっさり決めてくれるな(苦笑) まあ星崎の言う良い場所だったら大丈夫だろう。 『じゃあ明日の朝10時に駅前プロムナード集合だな』 こうして【新学期ついに来ちゃった受験生!気持ち入れ替えて無礼講!】 桜井舞人命名のお花見会が始まるのだった。 ・・・・ ・・・ ・・ ・ 翌朝、俺は普段では考えられないような時間に目が覚めた。 『ビックリ!俺って意外と幼い心の持ち主なのかもな』 遠足の前日、興奮して寝られないタイプなのかもしれない。 まあ早く起きれた事に越したことは無い。 さくさく用意して今日の食料(酒も)でも調達に行くかな。 俺は出来る限りのスピードで用意をすると部屋を出、春の陽気漂う世界へと飛び出した。 時計を確認してみると集合時間まではあと1時間もある。 俺は商店街で食べ物と酒をじっくりと選んだ。 山彦はともかくつばさや星崎が酔っ払うところを見てみたいという事で少し強めの酒だ。 一人、楽しい時間を想像しながら集合場所へと向かう。 集合場所にはまだ誰も来ていなかった。 俺は息をつき他のメンバーが来るのを待った。 数分するとつばさがやってきた。 『あれ、舞人はやいね〜さては興奮して寝れなかったとか?』 『ばっ、お前!クールでニヒルな桜井舞人がそんな幼い心を持っていると?』 『や、全然クールでもニヒルでもないと思うよ』 つばさはそう言うと俺の持っていた袋の中を覗き込む。 『おっ、いいねお酒あるじゃん♪』 つばさは乗り気だった。自分がこれからどうなるかもわからずに・・・。 『あ、ちなみに言っておくけど私お酒強いよ〜挑んできて負けないようにね♪』 俺の気持ちを知ってか知らづかつばさは余裕綽々と言い放った。 『のっ望むところだ!!』 こうしてまたここに男と男の真剣勝負が始まる。 そんなやり取りをしているうちに星崎と山彦もやってきた。 『よっ、待たせちまったな』 『気にするな。それより全員そろったんだし早く行こうぜ〜星崎』 『うん、そうだね♪じゃぁ、しゅっぱ〜つ♪』 そう言うと星崎は嬉しそうに歩いていく。 俺達3人はそんな星崎の後ろを談笑しながらついていく。 『そういえば八重樫さん、どうして突然花見に行こうなんて言い出したの?』 山彦がつばさに聞く。 それは俺も聞きたい事だった。 『ん〜特に理由はないんだけどね。ただなんとなく・・・かな』 『八重樫さんらしいと言えば八重樫さんらしいね』 『全くだ』 ・・・ただなんとなく・・・か。 そう言えば俺が桜坂学園に入学した理由もそれだったな。 ・ ・ ・ 『とぉ〜ちゃっく♪』 星崎が嬉しそうに言う。 俺が物思いに耽っている間に目的に着いていたのだ。 バス停近くの丘。 そこには2本の桜の木。 とても綺麗で・・・。 でもどこか儚い印象を受ける桜の木だ。 『この場所は私のお気に入りなんだ♪この桜の木も綺麗だし街に咲く桜も一望できるんだよ』 確かに綺麗だった。 『ひゅ〜ゾンミやるじゃん♪こんな場所知ってるなんて』 『お〜綺麗だね♪さすが星崎さん』 『エッヘン♪』 そんな3人のやり取りを見ながら俺は何故か頭に軽い痛みを感じていた。 ・・・・・ ・・・・ ・・・ ・・ ・
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