プリズム
みんなの実験室11

-分 光 器 を つ く る

回折格子レプリカ

陽の光や蛍光灯の光にはいろいろな色の光が含まれています。
これらの色の光を分ける分光器をつくってみましょう。つまり、箱の中に虹をつくるのです。
回折格子レプリカを使うものと、より入手しやすい不要CDを使うものとをご紹介します。


回折格子レプリカを使った分光器
 右の写真が回折格子レプリカです。これは透明なフィルムに、目に見えないほど細い平行な溝をたくさんきざんだもので、見る方向によってこんな美しい虹色が現れます。つまり、いろいろな色が混ざった光が分けられるのです。回折格子レプリカは理科実験材料を扱う店で入手します。
この回折格子レプリカを小さな正方形に切って、紙箱にあけた窓にはりつけます。下の図を見てください。

分光器の図1
紙箱のひとつの面の上の方に幅1mmほどのスリットをあけます。
その面と向かい合う面に、1cm角ほどの四角い窓をあけます。
回折格子レプリカを2cm角ほどに切ります。これを窓にセロハンテープではってとめます。セロハンテープが窓にかからないようにしてください。

また、回折格子レプリカにきざまれた溝には縦横の方向性があります。はる前に折格子レプリカを通してのぞいてみてください。虹の色が上下に積み重なるような向き(下のスペクトルの写真を参照)にはってください。

見るときは次のようにします。
スリットから光が入るような向きに向け、窓から中をのぞくと、スリットの下の方に、分けられた光の帯、つまり虹が見えます。このような光の帯をスペクトルといいます。

 
上の図のような分光器をつくるには、いろいろな紙箱が使えます。下の写真は3つの例を示しました。

分光器の写真1 ABCはそれぞれ、紙コップ(205ml)、工作用紙で組み立てた箱、粉末ポタージュスープの空き箱です。いずれも、上の写真が回折格子レプリカをはった面の方から見たもの、下の写真がスリットをあけた面の方から見たものです。

Aの紙コップの場合はスリットをあける面は、楕円形を工作用紙でつくってセロハンテープでコップの口にとりつけました。そのとき、コップの口は横方向に少しつぶして楕円形にします。

ご参考までに、Bの箱のxyzの長さはそれぞれ3cm、6cm、13cmです。また、Cのポタージュスープの空き箱ではそれぞれ4cm、9.2cm、、12.6cmです。
もちろん、これらと同じサイズでなくてもかまいません。

Bの箱の材料の工作用紙は表が黒いものを使い、その面が内側になるようにしました。
内側は黒くなくても虹は見えますが、やはり黒くない紙の場合は内側を黒くぬった方がはっきり見えます。
スリット以外から光が入ってしまう場合は、そこに黒いビニールテープをはってふさぎます。
スペクトル
左の写真は、Cのポタージュスープの空き箱でつくった分光器で見られるスペクトルをデジカメでそのまま撮影したものです。左側のが太陽の光、右側のが蛍光灯の光です。

太陽の光のスペクトルは、なだらかに連続的に色が続いています。このようなスペクトルを連続スペクトルといいます。
蛍光灯の光のスペクトルの続きかたはなだらかではなく、境目のようなものが見えるところがあります。これは連続スペクトルに、もうひとつの連続でないスペクトルが重なっているためです。連続でないスペクトルとは、蛍光管に入れられている水銀の蒸気が出すスペクトルです。赤、橙、黄、水色、紫の不連続なスペクトルが見えます。


不要のCDを使った分光器
 CDの表面は虹色に見えます。CD表面にはピットとよばれるへこみの列がきざまれているからです。不要になったCDを使って分光器をつくります。切ってしまうので、必ず不要であることを確認してから使ってください。やはり紙箱を使います。下の図につくりを示しました。

分光器の図2 分光器の写真2
上面に幅1mmほどのスリットをあけます。
側面の下の方にのぞき穴をあけます。
底面の上に、CDを貼り付ける台をボール紙などでつくって用意します。「ボール紙」として黄色で示したのがその台です。底面に対して45度くらいになるようサイズを考えてください。

扇型にカットしたCD(図中青く示しました)を両面テープで、この台にはりつけます。CDをどのくらいの大きさにカットするかは台のサイズによって決めてください。CDをはった台を図で示したように取り付けます。

スリットから入った光がCDにあたってスペクトルに分光しているのを、のぞき穴から見ます。

写真はティッシュペーパーの空き箱を利用してつくったものです。

1.CDをとりつけるために、箱の接着部分をはがして工作し、再びはり直しました。また、ティッシュ取り出し口の一部を残してふさぎました。ふさぎ残したところが、のぞき穴です。

2.太陽の光をスリットから入れると、のぞき穴からが見えます。

3.のぞき穴に目をつけて中をのぞくと、こんなにきれいな虹が。

ティッシュペーパーの空き箱以外では、牛乳やジュースの紙パックなどが使えます。もちろん工作用紙やボール紙で波つくってもいいです。

.<回折格子レプリカやCDでなぜ分光する?>
光は波の性質をもっています。
波の山から山、または谷から谷までの長さが波長です。光はその色により波長がちがいます。スペクトルの色は波長の長さの順に並んでいます。目に見える光では赤が最も波長が長く、紫の方へいくに従って短くなり、紫が最も短いです。

.回折格子レプリカには、目に見えないほど細い溝がきざまれています。また、CDはピットとよばれるへこみの列がきざまれています。
この溝やピットに差し込んだ光は反射して、そこから出ます。光の波はそのようなせまい隙間を出ると、そのあとまわりこんでひろがります。ちょうど水の波がせまい隙間を通るとまわりこんでひろがるように。これを波の回折といいます。
回折した光は、溝やピットではないところで反射した光と交わります。そのとき交わった光の山と山、谷と谷が重なりあえばその光は強められ、山と谷が重なり合えば弱められます。このような現象を波の干渉といいます。
波長によって強めあう位置がちがうので、色が分かれます。

<補足>
・自然の虹は、空中に浮かぶ小さな水の粒に太陽の光が差し込んでできます。水の粒の内部で光が屈折するときの角度が、光の波長によってちがうので、色が分かれてスペクトルになります。

<参考資料>
文献
1)「箱の中の虹」 坂口美佳子、小川真理子 『科学あそびだいすき第2集』(P81〜85) 科学読物研究会編 (連合出版)
ホ−ムページ
1)科学工作シリーズ-CD分光器 http://www.cmsi.jp/prog/A18.pdf
2)光を虹に分けよう-簡単な分光器の製作-せつめい http://ppd.jsf.or.jp/jikken/jikken/12/howto01.html#pagetop
3)一家に一台、分光器 http://www.hirax.net/dekirukana2/video/
4)CDはなぜ虹色に見えるの?回折/干渉 http://contest.thinkquest.jp/tqj2002/50205/light/kaisetsu.html


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