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深山「あれは・・・・芹香さん? それに姫川・・・琴音!!」

芹香と琴音と呼ばれた2人は深山たちの先に立ち、こちらを見ていた。
1人は東鳩高校の制服を着た深山と同じような長めの髪にウェーブを掛けた少女、
そしてもぅ1人は魔女ルックのような姿に手には自分の身長以上もあろうかというメイスを軽々と片手に持っていた。


澪「・・・・♪」
2人に駆け寄ろうとする澪の手を掴む深山

澪「・・・・?」
振り返った澪は深山のいつもとは違う表情から何かを察すると前に立つ芹香達を見やった。

深山「どうして芹香さんがここに居るんですか? 私達に命じたのはあなたのはずです」

芹香「・・・・・」

深山「それに琴音! あなたが私の前に堂々と現れることは無いしね! どうなの?」

今までピクリとも動かなかった芹香が大鎌・・メイスを振り上げると地面に叩き付けるように振り下ろす!

深山&澪「!!?」
次の瞬間にはメイスから出された衝撃波が地面を砕きながら迫り、2人のいた場所を破壊した。




芹香「・・・・・・」

放った衝撃波でポッカリと開いた穴には2人の姿は無く、そして・・・

深山「ふぅ、危ない危ない・・・やはりあなた達は本物じゃ無いようね」
芹香が破壊した場所から200m離れた場所に澪を抱えた深山が居た。

深山「それじゃぁ・・・こっちも本気で行かせてもらうわね。上月さん、行くよ!」

澪はうなずくとスケッチブックを正面に構える。
芹香達に向かおうとする深山の前に突然、琴音の姿が現れる!

深山「テレポーテーション!! 琴音と同じワザも使えるの!?」

その突然の攻撃にも動じず、琴音に向け左フックを放つ。
琴音はそれを軽やかに左へと避ける。ステップと言うより空中を移動したみたいに・・

深山「あの子と・・同じ顔・・しないで・・・よっ!」

牽制攻撃を放ちながら隙を探す。
琴音が間合いを離し右手を深山に向けると、

琴音「消えちゃえ・・」
琴音の右手から目には見えない波動が深山に向かった。

深山「くっ!」

両腕で何かから守るようにガードをする。そして次の瞬間には深山はその場から消え去っていた。
そして、倒したと安心した琴音は静かに右腕を降ろす。

琴音「・・・・えっ?」
だが次には正面に現れた深山によって襟元を掴まれていた。



深山「瞬間移動が出来るのは、あなただけじゃないのよ。まぁ、私の場合は高速移動だけどね」

そして、空いた右手で琴音に向け正拳を突き出していた。だが・・
深山は正面に捕まえた琴音の表情を見た。
それは捨てられた子犬のように寂しくも悲しい表情だった。

深山「・・・・琴音」

放たれた拳が一瞬止まる・・・だが、琴音は表情を一変!ニヤリとほくそ笑むと、
それを待っていたかのように深山の鳩尾に膝を蹴り込んだ。

深山「かはっ!? ・・・ごほっ!ごほっ!!」
琴音を離し、その場に崩れ落ちる深山。そして琴音はテレポーテーションを使いその場から消えた。

深山は咳き込み涙目の顔を上げると、そこには魔術書を開き、今まさに魔法を発動しようとする芹香の姿を見る。
すると芹香の前に魔法陣が現れ、深山に向け巨大な光線が放たれた。

深山(動けない・・・ダメか・・)

諦めきった深山の前に澪が走りこみ、向かってくる光線に向け持っていたスケッチブックをかざした。
そして、澪と深山は光の帯に包まれていった・・・



草木が整然と並ぶ並木道・・・
学校の裏手にある公園は、学校帰りの学生や憩を楽しむ人たちにとっては楽しい場所になっていた。

だが今は広い園内もひっそりと静まり返り人の姿など誰一人見ることは出来なかった。
ただ、その中で並木道の一角にある芝生の上に1人の・・・
尾根学園の制服を着た茶色い髪の長い女の子が座っていた。
1人うつむいたその表情は、流れ落ちそうな涙をグッと我慢し、ときおり笑顔を作ろうと表情を作る。
だが、その笑顔はひきつった・・・悲しみの笑顔にしかならなかった。
その目にはますます涙が溜まり、

??「でも、ごめんなさい・・・今日だけ・・今だけだから・・だから・・」
そして堰を切ったように大粒の涙が零れ落ちていった。

??「長森・・・さん」

長森「!! ・・・・里村さん、どうしてここに・・」
木陰を抜け、里村と呼ばれた女の子が特徴的な金色の長い髪を揺らしながら現れた。

里村「立ち聞きみたいなことして申し訳ありません。ただ長森さんがしようとすることが気になりまして・・」

長森「・・・・・」
そばまで歩いて来ると横に並んで座る。

里村「悲しい気持ちは分かります。ですが、そんな事をして浩平・・いえ、折原くんが喜ぶでしょうか?」
瑞佳の涙はもぅ乾いていたが、茜とは顔を合わせないよう横を向く。

里村「芹香さん達も待っています。一緒に・・・」

長森「分かるわけないよっ!!」

最後まで言い終わらないうちに瑞佳が叫ぶ!
そして立ち上がると茜をキッと睨む。

長森「私は、浩平のことが好きなんだよ!大好きなんだよ! なのに私を置いて居なくなって・・」

里村「な、長森さん・・・」

長森「だから私は、私のするべき事をするの! もぅ1人の私になんかさせない!! 私がっ!!」
普段見てきた温厚な瑞佳とは思えない言動に茜は瑞佳を見つめるしか出来なかった。

長森「・・・里村さんにも、あの子の声が聞こえたのなら私の言うことが分かってくれると思うよ」
そう呟くと、大事そうにウサギのぬいぐるみを抱え、公園を後にしていった・・・

里村「・・・長森さん、私だって大事な人が居なくなったんです。だけど、私はここにいます・・」

茜もその場を立ち上がると、瑞佳とは逆の方に向かい歩いていった。



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   ・



緑の草原を風が撫でていく・・・


??「予定道理だね」

??「うん、浩平お兄ちゃんも来たしね」

??「後は大きな私に、これを渡せば良いんだよね?」

??「うん♪ ちゃんとお姉ちゃんの言う通りにすれば、みんな幸せになるんだから頑張らなくちゃ!」

??「楽しみだね♪」

??「うん、凄く楽しみ♪」



陸地の見えない海が、どこまでも広がる・・・どこまでも、どこまでも



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   ・
   ・

〜続く〜


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