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七瀬「あ・・・あなた何者!?」

目の前の事実に困惑し、後ずさりする七瀬。

??「ふっ、教えてあげるわ・・・・・我が名は『ドッペル七瀬』。この世界を滅ぼす者なり・・」

そう言い放つと、七瀬に向かい拳を放つ!

七瀬「くっ! 負けるかぁ!!」
言い放つと、同じように右ストレートで対抗する。

ガキッ!!

お互いが放ったパンチは、両者の間で拳を打ち合わせていた。

ド・七瀬「やるわね、あたし」

七瀬「そっちこそね・・あっ!」

ドッペル七瀬は打ち伸ばしていた右手を急に引いた。それに合わせ前に重心を掛けていた七瀬の体が動く。

ド・七瀬「まだまだ甘いね、はぁぁ!!」

軽く後ろに1歩バックステップ・・そこから後ろ回し蹴りを七瀬に放つ。

ドカッ!!

体勢を崩していた七瀬には右手から来る回し蹴りに咄嗟に両手でブロックするしかなかった。
強烈な蹴りはブロックした上からでも七瀬の体を蹴り上げ、そばにあった教室の扉の破片を撒き散らしながら七瀬を弾き飛ばした。

ド・七瀬「あら、もぅ終わりかしら・・・あたし」

七瀬「うぅ・・・ま、まだよ!!」

倒れた机や椅子の間に倒れる七瀬は強がりともとれる言葉を吐き、立ち上がった。

ズザザザッ!!


尾根学園の校門の前、いつもは学生達が通り抜ける場所に1台の乗り物が滑り込んできた。
それにまたがる人・・・尾根学園の制服を着こんだ女の子は長めの裾から出た手で被ったヘルメットの前を上げる。
まだ幼さの残る面影で半壊した校舎を見上げた。
ほんの数日前までは楽しく通っていた校舎も、見るも無残な姿を見せる中、校舎の一角が突如爆発する。

??「みゅ、みゅ〜〜!!」

そう言い放つと、ヘルメットを被り直し、またがった乗り物のハンドルをしっかり握りこむ!
そして思いっきりペダルを踏み込むと後輪を軽くスリップさせ、校舎内に向かいお気に入りの自転車を走りこませて行った。
ときおり後輪の両脇に付いた補助輪に助けられながら・・・

七瀬「おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

七瀬からのすさまじいまでの攻撃!!
しかし、ドッペルも同等の攻撃を仕掛ける!!
いつしか戦いは消耗戦へと突入した。だが、傷を追っているぶん七瀬は不利だ、とうとうおいつめられる。

ド・七瀬「弱い、弱いよ・・・弱すぎるよ、あたし!」

右手に気合を入れると七瀬と同じような『ななぴ−フィ−ルド』を作りだし七瀬に向け打ち放す!

七瀬「わたしと同じワザを!? はっ!ななぴ−フィ−ルド!!」

同じく『ななぴ−フィ−ルド』を張り、ドッペルの放つ攻撃を防御する七瀬!

バババッ!!

フィールド同士がぶつかり合い、干渉しあった激しい火花が舞う。

七瀬「あうっ!」

踏ん張りを入れようとした足に負った傷から一瞬だけ力が抜ける。
それをドッペル七瀬は見逃さなかった。

ド・七瀬「これで終わりだよ!」

右手の拳に力を込める。そして・・・
七瀬のフィールドが弾け、七瀬はまたしても吹き飛ばされた。

ドガガガガッ!

何度かバウンドした後、瓦礫の山の中に七瀬の姿があった。

ド・七瀬「あはっ、あははははっ! これでこの世界での七瀬はあたしよ!!」

高らかに笑うと、そう叫んだ・・・

七瀬「待ちなさいよ・・・まだ・・終わってないわ」

ドッペル七瀬は笑うのを止めると声のする方を苦々しく見る。
お気に入りの制服がボロボロになり、見るも無残な姿を瓦礫の中からフラフラと立ち上がる七瀬。

ド・七瀬「これだから輝く心を持つ者どもは・・・ウザいんだよぉ!!」

七瀬「そ、そりゃそうでしょうね・・・あなたはわたしなんだもの。・・・それにあなた達の正体も分かったわ、それに何をしたいのかもね・・」

さっきのドッペル七瀬とのフィールドの干渉により、何かを感じ、そして何かが見えた・・
それはこれから始まる悲しくも壮絶な戦いの序章のようでもあった。

ド・七瀬「うるさい、うるさぁい!! あたしはあたしよ!!」

そばに落ちていた七瀬のMP5Kを拾うとリコイルボルトを引き、初弾をチャンバーに叩き込む。

ド・七瀬「だけど、それもこれで終わり・・・さよなら、もぅ1つの自分・・」

銃を構えると壁にもたれ掛かる七瀬に銃口を向けた。

??「みゅぅぅ〜〜!!」

ドッペル七瀬の後ろにある階段から自転車に乗った椎名が駆け上がると横を通り抜け、七瀬のそばへと辿り着く。

椎名「みゅ・・ぅぅ・・・・・あれ?」

自転車から降り、愛用の黄色のヘルメット・・・工事用のドカヘルを脱ぎ満身創痍の七瀬に駆け寄ろうとしたが
目の前にいる傷ついた七瀬・・・そして、向こうに見える銃を構えた七瀬・・・
両方の七瀬をキョロキョロと見渡し、首をかしげる。

ド・七瀬「繭っ! そいつは偽者よ!! 離れなさい!」

七瀬「あっちこそ偽者なの! わたしが本物よ・・・分かるでしょ!」

椎名「う〜・・う〜・・・」

同じ姿、同じ声、同じ口調・・・どちらが本物なのか分からず悩む繭。

椎名「あっ! ・・・くんくん・・くんくん・・」

ド・七瀬&七瀬「・・・??」

鼻をひくひくさせ、何かの匂いを嗅ぐ繭・・・そして。

椎名「みゅぅ〜♪♪」
そう言い、七瀬に飛び込む。

七瀬「がはぁ! ・・・あ、あんた殺す気ぃ!! って、良く分かったわね?」

椎名「うんっ! お昼に食べたテリヤキバーガーの匂いがしたの♪」

そう言えば、昼食に例のごとく繭の大量に買ってきたテリヤキバーガーの残りを皆で食べたときに袖に着けちゃったんだった。

ド・七瀬「くっ! まさに動物的本能ってやつね・・・だったら2人とも一緒に死にな!」

構えた銃のトリガーを引く!

タタタッ!

七瀬「はっ! ななぴーフィールド!!」

右手を前に出し手のひらの先にフィールドを張る。それに弾かれる9mmパラ。

七瀬「はぅ! ・・・はぁ・・はぁ・・・」

無理をして放ったフィールドは傷ついた七瀬の顔を苦痛の表情に変えた。

ド・七瀬「なっ!? 3点バーストのままじゃない?!」

一度に3発しか発射されないセレクターをフルオートに切り替える。


椎名「みゅ〜・・大丈夫?」

七瀬「はぁ・・はぁ・・・あははっ、だいじょう・・・・くっ!」

肩で息をしながら繭の頭に手を乗せニッコリと微笑む。

椎名「留美姉ちゃん・・・よくも、よくもいじめたなぁ!」

自転車に取り付けた網カゴからイングラムを取り出すとセーフティを解除、ドッペルに向け弾丸を放った。

パタタタタタタタッ!!

空になった薬莢が排出され、撃ち出された9mmパラはドッペル七瀬のいた場所へと吸い込まれる。
だが、廊下の影に隠れたドッペルには当たらず壁や床を削り取るだけだった。

ド・七瀬「あははっ!そんなマメ鉄砲なんかには当たらないよ!」

カチッ!

弾を撃ち終えたのを知るとドッペル七瀬は廊下へと踊り出る。そして銃を七瀬と椎名に向けた。

ド・七瀬「!! げっ!?」

目に映るのは、椎名の自転車の後部の両側にあるウサギとパンダのイラストが描かれたBOXが開かれ、
中から現れたマイクロミサイルランチャーが展開している姿だった。

椎名「行けぇぇ!!」

ハンドルに取り付けたボタンを押し込む椎名、それと同時に片側6連ミサイルがランチャーから全弾発射された。

バシュ! バシュ! バシュ!・・・・

ド・七瀬「わわっ! な、ななぴーフィールド!!」

12発ものマイクロミサイルが着弾、さしもの『ななぴーフィールド』も衝撃には耐えられず、
爆発の勢いでドッペル七瀬は開いた窓からカニさんスタイルのまま、クルクル回りながら空へと消えていった。

ド・七瀬「覚えてなさいよぉぉぉぉぉ〜〜〜〜・・・・・」

既に見えなくなったドッペルが飛んでいった(?)方を眺めながら呟く・・

七瀬「相変わらず無茶なことをするねぇ、繭は」

苦笑いする椎名の頭ををポンポンと叩き、「でも、ありがとうね」と言った。

椎名「えへへっ! ・・・!?」
すると椎名は思いついたように七瀬に向かい・・

椎名「みゅぅ〜♪」

七瀬「うぎゃぁぁ!! い、痛い・・・髪が・・傷がぁぁ〜〜」

お下げ髪を掴んで楽しんでいた。



その頃、屋上に取り残された先輩は・・・

みさき「うぐぅ・・・お腹空いたよぉ〜、留美ちゃん早く迎えに来てぇ〜」

今までの出来事にも動じず、お腹を押さえて泣きそうな顔をしていた。

〜続く〜


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