みんなの実験室4.
**
カラフルなサッカーボール**
光の三原色の科学
下の写真のサッカーボール、実はこれ白い紙で作ったのです。色はぬってありません。
ではどうしてこんなにカラフル?
●光の三原色
カラフルなサッカーボール
上の写真は、白い紙で作ったサッカーボールに、暗いところで三方からそれぞれ赤、青、緑の光を当てて撮影したのです。
サッカーボールは、正六角形20個、正五角形12個、あわせて32個の面で囲まれた立体です。下の図はそのサッカーボールの展開図です。これを白い厚紙に書き、のりしろをつけて切り抜きサッカーボールを組み立てます。
これに照射する光源は、3つの懐中電灯の光の出るガラスの部分ににそれぞれ赤、青、緑のセロハンをかぶせて作りました。
暗い所にこのサッカーボールを置き、上から赤、左と右からそれぞれ緑、青の光を当てました。
この3枚の写真はすべて同じサッカーボールです。当てる光の角度とサッカーボールの置き方が少しずつちがいます。
受ける光の色によって、面がそれぞれちがう色になっていますね。この中には、当てた光の色である赤、青、緑のどれともちがう色の面もあります。これはどうしてでしょう。
赤、青、緑を光の三原色といいます。この3つの色の光をいろいろな割合で組み合わせることによりさまざまな色の光をつくりだすことができます。
サッカーボールのそれぞれの面は、いろいろな向きに向いています。そこで、どの色の光をどれだけ受けるかが面によってちがいます。だから面によって
ちがう色になるわけです。例えば、いちばん左の写真の正面に見える五角形は、赤と青両方の色の光を受け赤紫色になっています。どの色の光も受けられない向きに向いている面は黒になります。真ん中の写真、左端に半分見える面がそれです。
ところで、このサッカーボールを組み立てるのは、ちょっとめんどうで時間がかかりました。そこで実験教室では、サッカーボールは1つだけ大きなものを組み立て、それに光を当ててみんなで見てもらいました。
めいめいには、できるだけ面の数が多くサッカーボールより楽に組み立てられるものをと考え、正二十面体を作ってそれに三原色の光を当てて見てもらいました。正二十面体は正三角形20個で囲まれた立体です。左に示したのは三原色の光を当てた正二十面体と、正二十面体の展開図です。
三原色それぞれの光を、どれだけ受けるかによって、正二十面体の面それぞれが、ちがう色になっていますね。
カラーテレビの色
カラーテレビのスイッチを入れてその画面をルーペで観察してみましょう(ビデオの画面をストップさせて見ると見やすいです)。紫の部分は一面に紫ではなく、白い部分は真っ白ではありません。どの色の部分もこの写真のように、赤、青、緑の小さな区画がびっしり並んでいます。これでどうやってさまざまな色ができるのでしょう。
赤、青、緑の小さな区画の光りかたの強さは、どこも同じではありません。その光りかたの強さでその部分をテレビ画面で見たときの色が決まります。例えば、赤と緑が同じくらい強く光り、青は光っていなければその部分は黄色になります。三色とも強く光っていれば白になり、また三色とも光らないと黒になります。カラーテレビの画面のさまざまな色もやはり赤、青、緑の光の三原色をいろいろな割合で組み合わせてつくっているわけです。
テレビの画面をあまり長い時間ルーペで見ていると、目が疲れます。短時間できりあげてください。
●色のついた影
影の色は黒か灰色では…
下の写真を見てください。真ん中に見えるのは、黒い紙で作った筒です。これを白い紙の背景の前に置きます。部屋を暗くして左からは緑の光、右からは赤い光を当てました。この2つの光による
筒の影が背景に映っていますが、その影に色がついていますね。影が赤や緑とは、さて?
光がものにさえぎられてできる暗い部分が影です。
この写真で左の影は、右から射している赤い光がさえぎられたためにできました。しかし、この部分には、左から射す緑の光は届いています。そこで、この影は緑色になりました。
右の影は、左から射している緑の光がさえぎられてできました。でも、ここには右からの赤い光は届いているので、この影は赤い色になりました。
もしも、この2つの色の光に加えて三原色のもう1つの色、青い光を真ん中から当てたらどうなるでしょうか。影は3つになるはずですね。その色のついた影と影が重なることもありえます。するとその重なり部分の色は2つ(又は3つ)の色の組み合わせによってできる色ということになりますね。実験教室ではこれを実際にやってみました。確かに、三原色の組み合わせによる、いくつかの色が見られました。
背景の色にも注意してください。ここには、赤と緑両方の光とも当たっていますから、この2色が組み合わさった色になっていますが上の方は緑が、下の方は赤が強くなっています。その部分にはそれぞれの色の光が、もう一方の色の光に比べてより多く当たっているわけです。
<参考文献>
1)リトルサイエンスひかりのてじな(偕成社) 文・絵−村田道紀
写真−関戸勇
2)21世紀こども百科−科学館(小学館)
3)中学校数学1(教科書)(学校図書株式会社)
次へ |
|
戻る |
|