Soft Machine


DISCOGRAPHY Part 1 (Soft Machine 1968 - 1975)



1

THE SOFT MACHINE

1968

★★★★★

 Mike Ratledge (Kbd) ・ Kevin Ayers (B・G・Vo) ・ Robert Wyatt (Ds・Vo) の最強トリオによるファースト・アルバム.個人的には, King Crimson の "In the Court of the Crimson King" , Pink Floyd の The Dark Side of the Moon" と並ぶプログレッシヴ・ロックの名盤であり, Rock 史に残る傑作アルバムであると思います.実は Crimson ・ Floyd に関しては上記のアルバム以上に好きなアルバムがあるのですが, Soft Machine に関してはやはりこのアルバムにつきると思うのです. Pink Floyd の "The Dark Side of the Moon" に関しては,トータル・コンセプト・アルバムの傑作であると共にそれを構成する個々の小曲が素晴らしいところがその魅力として指摘されますが,そのすでに5年前に音の傾向こそ違うとはいえ, Soft Machine はこのアルバムでそれを実現していたと思うのです.アルバムとしては悪く言えば地味,ハッタリ(?)という面では Floyd や Crimson に遠く及びませんが,実に緻密に計算された構成を持っています.トップの "Hope fot the Happiness" からラスト前の "Why Are We Sleeping?" までの流れがすごく良くできていて,全く余分の音を感じさせず,とどめの "Box 25 Lid" の最高に無機質な音がアルバム全体をしめくくります.ただし,人によってはこの手の音って拒否反応起こすらしいです.最後にこのアルバムの Robert Wyatt さんのドラミング,凄いと思います.

2

THE SOFT MACHINE VOLUME TWO

1968

★★★★

 Kevin Ayers 氏に替わり Hugh Hopper (B・G・Sax) 氏が加入してのセカンド・アルバム.あとメンバー3人以外には Brian Hopper (Sax) 氏が参加しております.前作より Jazz 色が強くなったというのがいろんなところに書いてある批評ではありますが,そうなんですかぁ? そ〜言われてみればそ〜ゆ〜気もしますが,私 Jazz って全く詳しくないもんで.... 嫌いじゃないけどね.アルバムの雰囲気としては,やはり実に Mike Ratledge さんが頑張っているみたいで,部分的には一時の Mothers みたいな曲もあったりして,実に好みではあるのです.あと,やっぱり Robert Wyatt さんのドラミングは凄い! 交通事故で叩けなくなってしまったのがとても残念です.収録時間がちょっと短かめ....

3

THIRD

1970

★★★

 Elton Dean (Sax) ・ Rad Spail (Vln) ・ Lyn Dobson (Flute ・ Sax) ・ Nick Evans (Tb) ・ Jimmy Hastings (Flute ・ Clarinet) の諸氏が加わり,それまでのトリオ編成から突如として大編成になってしまったサード・アルバム.一説によると彼等の最高傑作と評されている作品ではありますが,私個人としてはちょっと.... といいますのは,第一に大編成になってしまったため,当然ながら音に厚みが出て来たわけですが,それが彼等の場合はマイナスになってしまっていると思うのです.つまり私にとってファースト・アルバムに代表される Soht Machine の魅力というのは Mike Ratledge さんのキーボードを中心とするトリオ編成の何とも言えない薄っぺらな感じのする無機的なサウンドだったわけなのですね.第二にこのアルバム,アナログでは2枚組で,それぞれの面に18〜20分の曲が1曲ずつ収められているいわゆる大作なのですが, Yes ・ Pink Floyd ・ EL&P の例でも明らかなように,プログレ2枚組大作っていうのはアーティストのひとりよがりみたいな部分が多くて,聴く方としては非常にしんどいため,ロクな結果に終わってないというのが私の持論なのです.まあさすがに作品自体は水準以上の出来だと思いますが,彼等の作品群の中では魅力に乏しい作品ではないかと思います.

4

4

1971

★★★★

 メンバーは Mike Ratledge ・ Robert Wyatt ・ Hugh Hopper ・ Elton Dean の4人.ゲストとして, Nick Evans (Tb) ・ Jimmy Hastings (Flute ・ Clarinet) ・ Roy Babington (Double B) ・ Mark Charig (Cornet) ・ Alan Skidmore (Sax) の名がクレジットされています.編成が大きくなったサード・アルバム以降の作品の中では最も過激なイメージの音作りがされている作品で,最も私好みの作品ではあります.もちろんファースト・アルバムの頃とは全く異なる音作りではありますが,ラジカルに聴く者の神経を切り刻んでいくような音の洪水は快感なのです.特にトップの "Teeth" なんか,これを書いている現在親知らずに苦しんでいることもあって(?)名曲名演だと思ってしまうのです.早い話がこういう音が好みなのです.

5

5

1972

★★★

 Robert Wyatt 氏が交通事故のため抜けてしまい,ドラムスを Phil Howard 氏と John Marshall 氏のお2方が半々ずつ担当していますが,これは Wyatt 氏脱退後に加入した Phil Howard 氏がレコーディングの途中で脱退, John Marshall 氏加入後にレコーディングが続行されたためらしいです.この John Marshall 氏参加の3曲に関しては Roy Babington 氏も参加しています.他にメンバーとして Mike Ratledge ・ Hugh Hopper ・ Elton Dean の3名の名前がクレジットされています. Elton Dean 氏の影響下,ますます Jazz 的な要素が強くなっていますが,サウンドそのものは前作に比べてかなりおとなしめかつ難解になっているようです.

6

6

1973

★★★

 "THIRD"(3) に続くアナログ2枚組大作ですが,今回は1枚目がライヴ,2枚目がスタジオ録音という Pink Floyd の名作 "UmmaGumma" と同じような構成でした.また "THIRD" 以後のサウンドの要であった Elton Dean 氏が脱退してしまい,後任として Karl Jenkins (Sax ・ Kbd) 氏が参加しています. さて作品の方ですが,まずアナログ1枚目のライヴの方, Jazz 的な要素が強いためか,私にとっては少々退屈かも....って感じ.私 Blues とか Jazz 系の人たちがライヴで延々と自己陶酔的に演奏するのって,どうも苦手なもんで.... 2枚目のスタジオ録音の方は,おとなしめですが,かなりプログレそのものを感じさせる感じで割と聴きやすいと思います.




7

SEVEN

1973

★★★★

 音楽を本格的に聴きはじめたのが1972年頃で, Soft Machine に関してもリアルタイムで聴いたのはこのアルバムが始めてでした.すでにファースト・アルバムを聴いて大いに気に入っていたところだったので,あまりの変貌にとまどった部分もありましたが,当時流行の兆しをみせていたプログレ系のアルバムのい中では,流石に群をぬいて良いと感じた記憶があります.その後ここに掲載されている全アルバムを集めたわけですが,その中でも最も聴きやすいアルバムであると思うのです.メンバーは, Mike Ratledge ・ John Marshall ・ Roy Babington ・ Karl Jenkins の4人. Soft Machine を初めて聴く方にはオススメの1枚です.

8

BUNDLES

1975

★★★

 前作の4人に元 Tempest の Alan Holdsworth (G) が加わり,今までになくギターをフィーチュアした曲が多いです.これは明らかにバンドの変質だったと思いますが,そのせいか,翌'76年に最後のオリジナル・メンバー Mike Ratledge が脱退してしまい, Soft Machine はオリジナル・メンバー不在のまま活動を続けていくことになります.私はこの時点で Soft Machine は消滅したものと考えておりますので,以後の作品はほとんど聴いておりません.さて作品ですが,ギターが目立つほかは,前作の流れをくむ感じでわりと聴きやすいです.また,私実は Tempest ってバンドわりと好きで, Alan Holdsworth さんも好きなギタリストのひとりなんですが,やはり Soft Machine と言えば, Mike Ratledge さんのキーボードが中心であるべきだなどと思ってしまうのでした. 

9

NOISETTE

(2000)

★★★

 1970年1月4日, Croydon Fairfield Hall でのライヴ.メンバーは, Mike Ratledge (Kbd) ・ Robert Wyatt (Ds・Vo) ・ Hugh Happer (B) ・ Elton Dean (Sax・Saxello) ・ Lyn Dobson (Sax・Ft・Vo) の5人で,このメンバーによるバージョンは過去 "Third" に1曲だけ収録されていたらしいです.先にも書いたように, "Third" は一部では彼等の最高傑作とゆ〜ことになっているらしいですが,私にはあの大編成による音の厚みがしっくりこないもんで,あまり好きではないのですが,このライヴ・アルバムくらいだと,わりと落ち着いて聴いていられるのです.でもやはり, Mike Ratledge 氏のキーボードと Robert Wyatt 氏のドラムスが,このバンドの魅力の中心であったことが,再認識させられてしまうのでした.ラストに Kevin Ayers 氏作の "We Did It Again" が収録されていたのも嬉しかったですぅ!

10

LIVE IN PARIS MAY 2ND, 1972

(2004)

★★★

 実はこのバンドも, CD 時代に入ってから評価が高まり,ファン泣かせの未発表音源が続々とリリースされていった訳ですが,そんな中でも『名盤』として名高かった "Live in France" (1995)のリイシュー盤で,1972年5月2日,パリ・オランピア劇場におけるライヴ音源を収録した CD 2枚組.ラインナップは, Elton Dean (Saxello, Alto Sax, Electric Piano) ・ Hugh Hopper (B) ・ John Marshall (Ds) ・ Mike Ratledge (Electric Piano, Organ) の4名で. "5th" 後半録音時のメンツです.

11

man in a deaf corner

(2004)

★★★★

 邦題『アンソロジー63〜70』のとおり,初期 Soft Machine の歴史的発掘音源を多数収録した CD 2枚組. Daevid Allen 在籍時のデビュー前の音源が『売り』みたいですが,私にとっての Soft Machine はやはり, Ratledge - Ayers - Wyatt のトリオ,これに尽きるのです....

12

Middle Earth Masters

(2006)

★★★★

 Soft Machine の発掘音源ってモノすご〜くいっぱい出てて,とても全部集めようというパワーはもう残っていないのですが,流石にこれは買いました.何といっても1967〜8年における Ratledge - Ayers - Wyatt のトリオによる未発表音源とあっては,ど〜しても聴きたくて.... "Hope for Happiness" ・ "We Did Again" ・ "Why Are You Sleeping?" ・ "I Should've Known" といった,1st Album 収録曲はもとより,この時代のこのバンドのサウンドを追体験できて感無量です(録音はあまりよくないけど....). Robert Wyatt さんによれば,「Soft Machine のサウンドが最も刺激的だったのは 1st Album 以前だった」ということですが,納得できるよ〜な気がします.