プリズム
みんなの実験室14

**三角四角のしゃぼん玉?**

立方体と三角錐のしゃぼん玉をつくりました。そして、なぜこのような形のしゃぼん玉ができるのかを考察しました


(1)枠としゃぼん液をつくる
立方体・三角錐のしゃぼん玉をつくるには、それと同じ形の枠が必要です。大きな枠を使っての演示実験ではなく、ひとりひとりが枠を手にとって個々に行なうことができるということにこだわって、針金で小さな枠をつくりました。

はりがね枠
○枠
ビニール被覆の針金で、左のような枠をつくりました。
aは、しゃぼん膜の性質を調べるための実験用の枠で、上部を半円形に曲げ、図のように赤い糸を結びました。
bは立方体のしゃぼん玉を、cは三角錐(四面体)のしゃぼん玉をつくるための枠です。どちらも1辺の長さは3〜4cmのものが扱い易いです。
bとcの枠のつくり方はこちらをクリックしてください→立方体、三角錐の枠のつくり方
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○しゃぼん液
水150mlに台所用洗剤(コンパクトタイプのものがよい)15mlを入れてあわだてないように混ぜます。


(2)しゃぼん膜の性質を調べる

半月形の枠にできた膜
図1aの枠をしゃぼん液につけて引き上げると、左の図2aのようにしゃぼん膜ができます。赤い糸は引っ張られて、そのため膜は三日月形になっています。、しゃぼん液の膜は、ゴムのようにちぢまろう、ちぢまろうとしているのが分かります。

図2bcのように、ぬらした指や爪楊枝で糸をひっぱると、ゴムのように伸びました。離すとまたaのような形になります。これにより、膜がちぢまろうとする力を直接感じることができます。
この、膜がちぢまろうとする力が表面張力で、膜を構成している水分子たちが互いに引き合うことによって生じます。

なお、この実験では糸に触れる指や爪楊枝は必ずぬらしてください。乾いたまま触れると、膜は壊れてしまいます。


(3)立方体のしゃぼん玉をつくる

立方体のしゃぼん玉
図1bの枠をしゃぼん液につけて引き上げると、左の図3aのようにしゃぼん膜ができます。
しゃぼん膜は、ちぢまろうちぢまろうとして、この条件下で最も面積が小さくなる形になったのがこの膜です。

次に、このように膜ができた状態のまま、枠の下の部分1/4ほどを、もう1度しゃぼん液につけて引き上げます。枠の底面をしゃぼん液に触れるくらいの気持ちで。すると、枠の立方体の底面にもう1枚の膜ができてそれがちぢんでいきます。その結果、図3bのようになり、枠内部に立方体のしゃぼん玉ができます。

ただ、立方体といっても、正確にはその面は平面ではなく曲面であることに注意してください〔下の(6)4)参照〕。


(4)三角錐(四面体)のしゃぼん玉をつくる

三角錐のしゃぼん玉
図1cの枠をしゃぼん液につけて引き上げると、左の図4aのようにしゃぼん膜ができます。 この場合も、しゃぼん膜はちぢまろうちぢまろうとして、この条件下で最も面積が小さくなる形になったのがこの膜です。

次に、このように膜ができた状態のまま、枠の下の部分1/4ほどを、もう1度しゃぼん液につけて引き上げます。やはり、枠の底面をしゃぼん液に触れる気持ちで。すると、枠の三角錐の底面にもう1枚の膜ができてそれがちぢんでいきます。その結果、図4bのようになり、枠内部に三角錐のしゃぼん玉ができます。

しかしこれも面は曲面で、図3bよりももっと大きく曲がっています〔下の(6)4)参照〕。


(5)枠を離れてこの形のまま空中を飛べるか?
これらのしゃぼん玉を枠から離れさせて空中に放とうとして、ふーっと吹いてみました。しかし、そのようにして枠から離すことはできませんでした。息が当たった部分の膜が大きくふくらみ、新しい球形のしゃぼん玉ができて飛ぶだけです。
そこで、次のようにしてみました。しゃぼん玉には、枠の各辺からのびている膜がくっついていて、それにひっぱられたようになっています。これらの膜に乾いた爪楊枝で触れて、膜を壊していきます。すべての膜がなくなれば、しゃぼん玉は枠から離れるはずです。

枠から離れたしゃぼん玉

図5a〜cは、図4bの枠の辺から伸びた膜を次々に壊していったものです。aでは2つの膜が壊れ、しゃぼん玉は三角錐ではなくなりました。bでは底辺の膜だけが残っていますが、しゃぼん玉はその膜の中でレンズのような形になりました。そして、cですべての膜がなくなると、しゃぼん玉は球形になりました。
図5dは、図3bの立方体のしゃぼん玉に各辺から伸びてくっついていた膜を、すべて壊したところです。やはり、しゃぼんは球形になりました。
立方体、三角錐どちらの形のしゃぼん玉も、枠の辺からのびた膜がなくなると、球形になってしまいます。


(6)考察-立方体・三角錐のしゃぼん玉はなぜできる? なぜこの形のまま空中に飛ばない?

1)しゃぼん液の膜は面積最小になろうとしている
(2)の実験により、しゃぼん液の膜はちぢまろうちぢまろうといているのが分かります。つまり面積最小になろうとしています。これが表面張力です。
表面張力は、水分子同士が互いに強く引き合うことによって生じます。水はあまりに表面張力が強いので拡がりにくく、膜にはなりません。水だけでは、しゃぼん玉はできないのはこのためです。洗剤が溶けると表面張力は弱まり拡がって膜になることができます。

2)ふつうのしゃぼん玉はなぜ球形になる?
ストローなどで吹いてできるしゃぼん玉は必ず球形です。
体積が同じならば、いろいろな形の立体(球、立方体、直方体、角柱、円柱、角錐、円錐など)の中で表面積が最も小さいのは球です。そこで、しゃぼん液の膜がちぢんで面積最小になろうとすると、自然に球形になります。

3)立方体・三角錐の枠には、なぜこんな形のしゃぼん玉ができる?
図3aや図4aのような形の膜になるのは、その条件の下で面積最小になる形の膜だからです。さらに枠の下の部分1/4だけをもう1度しゃぼん液につけて引き上げると枠の底面にもう1枚の膜ができます。その膜も面積最小になろうとしてちぢみ、その膜を底面とする図3bや図4bのような立方体、三角錐のしゃぼん玉になります。

4)立方体・三角錐のしゃぼん玉が、この形のまま空中に飛ばないのはなぜ?

次の2つのことに注目してください。
@)立方体・三角錐のしゃぼん玉(図3bと図4b)の面は、正確には平面ではなく球の一部のような曲面になっている。
A)立方体・三角錐のしゃぼん玉に、枠の各辺からのびてくっついている膜がなくなると、しゃぼん玉は球形になる(図5cとd)。
ふつう、しゃぼん玉をつくっている膜は空中ではちぢもうとして自然に球形になります。しかし、枠の中のしゃぼん玉は、枠の各辺からのびてしゃぼん玉にくっついていた膜にひっぱられて、立方体や三角錐になっていたわけです。ひっぱられなければ球形であろうということは、面は平面ではなく曲面であることから考えられます。そして、しゃぼん玉をひっぱっていた膜を壊したら、ひっぱられなくなって、確かに球形になりました(図5cとd)。
つまり、ひっぱっていた膜から離れ、枠から放たれると立方体・三角錐の形ではいられないのです。残念ですが。

便宜上、立方体・三角錐と呼びましたが、これらのしゃぼん玉の面は曲面なので厳密には立方体・三角錐とはいえません。

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<参考文献>
1)「種々の形の針金枠を石けん液に入れ、引き上げると膜は?」-『ポピュラーサイエンス-ときめき化学実験』林良重=編 P8〜10 (裳華房)
2)「」-『21世紀こども百科 科学館』 小暮陽三・山田卓三=監修 P150〜151 (小学館)

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