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??「ったく、何であたしがこんな目に会わなくちゃいけないのよぉ!」
人気の無い街外れの道を1人の少女が2つのお下げ髪を揺らしながらブツブツ言いながら歩いていた。
妙に目立つ×印のバンソウコを頭に貼りながら・・・
ゴォォォォ・・・フィィーン!
何か重量物が近づく音、そしてエンジン音が鳴り響いてきた。
ド・七瀬「やっと来たようね。・・・遅いわよ、智子!」
目の前に止まる黒き物体に向けて言い放つ。
鋭利なデザインに上部に備え付けられた特徴的な砲塔・・・
砲と言っても通常の炸薬系滑空弾を発射するようなバレルではなく、
2対の角柱が平行に並び、それに繋がる上部砲塔も独特の形状をしていた。
ワルキューレとは対を成すようなデザインには華麗さよりも破壊のイメージが似合っていた。
ド・保科「なんや留美は、人がせっかく迎えにきてやればそないな言い方をするんかいな」
スライドハッチを開け、ひょっこりと顔を覗かせると文句を言う。
ド・七瀬「五月蝿いわねぇ! もぅちょっとであいつを倒せるはずだったんだ、なのにあんな事で・・」
嫌なことを思い出したかのように苦虫を潰したような表情を見せると親指の爪を噛む。
ド・保科「まぁ、そこまで七瀬(あいつ)を目の敵にする理由は分からなくは無いけど、入れ込みすぎやないの?」
ド・七瀬「あいつがあたしをどんな目で見ていたか、あんたに分かる!?」
キッと睨むと激しく言い放つ。
ド・七瀬「あのバカ、自分を変えるとか言い出して、それで過去のこと忘れようとして! そして、あたしの事を!!」
うっすらと目元に浮かぶ涙に気づくと保科から目を背ける。
ド・保科「まぁまぁ、そないなこと言っとらんと次に移るで。奴らはワルキュを出して来たみたいやしね・・」
ド・七瀬「!? あの人が言っていた伝説のマスターと破壊の女神を! ・・・マヂでヤバいかもね」
ド・保科「その辺は大丈夫、なんの為にこれを持って来たと思うねん? それに・・・」
目の前に突如現われたドッペル芹香に顔を向ける。
ド・保品「そっちもだいぶてこずってた見たいやね。で、例のやつは?」
ド・芹香「・・・・・(こくこく)」
指差す方を見ると森の向こうから爆音が聞こえてきた。
ドッペル七瀬達の上空をフライパスするAH−1対戦車コブラ4機はドッペル保科の奪ってきたリニアレールガン戦車「ガーディアン」のそばに着陸した。
そのコックピットには人の姿は無く、それを操るかのようにドッペル琴音が上空に姿を浮かせている。
ド・保科「ほな、そっちは任せるさかい援護を頼むで。うちらはこれであいつらに挑むさかいな」
ガーディアンを親指で指差すと、芹香と琴音は頷いた。
ド・七瀬「あんたの事は認めないよ・・・今度こそ決着を付けてやるわ」
七瀬は1人、日が暮れた街の方を見やりながら呟いた。
ハマーに乗り来栖川邸に向かう深山達・・すると、
セリオ「深山さん、左前方300mに対人反応をキャッチしました。推定4人です」
深山「おかしいわね、ここは既に避難は済んでるはずなのに・・・もしかして逃げ送れた人達?」
暗がりの中、一軒だけ明かりの灯った場所を遠くに見やる。
深山「これに全員を乗せるのは無理みたいね・・セリオ、マルチ、私と上月さんで保護しますので、あなた達は先に戻っていて」
マルチ「はわわっ、大丈夫ですか? 私も残りますぅ」
深山「ううん、私たちだけで大丈夫よ。あなた達は先ほどのデーターを先に届けて頂戴、お願いね」
そう言い、澪と一緒に車から降りると、窓から手を振るマルチに手を振り返し、その場所へと向かっていった。
トントン・・
七瀬「はぁ〜・・本当疲れたわねぇ」
カチャカチャ・・
椎名「あぅ〜・・・お腹空いたよぉ〜」
パタパタ・・
みさき「でも、茜ちゃんに途中で会えてよかったよねぇ♪」
グツグツ・・
七瀬「ほんと、こう言うときは助かるよねぇ! ・・・やっぱり乙女には料理の腕は必要かしら?」
コトコト・・
みさき「留美ちゃんは料理苦手なの?」
グツグツ・・
七瀬「あははっ、クッキーとかは得意だけなんですけどねぇ〜(^^;」
パカッ・・トサトサ・・
椎名「みゅ〜が買ってくれたてりやきバーガー美味しかったよぉ♪」
トロトロ・・・
七瀬「あれは、あんたと会うのが最後だと思ったから・・・でも買いすぎたよね」
コトッ・・コトッ・・コトッ
みさき「そんな事ないよね繭ちゃん。・・・優しいね留美ちゃん」
茜「・・・お待たせしました」
3人の目の前には美味しそうな匂いをあげるカレーが置かれていく。
学校でのドッペル七瀬との出来事の後、茜と合流した七瀬達は来栖川邸に戻る途中、
お腹を減らして泣き言を言う繭と、しくしくと泣くみさき先輩の為に
商店街にある全国チェーンのカレーショップに立ち寄っていた。
避難が済んでいた為に鍵が掛かってはいたが、そこは茜の特技(?)の鍵開けで侵入に成功!
残った材料を使い茜はカレーを作っていた。
それが今完成し、3人の前に置かれていた・・・と言うわけである。
茜「・・・それでは頂きましょう」
4人はスプーンを持ち「頂きます!」の掛け声と共に口に運ぶ・・・
パクッ
七瀬「・・・・!!? な、何これぇ〜!」
椎名「うぐ・・・甘いのぉ〜」
茜「・・チョコにバナナ、イチゴジャムにメープルシロップ、オマケにマンドラゴラを使った特製カレー「茜ちゃんスペシャル」です」
そう言い茜もスプーンを口に運ぶ・・・
茜「・・・・美味しいです」
その言葉を聞きテーブルに突っ伏す七瀬と繭・・・
その横で1人もくもくとカレーを口に運ぶみさき先輩・・・「お代わり♪」の声を何度も繰り返しながら。
カチャ
??「あ、あんたこんな所に居たのぉ!?」
突然、扉が開かれると、そう言いまくる。
みさき「あっ、その声は雪見ちゃん♪ どうしたの?」
スタスタスタ・・ポカッ☆
みさき「はぅ〜、痛いよぉ〜・・・雪見ちゃん何するのよ〜」
突如、襲った痛みと見えない目に広がった星をクルクル回しながら額を押さえて言うみさき。
深山「あんたねぇ、どれだけ心配したと思ってるのよぉ! それなのにあんたと来たらこんなとこで・・とこで・・・・」
声を詰まらせながら途中で途切れた深山の声を聞き。
みさき「・・もしかして泣いてるの? ゴメンね雪見ちゃん。私が悪いんだよね・・・・でも嫌いにならないでよ、お願いだよぉ」
しゅんと、うな垂れながら話すみさきを正面から抱きしめ・・
深山「ううん、私こそゴメン・・みさきは私が守ると言っていたのに何も出来なくて・・」
横にある深山のウェーブの掛かった後ろ髪をなでながら、
みさき「ううん、雪見ちゃんにはいつも感謝してるよ。今、私がいられるのも雪見ちゃんのお陰だしね」
2人は顔を見合わせるとお互いにニッコリと微笑んだ。
茜「・・・仲が良いことはいいことですね。私にも大の親友の詩子がいますし気持ちが分かります」
2人のやり取りを見て、茜は友情の大切さを知った気がした。
茜「それでは、一致団結したお祝いに私の特製カレーで・・・」
深山「そうね、みさきも美味しそうに頂いてたし、上月さんも一緒に頂きましょう」
スケッチブックをブンブン振りながら嬉しそうに小さな体を椅子に座る。
深山「んっ、七瀬さんと椎名さんはどうしたの? ・・寝ちゃったのかな?」
テーブルに突っ伏しピクリともしない2人を見ていると茜が2人分・・そしてみさきのお代わりの分を持って来た。
深山「う〜ん美味しそうな匂いね♪ それでは、頂きまぁす!」
澪「・・・・・(いただきますなの)」
パクッ・・・!
・
・
・
七瀬と繭・・・それに深山と澪を加えた4人は朝日が出るまで目が覚めることはなかった。
恐るべし、特製カレー「茜ちゃんスペシャル」!!
茜「・・・美味しいのに」
みさき「そうだよねぇ♪」
この2人に勝てるものはいないかもしれない・・・
〜続き〜