読んだ作品
★狩野俊介シリーズ★ 月光亭事件/幻竜苑事件/夜叉沼事件/狩野俊介の冒険/
玄武塔事件/狩野俊介の事件簿/天霧家事件/降魔弓事件/
狩野俊介の肖像/白亜館事件/銀扇座事件上・下/久遠堂事件
★新宿少年探偵団シリーズ★ 新宿少年探偵団/怪人大鴉博士/摩天楼の悪夢/紅天蛾/鴇色の仮面/まぼろし曲馬団
★阿南シリーズ★ Jの少女たち/天国の破片
★その他★ 僕の殺人/昨日の殺人/美奈の殺人/3LDK要塞山崎家/
さよならの殺人1980/帰郷

★何よりもお気に入りは俊介くんシリーズですね。悩んで泣いて傷ついて、でも大切な真実を見逃してはいけないって、
そういう姿勢に胸を突かれます。声高らかに犯人を指摘する探偵も好きだけど、俊介君みたいに
相手を気遣う探偵も時には必要ですね。共感出来るし。
成長物と言った風情もあって、そこが太田先生のポイントというか、特色ではないかと思うんです。
内面の感情の葛藤が割と人間くさいというか、考え方が真面目で、飛び抜けてないというか。
誰が読んでも感情を分かち合える・・・みたいな気が全作品にするんです。


★俊介くんを好きになったお陰で、オムライスが好きになりました。あと、「猫ならアビシニアン」という
偏った考えの持ち主にもなりました。
俊介君の世界にはテレビが無くて、町並みも古めかしくて、それに気付いたのはかなり最近でした。ガクッ。


★宿少については、まぁ色々と思うところがあります。1998年5月に映画(実写)にもなった事ですし。
私は個人的に蘇芳様のファンです。何て言うか、孤独だから。
孤独なのが好きなのではなく、彼の孤独をいつか誰か消してくれ、と悲しくなる「好き」なんです。
宿少のメンバーがそうであれと願いながらこのシリーズを読んでしまう。
勿論読みどころは派手で格好良いアクションシーンであるとか、彼らの使う小道具であるとか、
美香と麻里の秘密であるとかなんですけど、まぁ読み方は人それぞれ。


★その他の作品はそれぞれ特色があるけれど、「山崎家」を抜かせば全部「痛い」作品達でした。
心が痛いのです。もぅギシギシ悲鳴を上げていて、初期作品群から聞こえる悲鳴は、当時の太田先生の悲鳴かも知れない。
「殺人」の意味が、ニュアンスが、もっと観念的なんですね。とか私が言っても全然伝わらないけど。


★見て分かる通り実はまだ霞田兄弟のシリーズを1冊も読んでいないのでした。絶対に読むつもりではいるのですが、
今はまだ読んでない。頑張るぞと。


★「Jの少女たち」について同人誌とか、やおいとか出てくる話でした。我がことの様で何か不思議な感覚。
時間的に晴海会場の時の話なので、その時期に読んでたら面白かっただろうに、と思いました。
阿南さんシリーズなのですが、私は知らずにこれから読んでしまいました。実はこの前に
「刑事失格」があるのですね。割と設定が繋がっている様なので失敗したかも。
阿南さんは真面目で、流石太田先生のキャラクターという感じ。ハードボイルドは苦手だけど、
この話はすんなり読めました。


★「天国の破片」について。阿南さんは今回も又真面目に地道に暮らして、考えていました。
そんな所が彼の良い所なんだけど、一言一言がとても重くてズッシリ来ます。
太田先生の一番内面が出るというか、真面目な側面が描かれているという感じ。
「推理小説」として読んでいるより、もっと変な言い方だけど「青春小説」みたいな印象です。
勿論謎に向かって突き進むストーリーなのですが、それよりも人と人との関係の描写がハッとさせられます。
とうとう1作目の「刑事失格」を読まぬまま、これを読んでしまいましたので、次は
絶対に「刑事失格」を読もうと思うのでした。アラアラ・・・。


★挿し絵について。俊介君シリーズの末次徹朗さん。この絵に釣られたとも言えます。
このシリーズを読めば読むほど末次さんが挿し絵で良かったなぁと実感できます。素朴なタッチ
俊介君の性格と心を現していて、私は真似できない。
宿少シリーズ大貫健一さん。「ドラグナー」とか「鉄拳ちんみ」とかでもぅ大好きだったので、
太田&大貫コンビ(田中芳樹推薦も入るか?)は強すぎました(笑)。
「紅天蛾」の表紙のマント姿は蘇芳様ですよねっ、ねっ、と勝手に思いこんでいる。


★ショートショートに対して、太田先生はかなり思い入れがあるようです。「帰郷」は、そのショートショート作品集。
沢山の作品がギュッと詰まっています。どれかひとつは選べないけど、
気に入った作品は「帰郷」「あなたに降る雪」「夜を売る」「割れても末に」などなどです。
とにかく全体の構成も上手い。出だしの「あなたに降る雪」が一番好きとも言えるのですが、
暖かさと怖さは紙一重で裏表だ、と切なくなる感じが何とも心に残るのです。読後感を緻密に計算されている気がします。
そして最後の作品を読んで私はダーッと泣いてしまいました。暖かくて、嬉しくて。
凄く辛いんだけど、一種のハッピーエンドなんですよ。もぅたまらない。太田先生のショートショートへの愛着を感じます。
私も自分のプロフィールの部屋にいくつかショートショートの様な物を載せていますが、
私のは童話的要素が強いです。太田先生のは、色とりどりですが、やはり推理的な物も多くあるので、
驚きも味わえます。太田先生を良く知る事が出来る本だと思います。


★『まぼろし曲馬団』。この作品が『宿少』の転機ですね。物語も発展し、謎の核心に近付いているし、
キャラクター達も、自分の道を決めて、目標に向かって行く。そんな印象を受けました。
特に今回はやはり謙太郎ですね。彼は私的に、どんどん理想に向かって変化しています。髪の毛が伸びて、
外見も滅茶苦茶好み〜だし、なにより内面もフェチ入って来て、危ない人に近付いています。そこが好き。素敵。
勿論蘇芳様が一番素敵だし、今回も格好良かったし可愛かったんだけど、謙太郎はその蘇芳の近くに一歩入れて
貰えたって感じで、その微妙な位置関係がゾクゾクします。最終的には敵対するのかも知れません。私はそれを望んでいるのか否定しているのか…。
相手も強くなって行き、段々お遊び的な会話も減って、太田作品らしい「重さ」が出てきた気がします。
今後の展開が益々楽しみ♪


★太田先生について。HPは毎日見に行っているのです。日記とか楽しいです。
作品と同じ印象を受けます。サイン会に行ったとき写真より格好良い太田先生に会えて嬉しかった。
またサイン会あると良いなぁ・・・。

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見てない人は見てからの方が良いかもしれません。内容や感想が書いてありますので、個人の判断で見て下さい。


『銀扇座事件』の感想ネタバレ有り!未読の人は入室厳禁です。